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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.83 ブング・ジャム的防災の心得 その2

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、「防災と文房具」をテーマにブング・ジャムのみなさんに語っていただきました。その模様を3回にわたって掲載します。

(写真左から他故さん、きだてさん、高畑編集長)*2023年11月11日撮影
*鼎談は2024年1月31日にリモートで行われました。

通勤用の防災文具袋

【高畑】お二人さんは、おすすめアイテムというか、「これは入れてるよ」というものは何かありますか?

【他故】今回の話を聞いて、自分の生活のスタイルを考えてみたら、今通勤時間がめちゃめちゃ長いので、通勤中に何かあった時にどうにもならんなっていうのを改めて思い始めてて。家にはそれなりに備蓄があったり、もちろん会社に行けば会社にはあるんだけど、その間でなんかあった時どうにもならない。毎日往復2時間半ずつだから、5時間ぐらいあるわけです。

【高畑】そうだね。

【他故】その時に、だからといって、ずっとそういうものをリュックに入れて持ち運び続けるのもどうかなというのがあって、もちろん食べ物とか飲み物とかはしょうがないと思うのよ。それを持ち歩くっていったってなかなか難しいので。せめて文房具だけでもと思って、いくつか考えたりもして、一応袋を作ってみたんですよ。

【きだて】防災文具袋?

【他故】非常持出文具みたいなかたちで袋1個作って、カバンに常に入れておくみたいなことを一応やってみようかなと思って組んでみて。文具王が話していたこととほとんど同じなんだよね。

【高畑】ああそうだね。そうなっちゃうよね。

【他故】こういう風に、ノートが入ってたり、あとはシャープペンシルと鉛筆と消しゴムを詰めた筆箱。やはりシャープペンがいいんだ。一応、後ろには「パワータンク」とあとカッターを 1 個入れててみたいなのを作って。

他故1.jpg【きだて】さすが。

【他故】今回の能登半島地震を見てて、例えばどこか自分家じゃないところで被災したら何をするだろうって考えたときに、多分やりようがなくって、その時のことを記録したくなるだろうなってずっと思っているのね。他にやることがない。でも、何かしたいってなったときに、多分ノートに今の状況を書くみたいなことをするだろうなと。間違いなくノートと筆記具がいるんだけど、そのときにハタと思って、これ文房具じゃないんだけど、俺がこれをやるときに絶対必要なのは、漢字が分からないから、多分漢字が書けなくなるのが嫌だから、小っちゃい辞書が絶対いるわと思って。

【高畑】出た! すごい、そこかぁ(笑)。

【他故】絶対ストレスになると思って。スマホで漢字調べようと思っても、バッテリーが勿体ないから使いたくない。それで書いていると、絶対にジレンマが起きるわと思って、小っちゃい辞書を買いました。

【きだて】すげぇ(笑)。

【高畑】すごい他故さんぽいな(笑)。

【他故】書くことで自分を落ち着けることができるだろうなというとこまで想定できて、「あー俺ってこういうやつなんだ」っていうのは改めて思う(笑)。

【高畑】俺は、そこはひらがなで書いちゃうな。でもさ、最近毎日この手帳は持ってるのね(マークス「EDiT」B7手帳)。小っちゃいから、持ち歩きしやすいので。これに「ピタン」を付けてる。

マークス2.jpg

「EDiT B7サイズ(写真は手帳用紙を使った小さな方眼ノート)」(マークス)




ピタン」(ゼブラ)


【他故】あー、割といい大きさだね。

【高畑】ちょっとはみ出る。高さ的には、「ピタン」がちょいはみ出るんだよね。本当は1㎝ぐらい短い方がいいんだけど、しょうがない。それで最近さ、キャッシュレスができちゃったから、たまになんだけど、財布忘れるんだよ。これやばいって思って。たまたま昼飯をさ、その辺の定食屋で食べたんだけど、キャッシュレスに対応してなかったりするわけじゃない。「ごめん」って言って取りに帰るっていう。これはダメだし、緊急時はなおさらダメだっていうことで、このノートの後ろにポチ袋をドットライナーで貼って、ここに最低限のお金を入れることにしました。

【他故】緊急お金を(笑)。

【高畑】現金が役に立つ時もあるじゃないですか。

【他故】分かる分かる。

【高畑】スマホの電池が切れたら、ペイペイとかの支払いができないじゃん。なので、一応現金が入っているものとメモ帳、これは日常のメモ用だから、あまりなくてもいいんだけど、これぐらいは持っておけば他故さんが言うみたいなメモ書きとか、覚えとかなきゃいけないこともあるのかなと思ったので、それはそれで確かに。

【他故】僕も今、メモとお金を同時に持てるように財布を変えまして。

【高畑】システム手帳なの? 5穴? それとも6穴?

【他故】僕はミニ5穴を買った。アシュフォードの「レインボーブリス」っていうシリーズなんだけども。5穴とミニ6穴があって、ガワは同じ大きななんだよね。お札が入って、そのまま財布になる。外側にポケットがあって、ここのチャックを開けると、小銭が入ってる。

【きだて】それは普通に常用のお財布になってるの?

【他故】そうそう、これを今常用の財布にしてて、絶対にペンと紙を持ち歩かないことがないようにしているというシステムが完成したという感じ。

【高畑】僕は「文具王手帳」に全部入れていて、保険証とかも入ってる。いつもカバンには入れてるんだけど、近所に飯食いに行くときとかは、さすがにいらないと思って。ただメモ帳とスマホは必ず持っている状態ではいる。だから最小限だと、ポケットに入っているのはスマホとメモ帳とペンで、お札が折りたたんで入っていますっていうのが、何も持たずにブラブラ出かけた時でそんな感じ。カバンを持ってるときは、その中に文具王手帳が入ってるので。まあ、そんな感じかな。

【他故】なので、通勤途中に何かあった時のことを考えると、結構ビビるなっていうのを改めて思ったこの 1 月だったなっていう感じです。

【高畑】前の会社に、アウトドアとかトレッキング的なことが日常から好きな人がいたんだけど、この人が平塚に住んでて、 3.11の時に東京の会社から途中まで一緒に帰ったんだけど、そこから別れて、8 時間ぐらいかけて自宅まで歩いて帰ったっていうんですけど。

【きだて】逆に 、8 時間で平塚まで歩くすごいね。

【高畑】俺はそれまで千葉に住んでてこっちに出てきたばっかりだったから、千葉に住んでたらアウトだったねって言いながら歩いて、2、3時間で帰れたんだけど。今のところに引っ越したときに、会社へ行っら「自転車でも来れる距離ですね!」とか、会社の人に言われたから、道を調べてみたんだよ。それがめっちゃ良かった。距離感と方角が大体分かるじゃん。「自転車で40分で行けるんだ」というのが頭にあったら歩けるけど、途方に暮れると歩けなくなるから。簡単な地図とかあったら、電気なくても帰れるのかなと思ったりはしたけどね。

【きだて】手帳に、ある程度地図とか入れておいたらいいかもね。

【高畑】よく行くところのだったらね。勤めている会社とか。他故さんだって、途中で電車から降ろされたときに、「今どこでどのくらい」という感覚はあった方がいい。会社に戻った方が近いのか、家に帰った方が近いのかとかさ。

【他故】そうだね。今は単純に、感覚的なものしか分かってないからね。

【高畑】帰ろうと思ったら、なんかすごい川があって渡れませんとかあり得るじゃん。

【他故】あり得るよ、だって分かってないもん。

【高畑】迂回しなきゃいけない距離がめっちゃ長かったりとかする場合もあるから。元々俺は方向音痴だから、スマホがないと帰れないんだけど。

【他故】3.11の時にさ、帰宅防災マップみたいなやつがすごく流行ったじゃない。

【きだて】流行ったね。

【他故】今、ああいう紙の地図が、絶滅とは言わないけど、だいぶ見なくなったので、そうやって言われると欲しいなって気にはなるね。

【高畑】Google マップとかをプリントアウトして、折りたたんで手帳に挟んでおくだけでもいいとは思うので。A 4とかでプリントアウトして、トルコ折りにして貼っとこうぜみたいな話で。

【他故】ちょっと、それやってみたいな。

【高畑】全部は無理だから、なるべくやってみるという感じかな。

【きだて】それをやって損することはないからね。

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プロフィール

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。新著は『人生が確実に幸せになる文房具100』(主婦と生活社)。
https://bungu-o.com/


きだて たく

小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
小学生のころから文房具が好きで、それが高じて文具メーカーに就職。ただし発言は勤務先とは無関係で、個人の見解・感想である。好きなジャンルは書くものと書かれるもの、立つ文房具と薄いペンケース。30分間文房具のことしか語らないトーク番組・775ライブリーFM「他故となおみのブンボーグ大作戦!」パーソナリティ。たこなお文具情報室所属。
「他故となおみのブンボーグ大作戦!」番組ホームページ https://daisakusen.net/

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