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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.77 ブング・ジャムがおすすめする、旅に持っていきたい文具 その3

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、“旅”をテーマに文房具を紹介してもらいました。

第3回目は、きだてさんおすすめの「ブックマークノート」です。

写真左から高畑編集長、他故さん、きだてさん*2023年6月3日撮影
*鼎談は2023年8月4日にリモートで行われました。

旅の記録メモに便利!

1.jpgブックマークノート(コクヨ工業滋賀)


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【高畑】じゃあ、最後はきだてさん。

【きだて】さっきも言ったけど、俺の旅行はイコール取材なので、基本的に何か素敵な記憶を残そうとか、そういう方向ではなくて。

【他故】はいはい。

【きだて】やっぱりね、メモ書きが重要になってくるんですわ。

【高畑】はいはい。

【きだて】メインとなる取材対象にあたるときは、録音したり動画を撮ったりするんだけどね。取材って、それ以外の部分も記事にしたくなるところがあるんだよ。例えば、その取材地に行く直前に食べたランチがなにか取材地の伏線になったりとか、面白い名前のバス停が話のマクラに使えたりとか。なので、そういうのも残しておきたい。今まではスマホのメモにちょこっと書くだけだったんだけど、これ使うと良さそうだなーと思ってるのが、コクヨ工業滋賀の「ブックマークノート」なんですよ。元々は大人の読書感想文用ノートとして作られたらしいんだけど、小さい出来事をパラレルに記録していくのにすごく使えそうだなと思って。

【高畑】どういう感じ?

【きだて】紙面は1ページを2分割。セミB6だから、一つの項目がB7よりちょっと小さいぐらい。だから、一般的なハンドメモよりちょっと多めに書ける。

【他故】ほう。

【きだて】まず日付をいれて、例えば食事に関してだったらタイトルのところに店名とか書いて、あと下の方眼のところに色々とコメントを書く。方眼なので、割とちょちょっと書くだけでもなんかそれで埋まった感じになるし、この程よさが割と良いんじゃないかと。

2.jpg

【高畑】その四角1個分というか、1/2ページが1個の単位として。

【きだて】そうそう。

【高畑】だから、飯食ったものみたいなのは1個だし、途中で見つけて気がついたものはそれでまた1個で。

【きだて】そう。気づいたこと一つにつき、この1/2ページみたいな使い方ができる。

【高畑】梅棹忠夫が言うところの情報カード1枚分っていう。

【きだて】まさにその単位です。

【高畑】それにちょうどいい大きさなわけだね。

【きだて】うん。これ良さそうだなと思って。あと読んだ本の感想で5段階評価をつけるところがあるんだよ。これも別に5段階評価をつけるのではなくて、例えばその読んだときの感情の振れ幅を書くみたいな。例えば5だと楽しいし、1だとがっかりみたいな感じ。振れ幅のメモとしても使えそうだしっていうので、意外と良さそうだなと。

【高畑】その上のところはタイトルと何だっけ?

【他故】番号だよね。

【きだて】日付と番号とタイトル。タイトルが2行に別れてるので、店名と「デカ盛りがすごい!」みたいなトピックを書いておくと、あとからチェックしやすい。

【他故】そうだね、2段あるんだね。

【高畑】確かに、日付とタイトルをちゃんと全部に書いていくっていうところでいくと、普通のノートより便利かもね。便利というか、「書けよ」っていう場所があるのはいいかもね。

【きだて】本当に、このタイトル2行分けが使い勝手良さそうだなと思って。例えば、〇〇寺のあの何とかっていう石仏みたいなのを2行に分けて書いたりとか。そういう意味で、ネタの分類がしやすそうだなっていう。

【高畑】確かに。

【きだて】よくできた罫線になってるなと思って。だから、こういうのでとりあえず全部見たものをメモっていけばいいやっていうのと、あとちょっとねさっきからみんな「紙ものは持って帰る」という話をしてるじゃん。

【他故】ああ、そうだね。

【きだて】俺も持って帰るし、それは後々スキャンして画像として使う用なので、貼れないし曲げられないのよ。なので、あのそれ用にキングジムの「スーパーハードホルダー」を持って行きます。

スーパーハードホルダー.jpg

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【他故】絶対に曲げない(笑)。

【きだて】絶対に曲げないという鉄の意志(笑)。

【高畑】でも、A4が入る、クシャッってならないものは重要だよね。

【他故】必ず欲しいよね。

【高畑】それは分かる。

【きだて】ハードケースはさすがに持っていくも大仰だし、邪魔なんだけど、「スーパーハードホルダー」はマチがあるので、分量的にもわりといっぱい入る。それこそ何ページかあるようなリーフレットみたいなのを、普通のハードホルダーとか厚手ホルダーに入れていくと膨らんじゃうから、油断すると中身がバサッと落ちちゃうんだけど。

【高畑】そうなるね。

【きだて】「スーパーハードホルダー」はそれがまずないっていう安心感があるよね。というのと、取材時にメモ書きするときに、クリックボード代わりになるっていう。非常に使い勝手がいいので、考えてみたらこれも絶対持ってくなという。

【高畑】なるほどね。正直、読書ノートとしていまいちピンときてなかったんだよ。下が細かい方眼じゃない。読書ノートに何を書くかと思ったときに、例えば抜き書きとかだったら普通の罫線の方が書きやすかったりするような気もするし、どうなのかなと思ってたけど。きだてさんのその使い方は、むしろそっちの方がなんかピンとくるっていうか、「なるほど」と思って。

【きだて】俺も、これを読書感想ノートには使いづらいだろうと思ってたんだけど。

【高畑】読書感想文を書くには、「ちょっとどういう風に書くっけ?」って思っていたので。細かい方眼が印刷されているけど、何を書くかなっていう。自己啓発本とかだったら中のチャートを書くとかってあったりするかもしれないけど、そうでもないよねみたいな。方眼の量もそんなに多くないから、そこに書き込んで1冊分詰めるのはちょっとなんかなと思ってたんだけど、今の話ですごい腹に落ちたというか。本当に行った先々の1個1個のトピックでそのぐらいだったら、分量的には確かに書きやすいし、それだと図も描けるしね。

【他故】そうだね。

【きだて】方眼だから、地図とか描いて残すにも良さそうでしょ。

【高畑】ああ、描けそうだね。

【きだて】旅行中に移動した先での位置関係って、掴みにくいでしょ。スマホのGPSログも微妙に信用できないし。なので、手描きでざっくりとでも地図を作っておくと役に立つこともある。

【高畑】確かに。

【きだて】なのでちょっとね、今後取材に行く時は、これを持っていこうかなという風に思ってます。

【他故】なるほどね。

【きだて】今回はあまり喋ることはないなあ(笑)。まだ使って試した訳じゃないからさ。

――でも、これはまだ出たばっかりですよね。7月20日発売で。

【きだて】「こう使うと便利だろうな」っていう想像のみで今言ってんだけども。

【高畑】でも、むしろ読書ノートよりピンと来るところがあったのは、自分的には発見だったりする。別に何に使っても構わないわけで。

【きだて】まあね。実際、表紙裏の使用例のところに読書記録だけじゃなくて、セミナーの記録とかそういうのにも使ってねみたいなことが書いてあって。

【他故】ホームページにも書いてあるよね。「セミナーや打ち合わせにも、プチ日記や動画レビューにも」とかいろんな使い方が書いてあるから。よく考えたら、見開きで4つ案件が並んでるって、すごく珍しいノートだね。

【きだて】どうかね。

【他故】そういう風に自分で割ったとしても、4つの案件を一気に見る方法ってなんか全然ピンとこなかったけど、これなんか少し面白いかもしれないな。

【きだて】しかもこれが時系列で4つ並ぶと、何となくストーリーが流れてくるような感じがして、面白いかもしれないね。

【他故】そうだよね。

【高畑】1個1個にちゃんと「日付書けよ」「タイトル書けよ」っていう欄があるのが、むしろ良いなというか。1ページを上下で2つに分けて日記書けるとかはあったりするじゃない。

【他故】あるね。

【高畑】日付を自分で入れるタイプのやつ。それよりはずっとフィールドワークに向いてると思うんだよ。今回のやつの方が向いてるなって気がするから、自分もちょっとそういう使い方が何かしらできそうな気分に今なってる。

【他故】俺も今そんな気がしてる。

【きだて】我々は、情報カードとかと言われるとちょっとピクッとしちゃうじゃない(笑)。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】何かやってみたくなるね。

【他故】確かにやってみたくなるね。

【きだて】情報のカタログ化が好きな人たちだから(笑)。

【高畑】分かるわ。

【きだて】そういうのに使うと楽しそうだね。

【他故】これはちょっと手に入れてみたいですね。

【高畑】僕とかだと、海外に限らずだけど、旅行に行ったらさ、特に海外のときなんかだと、文房具屋巡りをするわけだよ。文房具屋をどんどん巡っていったときに、文房具屋の名前と行った日と、何を買ったかとかをある程度まとめておければ、それはすごいいいなっていう感じがするな。測量野帳とかにも貼ってはいるんだけど、それだったらちゃんとタイトルとか付けとけばいいなと思ったので。書き方の参考にすごくなるな。

【きだて】使ってみると、「結局ダメだったよ」になるかもしないけど。

【他故】いや、まあまあまあ(苦笑)。

【高畑】むしろ今のきだてさんが言ってたフォーマットの上の日付とタイトルのところにスタンプかなんか作って、最初に全ページに押しておいたら、忘れずに日付けとか書けるじゃんみたいな。そういうのもありっちゃありだなっていう気がしたので。

【きだて】それだと、貼るスペースがどんどん狭くなるから。

【高畑】それもあったりするから、必ずしもなんだけど、その横長のそこに貼ってってもいいんだけどね。うんだからなんかそこら辺がなんかこううん。でも、行った先々の情報整理をしなきゃいけないっていうことを考えたときには、至極真っ当な使い方だなっていう気がすごくする。

【他故】そうね。

【高畑】そこはやっぱり、きだてさんは「旅行に行ってみたら」ライターみたいなのもやってるものね。突然、変なルールで旅行に行かされたりとかしてるから。

【きだて】そうそう。くじ引きで引いたチケットのところへ行かされたりね。

【高畑】そういう意味では、発見が書けるので。

【他故】いいね、面白いですよ。

――また使ったら感想を教えてください。

【きだて】はい。

【高畑】まあ、どこかに旅行に行きたいね。

【きだて】ねえ。

【他故】行きたいね。

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プロフィール

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。
https://bungu-o.com/


きだて たく

小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」が好評放送中。ラジオで共演しているふじいなおみさんとのユニット「たこなお文具堂」の著書『文房具屋さん大賞PRESENTS こども文房具 2022』が発売中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/

「ブング・ジャムの文具放談・完全収録版~2022年Bun2大賞を斬る!~」〈前編・後編〉をコンテンツプラットフォームnoteで公開中。

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