「キッチンラベルマーカー」

――今回は、皆さんにイチ押し最新筆記具をご紹介いただきます。まずはきだてさんからお願いします。

【きだて】最近イチ押しの筆記具といえば「キッチンラベルマーカー」かな。ダイソーの商品なんだけど、作ってるのはエポックケミカルなんだよ。

【他故】あっ、そうなんだ。

【きだて】実はエポックケミカルのTwitterアカウントで紹介されてるのを見つけて、「へぇ」と思って探したらねー、これが全然見つからなくて。あちこちのダイソーに電話かけまくって、ようやく「2本だけあります」と言われたので買いに行ったら、その間に売れちゃったとか。

【高畑】爆売れ中なんだ。

【きだて】爆売れ中な上に、小規模店舗じゃ扱ってないところが多いみたいで、めちゃめちゃ入手困難なんですよ。

【高畑】そうなんだ、へぇ。

【きだて】モノとしては、特殊なマーカーと専用のラベル5枚のセットで。これを何に使うかというと、ジップロックコンテナみたいなフードコンテナとかタッパーがあるじゃないですか。あれにラベルを貼って、日付管理をする用のツールなのね。

【他故】はいはい。

【きだて】要するに、作りおきのお総菜とか炊いたご飯をコンテナに詰めて、そこに日付を書く用なんだ。面白いのが、ラベルにこのマーカーで書いたものは、指でこすったり水をかけても消えないんだけど、お湯＋中性洗剤でこすると消えるという。

【他故】へぇ！

【高畑】お湯＋中性洗剤なんだ。

【きだて】そういう限定された条件下のみで消せる。

【高畑】それは、いつものお皿洗いをしているときに消せるよということだね。

【きだて】そういうこと。使い終わったフードコンテナを洗うときに、ついでにラベルもこすってやると、筆記がクリアできる。

【他故】ああ、なるほど。それで、もう一回書けると。

【きだて】何遍でも書けます。ラベル自体もかなり耐水性が強いので、洗ったぐらいじゃ全然ビクともしないし。食洗機にかけても一応大丈夫でした。

【高畑】大丈夫っていうのは、どんな感じ？

【きだて】ラベルがはがれずに、文字だけ消える。

【高畑】食洗機にも洗剤が入ってるから？

【きだて】そう。

【高畑】そのラベルを貼ってないところに文字を書いたらどうなるの？

【きだて】フードコンテナのツルツルしたところに書けば、割と同じような効果が出ます。

【他故】あっそうなんだ。

【きだて】なので、クリアホルダーに書いても同じ感じになるよ。

【高畑】要は、そのラベルの方は、下地を整えるということで。

【きだて】そうそう。つまりマーカーの方がだいぶ特殊っぽい。どういう仕組みなんだろうと筆跡を爪で引っかいてみたら、そこだけゴソッと取れたのね。どうやら、ホワイトボードマーカーの強い版みたいな感じなのかな。書いた瞬間に、強力な塗膜ができるみたいなのよ。

【他故】ほう。

【きだて】塗膜ができるから水は全然大丈夫だし、指でこすっても取れないんだけど、中性洗剤みたいな界面活性剤がつくと塗膜が溶けて消せるようになる。あと、アルコールで拭いても取れました。何かね、そういう仕組みみたい。

【高畑】なるほど。単にホワイトボードマーカーだと、出し入れしているときに触っちゃって消えたりしてよくないよね。

【きだて】ホワイトボードマーカーだと、多分水でも消えちゃうと思うな。

【他故】消えちゃうよね。

【きだて】水＋指で軽くこすれば。

【高畑】結露しちゃったりとかね。

【きだて】ホワイトボードマーカーの塗膜って、結構浮くからね。その辺りの脆さがないから「強い版」っていう表現をしました。それにしてもエポックケミカル、こういう変なマーカーを作らせたら上手いなー。
【高畑】前にも、ラップに書けるやつとかあったからね。

【他故】あ～あったね。

【きだて】あと、さっきもチラッと言ったけど、このマーカーは、クリアホルダーに直接なにか書き込むって使い方もできるんだわ。

【高畑】話を聞いているとそうだね。

【きだて】例えば書類をクリアホルダーにまとめて誰かに渡すのに、ついでにメッセージを付けたい場合ってあるじゃない。今までだと、ふせんに書いて貼ってたと思うんだけど。

【他故】まあそうだね、大体ふせんだね。

【きだて】でも、クリアホルダーに直書きできるなら、そっちの方が目立つし、剥がれ落ちる心配も無いしでいいじゃん？と。

【他故】へぇ。

【きだて】ともあれ、ようやく在庫があるダイソーを見つけたので、4、5本まとめて買ってきました(笑)。

【他故】それって、同じ色なの？

【きだて】同じ色で、ピンク。

【他故】今はその1色だけなの？

【きだて】1色だけ。

【高畑】ピンク色だけなんだ。

【きだて】ツルツル面にもしっかり書けて、塗膜が出来るのも速いから、書いて即こすっても全然消えない。クリアホルダーの文字を消す場合は、アルコール入りのウェットティッシュで拭くのが一番いいね。そうすると、塗膜が一気に壊れて、ツルンと取れちゃう。

【他故】ほぉ～。

【きだて】このマーカーは色々遊べそうなんで、使い途を今考えているところなんだけど。単純に、食材管理だけでも有効だなと思って。

【他故】いいな。100均ということは、ペンとラベルのセットで100円ということ？

【きだて】そうそう。ただね、ペンが細いので、インクがどれだけ使えるのかはまだ分からないんだけど。

【高畑】確かに。そこは100円なりなんだよね。

【きだて】これのもうちょっと太いやつを出してくれないかなと思って。

【高畑】むしろ、パイロットの「ボードマスター」みたいに、カートリッジでガツンというやつが欲しいところだよね。

【きだて】それぐらい使えそう。

【他故】そうだね。市販品版はもうちょっと長く書けそうなのがいいね。

【きだて】ダイソーだけではもったいないなと思って。

【高畑】うん、面白い。

【他故】知らなかったな。

【きだて】非常に面白いので、ダイソーで万が一にも見つけたら、即買いだよ。

【高畑】「万が一にも」というところがあれだよね。

【きだて】本当に見つからないんだよ。錦糸町のビッグダイソーに行っても見つからなかったんだもの。「品切れで」と言われちゃって。

【他故】でも、品切れだったけど、取り扱ってはいたんだ。

【きだて】そうそう。電話したら「一昨日まではあったんですけど」って。

（一同）へぇ～。

【高畑】じゃあ、口コミなりなんなりで流行ってるのかな。

【きだて】どうも主婦層の口コミでは回ってるらしいんだけど。

【他故】へぇ～、知らなかったな。

【きだて】知らないところで流行る文具はあるんだなと思って。

【他故】いや、本当にそうだね。

【高畑】最近、そういうメインじゃないところで出てきたりするじゃん。この間きだてさんが買ってた、ペンに着けるアクセサリーが面白かったじゃん。ああいうやつが出て来始めてるのが面白い。

――きだてさんはそっちを紹介するかと思ってましたよ。

【きだて】さすがにそっちは筆記具じゃないから。今日は、これを紹介する気満々でしたので。

【高畑】でも、自分も知らなかったので、これいいなと思った。

【他故】これ良いよね。

【きだて】「使ったコンテナを洗う」と「ラベルをクリアする」って動作が一体化してるから、無駄な手間がないのもすごいじゃん。

【高畑】そこよ、そこ。それ大事じゃんね。

【きだて】便利だろうと何だろうと、余計な手間はかけたくないんだよ。

【高畑】ああ、確かに。

【きだて】今まで通りのことをやってて便利になるのがうれしいわけじゃん。

【高畑】それはそうだね。

【きだて】そういうわけで、これは正しいやつですよ。

【高畑】素晴らしい。

【他故】これは面白いな。ちょっと探しに行かないと。

【きだて】まあ、苦労するがいいよ(笑)。

＊次回は「ポメラ」DM250です。

きだて　たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン　色物文具マニアックス』（ロコモーションパブリッシング）、『愛しの駄文具』（飛鳥新社）など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故　壁氏（たこ　かべうじ）
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。ラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦！」が好評放送中。ラジオで共演しているふじいなおみさんとのユニット「たこなお文具堂」の著書『文房具屋さん大賞PRESENTS こども文房具 2022』が発売中。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


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