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【インタビュー】「PAPIER TIGRE」設立者に聞く、モノづくりへのこだわり

カラフルでコンテンポラリーな紙製品などを扱う、フランス・パリ発のプロダクト・ブランド「PAPIER TIGRE(パピエ ティグル)」。このほど、設立者の1人マキシム・ブレノン氏が来日。東京・日本橋浜町にある直営店で、ブランドやモノづくりに込める思いを伺いました。

<インタビュー>PAPIER TIGREのモノづくり

──PAPIER TIGREは、デザイナーであるジュリアンさんとアガットさん、そしてマーケティングと広報を担当するマキシムさんが始められたと伺いました。ブランドについて聞かせてください。

僕たちは文具の専門家ではなく、またビジネスとして、営利目的でこのブランドを始めたわけではありません。元々クリエイティブなチームだったので、何かイノベーティブなことを始めたいという気持ちで、PAPIER TIGREを作りました。「イノベーション」と「クリエーション」は僕たちのブランドにとってキーとなるコンセプトです。

パリのブティック(店舗)を見ていただくとわかると思いますが、トラディショナルな文具店ではありません。ライフスタイルを提案できるようなお店で、しかも店内にオフィスを構えています。オフィスでモノづくりをしながら、お客さんの反応を見ることができるのです。それらが直結していることが、新しいアイデアにも繋がっています。とても重要なことですね。 こうした環境から、既存の文具のスタイルとは違う新しいスタイルで、ヨーロッパ、アジア、アメリカなどに進出しているところです。


──新しいスタイルとは?
"ゼロバリア"、つまり境界をなくしているということです。例えば、「事務用品」「オフィス用」など用途やカテゴリーといった境界を全く意識せず、色やモチーフ、見た目などから製品を考えています。

例えば、僕たちが作るノートは、最初のページに定規のイラストが描いてあったり、真ん中のページには「もう半分使ったよ」というメッセージがあったり。罫線も種類豊富だし、ロゴのタイガーを描ける「点つなぎ」を印刷したページで遊び心を加えてみたりもしています。持っているアイデアを全部凝縮して、表紙をつけたものが、僕たちのCARNET(ノート、手帳の意)なのです。
もちろん、僕たちの目指すクリエイティブというのは表面的なことだけでなく、中身も考えています。見た目も機能も両方にこだわっているのです。

ほかにも、「THE PLI POSTAL(プリポスタル)」(下写真)も代表的なプロダクトの一つです。これは19枚のグラフィカルなページが綴じられた製品で、一枚ずつ外してメッセージを書くことができます。その後ガイドに沿って折りたたむと封筒になるので、切手を貼って郵送も可能です。これは、「グラフィック」、「遊び心」、「実用性」、「行動を喚起する」といった、僕たちがモノづくりで意識していることも表現した製品です。
パピエティグル1.jpg──ペーパーアイテムを多数手がけられていますが、デジタル化・ペーパレス化の影響を感じることはありますか?
文具というと「反デジタル」といった印象があるかもしれませんが、PAPIER TIGREは違います。デジタル化は僕たちのベース、DNAであり、SNSの存在も非常に大切にしています。オンラインで人間関係が広がるのが楽しいですね。

僕たちのブランドは、デジタルと同じように成長していきたいと思っています。特に「消費する」という意味のプロダクトではなく、自分や誰かにプレゼントしたくなるような、「手にしたい」という気持ち・欲求を募らせるものを作っていくことを意識しています。「必要性があるから」ではなく、「欲しいから」買う製品が、この時代には求められるのではないでしょうか。しかも、それはデジタルなものをベースに作られるという点が、矛盾していておもしろいですね。

例えば、パリのブティックで万年筆がよく売れていますが、それらは昔ながらのものではなく、カラフルだったり、現代的なデザインだったりするものです。時代に合っていること、そして時代の流れには敏感でありたいと思っています。パリという街で仕事をしたり、各国を訪れたり、ジャーナリストやアーティストなどいろんな人に会ったりする中で感じたものを、流行よりも前に具体化できるよう努力しています。


──現在改装中のパリのブティックでは、新サービスも始めるそうですね。
ブティックは6月末にリニューアルオープンを予定しています。従来の店舗は売場面積が約60㎡でしたが、以前店内にあったオフィスを店舗の前の建物に移動することで、改装後は約120㎡まで広げます。

その売り場に、オープンキッチンのような「アトリエ」を設け、カスタマイズノートの新サービスを行います。新サービスはお客さんが店内のタッチパネルでノートの綴じ方や罫線、ページ数、表紙などを選べば、"スーパーウルトラモダンなマシーン"が、目の前で作ってくれるというもの。
昔ながらの製本機ではなくハイテクにこだわり、20分以内で作成、パリ市内であればバイクですぐにお届けする予定です。内容にもよリますが、20~40%のプラス料金で提供したいと思っていますので、ギフトにもおすすめです。オプションは今後様々な職業の人にヒアリングをしてさらにつめていく予定ですが、組み合わせは数千に及ぶでしょう。表紙以外のページはその場でプリントするので、選択できるデザインはかなり充実したものになると思います。


──新しいブティックも心踊る場所になりそうですね!最後に、日本のPAPIER TIGREファンにメッセージをお願いします。
日本はとっても楽しくてエキサイトな国なので、皆さんの期待に応えられるようなコレクションを提案できたら嬉しいです。改装後のブティックでは、従来通りコレクションの販売も続けていきます。ホッチキスなど新製品もリリースしますので、そちらもどうぞご期待ください。

世界で2店舗目。PAPIER TIGRE 東京店に潜入!

東京・日本橋浜町にある「PAPIER TIGRE」は、パリのブティックに次いで2017年9月にオープン。現在のところPAPIER TIGREの直営店はパリ本店とここ東京だけ。
色彩豊かな製品が映えるスタイリッシュな空間には、日本限定品を含むアイテムがずらりと並ぶ。

建物は1961年築の木造 2 階建てのビルを改装したもの。内装や商品ラインアップは季節ごとに変化させているそう。
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1930年創業のフランスの老舗のりメーカー「クレオパトラ」とコラボしたのりも販売。複数並べるとますますかわいい!
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思わず"ジャケ買い"したくなるノート類やプランナーも壁一面に並ぶ。2シーズンごとに発表されるコレクションは一度完売すると再販はしないため、出会ったその時が買い時。
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日本限定品で人気を集めているメッシュタイプのポーチ「THE POCKETS」とペンケース「THE PENCIL CASE」。ポーチを愛用中の編集部員によると「メッシュ素材なので、カバンをゴソゴソした時にすぐに見つかる。ありそうでなかった絶妙カラーもお気に入り」とのこと。
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また「PAPIER TIGRE」には、日本茶のスペシャリティサロン「salone de thé PAPIER TIGRE(サロン・ド・テ パピエ ティグル)」も併設。日本全国の茶農家から厳選した様々な日本茶を楽しむことができる。最近ではティータイム目的で来店する人も増えているそう。
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今年の大型連休は「PAPIER TIGRE」で、コンテンポラリーなフレンチ・スタイルに触れてみて。


PAPIER TIGRE

営業時間: 11:00-19:00
定休日: 月曜(祝日の場合は営業)
住所:東京都中央区日本橋浜町 3-10-4
電話: 03-6875-0431

プロフィール

Maxime Brenon氏

フランス・ナント出身。
パピエ ティグル共同設立者、マーケティング・広報担当。2012年に2人のデザイナーと共に同ブランドを設立。

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