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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.82 新春スペシャル ブング・ジャムが語る「どうなる・どうする2024年」 その3

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は「新春スペシャル」として3日連続で、ブング・ジャムのみなさんに2024年の展望や抱負などを語っていただきました。

第3回目は他故さんです。

(写真左から他故さん、きだてさん、高畑編集長)*2023年11月11日撮影
*鼎談は2023年12月11日にリモートで行われました。

少人数の文房具オフ会を気軽にやりたい!

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――最後は他故さんですね。

【他故】とりあえず、今年の抱負は「真面目に生きる」です。

【きだて】この3人の中で他故さんがそう言い出すと、成立しないんですけど(苦笑)。

【高畑】すでに真面目じゃん(笑)。

【きだて】俺たちは何?っていう(笑)。

【他故】元々誠実に自分の好きなものをただ語ってただけだったんだけども、文具メーカー社員という立場で改めて誠実に真面目に文房具のことを語っていきたいのでよろしくねという感じです。

【高畑】他故さんの去年の抱負は、「話を聞きたい」だったじゃない。

【他故】ああそうね。

【きだて】その「話を聞きたい」は、去年どれぐらいの達成率だったの?

【他故】2件お願いしてインタビューをさせてもらって話を聞いたんですよ。それ自体は外に出すっていうことはしてないんだけども、一応やりたいことはできた。

【きだて】応募してくれた人がいたの?

【他故】2名いたんですよ。

【きだて】一般の人たちだよね?

【他故】一般の人が。それで話を聞かせてもらってというのはやったんだけども、そこで思ったのが、やっぱりかしこまった形になってしまうなと。ZOOMでやり取りしたりしたんだけど、あちらがいて僕がいてみたいな形になると、結果的にインタビューみたいになってしまって、かしこまった形になっちゃうなっていうのも分かったので。本当にやりたかったのは、実はそこまでがっちりしたものではなくて、もっとサロンみたいなイメージ。

【きだて】飲み会だね。

【他故】そう。飲み会とかオフ会とか、こっちが司会でしゃべるんじゃなくて、「場を設けたので、みんなで文房具の話をしませんか?」みたいな感じで聞くというのをまずやってみようって感じでやったのが、結局ZOOMで一対一みたいになっちゃったから、これじゃないみたいな雰囲気がどうしてもあって。

【きだて】結局、「文房具の話を聞かせてください」ってなると、話す側もかしこまっちゃうじゃん。

【他故】そう、なのでそれはそれで一応成就はして、反省点もあったので、もし今年それをもう1回やるんだったら、やっぱりサロンの形に。サロンっていうとなんかでっかい感じになっちゃうかもしれないけど、要するにオフ会ですよ。「文房具の話をしたい人がいたら集まって、みんなで話ししようぜ」みたいなやつをもっとゆるくやるっていうのを、生でやりたい。できれば集まってやりたい。というのを一応、ぼんやり思ってる。

【きだて】ZOOMとかでやると、その座組だけでみんなが多少の緊張感を持つじゃない。順番にしゃべらなきゃというのもあるし。やっぱオフ会がよかったよねっていう。

【高畑】きだてさんは、表現する人たちの遊び場として、文具マーケットを作ったじゃない。他故さんは、そういう雑談ができる遊び場を、もっと小さい規模でやればいいんだよ。

【きだて】しゃべるだけのところだよね。

【他故】「今日は楽しかったね。2時間も文房具の話ができてよかったね。よかったらまた集まりませんか」っていう感じの、本当にホッとできる空間がほしいなというのは、改めて思っているので。

【きだて】この間、BUNGU SQUADのワラビサコさんがイベントを立ち上げてたじゃん。「自分のおすすめ文房具を語り合う会をやろうぜ」って人を集めてやつ。

【他故】参加してきました。

【きだて】あ、そうなんだ。どうだった?

【他故】すごい面白かった。サイコロ転がして選ぶお題があって、みんなそれを元に持ってきた文房具の話をしたり、思い出の話をしたり。順々に回していくみたいな感じで、老若男女6人かな? だからかなり年の幅もあったし、高校生から僕の歳までみたいな感じで程よく均等に分かれる感じで。

【きだて】それが結局、他故さんがやりたかったことに近いんじゃないのかなと思ってちょっと見てたんだよ。

【他故】実質そうでした。参加してみて分かったのが「あ、やっぱりこっちだったな」っていう。

【高畑】だから、そういうのを他故さんなりの枠組みを作ってやるっていうのが、もしかしたら答えなのかもしれないし。

【他故】なので、今年はそういうかたちで、できれば対面をもって生で会えるような場所みたいなものが作れて、あんまりギュッと縛られない感じの文房具の話ができる小さい会がちょこちょこできるといいなっていうのは思っています。

【高畑】だから、それぞれ場を作る話かなというか、きだてさんも他故さんもそんな感じのところに来てるんだなっていうのが、なんとなく興味深いというか。

【他故】原点回帰の感じはあるけどな。

【きだて】原点回帰もあるし、コロナでちょっと疲れたんだよな。

【他故】それもあるよな。

【きだて】人と会って、対面で文房具のやり取りしたいみたいなところもあって。現状まだね、全然コロナ明けとは絶対に呼べないんだけども。

【高畑】とは言いながらも、大分変わってはきたじゃない。

【きだて】俺は感染リスクが高くて注意せざるを得ないから、まだ緊張感はやっぱだいぶ強いんだけどね。とはいえ、やっぱりイベントはしたいね。

【他故】したいね。

【高畑】イベントしたい感になってるのかなーっていう感じになってるのかな。

【他故】でかいやつはなかなか難しいし、そもそもの準備もあったり、いろいろ大変なの分かってるので、本当に小規模な会をやりたい。サクっとできるやつ。

――カフェとかに集まって数人で話をするみたいな。

【他故】全然そんなのでいいです。カフェとか時間貸ししてるような部屋とか、結構都内でも安いやつがあったりするので。場所によって集まれる人が違うかもしれないけども、そのときには都内であればちょっとは転々としてもいいかなと思ってるので、何か上手くできないかなっていうのはぼんやり思ってるんですよ。

――オオイマチ・ブングジャムの2次会みたいな感じ?

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2023年8月26日に品川区立総合区民会館きゅりあん 8Fイベントホール(東京・東大井)でトークライブ「オオイマチ・ブングジャム #17」が開催された。


【他故】そこまで熱量なくていいと思うんですよ。文房具について語るっていうだけで、ちょっとハードルになる部分があると思ってるので。まあ、まずやってみないと分からないですからね。どの町でやるかで大分違うと思うので。

【きだて】そんなに大きい座組は必要ないから。「ちょっと今日は横浜の方でやってみましょうか」とか、「今日はちょっと大宮でやりましょうか」とか、なんかそういう感じでちょっとあっちこっちでやってみるの面白いかもね。

【他故】今考えてるのが、おそらく4から6人いれば全然OKみたいな会。確かに、あんまり少なくなっちゃってワンオンワンになっちゃうとさすがにきついと思うので、せめて回せる人数で4から6ぐらいいてくれれば楽しめるかな。

【きだて】あとはテーマだよね。それこそ「おすすめ文房具を紹介し合う」ってのは、かなり筋の良いやり方だと思うんだ。わりと喋りやすいというか、自分の推しを語りたい欲求にも合うわけじゃない。その辺で上手いこと話が弾むシステムが他故さんの方で用意できればいいよね。

【他故】こっちが喋るんじゃなくて、相手にしゃべってもらえるようなネタっていうのをいくつか想定しながら、ちょいちょいやってく感じかな。

【高畑】話の中で回しやすいというのもあるけど、話しやすいもそうだし、行きやすい感じとか、参加しやすさとか。BUNGU SQUADの人はそこら辺をサイコロ転がしたりして色々と工夫してるんだと思うし。

【他故】してるね。

【高畑】どう告知するかとか、どんな設定にするのかっていう、それにもよるよね。

【他故】そうだね。

【きだて】その辺、俺とか文具王って、基本的には自分がしゃべりたい人なんだけど、他故さんはそういうわけでもないじゃない。

【他故】まあ、どちらかというと人の話を聞いてから喋る方だからね。

【きだて】だから、ジャムの中で誰ができるかといったら、他故さんしかできない話なので、その方向で盛り上がるといいよね。

――聞き役として。

【高畑】俺は、人の話を聞いてないからね。

【きだて】本当それな(笑)。

【他故】ははは(笑)。まあ、なので「やりたい」っていう気持ちは今確かに間違いなくあるので、どのぐらいのことができるか含めてちょっと構想しつつ準備をしてみたいなとは思います。

【高畑】ラジオも、なんだかんだ言いながら定番化したし。

【他故】おかげさまで。

ブンボーグ大作戦2.jpg2023年6月3日には、他故さんがふじいなおみさんと一緒にパーソナリティを務めているラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」初の公開録音が行われた。


【高畑】発信する場所は、他故さんのフィールドでラジオがあるじゃないですか。自分がやりたいことができる場所があるわけで。それの別バージョンとして、別のそういう遊び方を提案するのはあるのかな。

【きだて】他故さんが聞いてきた話を我々も読みたいので、対談集とかそういう形にしてくれたら。

【他故】インタビューした方には、一応文字起こしまではしてるので、あとは許可もらって出せるかどうかっていうのをもう一回確認して、OKであればどこかに載せるようにはするので、それはやります。

【高畑】広がりを作るために、「何かやりました。楽しかったよ」っていうのがちゃんと広がっていくと、次に参加したい人っていうのが出てくるからね。

【きだて】それを見て参加したい人が出てくるからね。そういう楽しいのを、我々にも分けなさいよっていう(笑)。

【他故】ははは(笑)。分かりました、頑張ろう! ラジオがらみでなおちゃん(ふじいなおみさん)にも協力してもらって。

【高畑】だからといって、僕ときだてさんがその会に参加してしまったら、5人ぐらいしかいない中の3人が俺ら3人とかだったらさ、もう他の人はしゃべれないじゃんね。

【他故】黙っててくれるならいいけど(笑)。

【高畑】だから、僕とかは特に参加しない方がいいと思うのでね。

【きだて】偉いな、ちゃんとそういう自覚はあるんだな、君は(笑)。

【高畑】僕は、自分が喋りたいからイベントやってんだよ。そらそうだよ、聞きたいからイベントやってるわけじゃないんで。性格の問題だと思いますけどね。だから、僕みたいに壁に向かって1時間とか2時間とか喋っていられるわけで。それはしょうがないよ。

【他故】むしろ尊敬するよ、あれは本当に。

――そういえば、去年その話をした時に、「文とびに載せたらどうですか」みたいなこと言ってましたよね?

【きだて】言ってましたね。

【高畑】「他故の部屋」はどうか、みたいな話をしたよね。「それじゃタコ部屋じゃないか」って(笑)。

【他故】したね。

【きだて】話を聞いた人で「写真載せるのは嫌だ」っていう人がいるかもしれないけど、そういう場合は他故さんが似顔絵書いてあげるとかさ。そういうのも他故さんの強みじゃん。

【高畑】話の面白かったところを上手く拾って、表現してあげれば。それこそ、文とびで「あの人のペンケース」っていう企画があるけど、そういうジャンルじゃなくて、他故さんが人の話を聞くっていうので、「今日はこんな面白い話が聞けましたよ」みたいなのでいいんじゃないですかね。文とびじゃなくてもいいけどね。ラジオのコーナーでもいいと思うし。

【他故】そうだね。

【高畑】ここ数年で、きだてさんが場所を作って、他故さんはラジオ、僕はYouTubeやってみたいな感じで、活動する何かしらのフィールドがそれぞれできたのは、ある意味良かったなというか。3人がそれぞれに何かフィールド持ってるのはなんか面白いなとはすごく思う。そこは他故さんの強みとしてできたらいいな。

――聞き役としての他故さんのまた新しい一面が見られるかもしれないですね。

【他故】そこは伸ばしていきたいですね。

【高畑】イベントに出るっていうよりは、「他故さんのところですごい喋りたい」みたいな。何か「徹子の部屋」に出たいみたいな感じの。

【他故】ははは(笑)。頑張ります。

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プロフィール

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。新著は『人生が確実に幸せになる文房具100』(主婦と生活社)。
https://bungu-o.com/


きだて たく

小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
小学生のころから文房具が好きで、それが高じて文具メーカーに就職。ただし発言は勤務先とは無関係で、個人の見解・感想である。好きなジャンルは書くものと書かれるもの、立つ文房具と薄いペンケース。30分間文房具のことしか語らないトーク番組・775ライブリーFM「他故となおみのブンボーグ大作戦!」パーソナリティ。たこなお文具情報室所属。
「他故となおみのブンボーグ大作戦!」番組ホームページ https://daisakusen.net/

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