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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #8「うまく引ける修正テープ」

波子

[毎月25日更新]

初めて「修正テープ」を使ったとき、とても感動したことを憶えています。不器用な私でも修正液のように表面がガタガタにならず、ペンで書いた文字が手軽に修正できるのがとても便利で嬉しかったのです。
ところが、私の不器用っぷりはテープを引くときにも発揮されました。
うまく接着してくれなくて一部が剥がれたり、きれいに貼り終われなかったり。
「便利だけど、使い方にコツが要る」。まださほど手の力の衰えを感じていなかった頃の私でさえ、修正テープはそんな文具でした。

でも、文具の進化は侮れません。
今回は、ここ数年で私が感じた「使いやすい」修正テープをいくつかご紹介します。

トンボ鉛筆の修正テープ


ご紹介するのは、すべてトンボ鉛筆の修正テープです。形状は様々ですが、いずれも「修正テープがうまく引ける」のを実感しています。
ですので、今回は「持ちやすさ」についてそれぞれの印象をお伝えします。

2010年発売の「MONO PGX」は、本体が後ろに長く細長い弓状の形をしています。指に触れる面積が増え、安定して持つことができます。
人差し指の根元と親指、中指の3点で支えればテープが引けて、あまり力が要りません。つまむと言うより軽く「はさむ」感覚で、指先でつまむのが苦手でも使いやすいです。

20181025namiko2.jpg

「MONO PGX」


私が形として好みなのは、2013年発売の「モノエルゴ」。人間工学(エルゴノミクス)に基づいた形状で「自然に最適な持ち方に誘導され」、「修正テープが苦手な人でも上手に使える」修正テープです。
本体の絶妙な曲線が握った手の中に見事に馴染み、とても安定します。ずっと持っていたくなるフィット感があり、とても好きです。

20181025namiko5.jpg「モノエルゴ」



2016年に「モノエアー(使いきりタイプ)」が登場したときは、かなり驚きました。見た目はただコンパクトな修正テープなのですが、手に取ってテープを引いた瞬間に目を見開くことに。
めちゃくちゃ軽いんです。音を立てずにススーッと引けてしまう軽さは、力をこめる必要がまったくありません。「修正ヘッドを紙面に押し当てたり離したりする力を利用してテープ走行をコントロール」することで、引く力を同社従来品よりも「使い始め(テープ10m時)で61%軽減、残量2m時で58%軽減」しています。
一般的な修正テープならしっかりつまむように持つ必要があるこのコンパクトさで「力が要らない」のはすばらしい。
2017年には一回り大きなサイズで「つめ替えタイプ」も発売されました。

20181025namiko3.jpg「モノエアー」



そして先日、文具売り場で出会った新たなモノエアーが、今年7月に発売された「ヨコ引きタイプ」でした。既に使いきりタイプであの軽さを体験していたので、その感覚のつもりでテープを引いてみたところ。
またしても、目を見開く羽目になったのです。
なんだこれ、引いた感触がないくらい軽い!
…きっと私には、横引きのかたちが合っているんでしょうね。
手にしっかりと包まれているため、軽すぎて手から離してしまうこともありません。
驚きの軽さ、ぜひ体験してみてください。

20181025namiko4.jpg「モノエアー ヨコ引きタイプ」




こうして、異なるアプローチによって、様々な形状の「軽い力で使える修正テープ」が登場しています。
好みで選べるというのは、とても嬉しいことですね。

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて「車いすでみるなら」連載中。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」 http://nam-kid.hatenablog.com/

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