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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.81 ブング・ジャムの2023年ベストバイ文具 その3

文具のとびら編集部

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は、年末恒例企画として、ブング・ジャムのみなさんに2023年のベストバイ文具を紹介してもらいます。

第3回目は、高畑編集長のベストバイ文具、積水マテリアルソリューションズ「STSテープカッター」です。

写真左から他故さん、きだてさん、高畑編集長*2023年11月11日撮影
*鼎談は2023年11月27日にリモートで行われました。

超便利な掘り出し物

文具王1.jpgSTSテープカッター(OPPテープ用)」(積水マテリアルソリューションズ)

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――最後は高畑編集長ですね。

【高畑】文具系じゃないやつで、「STSテープカッター」というんですけど。

【きだて】それはPPテープを入れるやつ?

【高畑】PPテープを入れる、よくあるタイプのテープカッターなんですよ。もちろん、これはクラフトテープもいけるんですけど。最近、テープカッターも色々使っていて、クラフトテープのはね、確かにデザインフィルのやつは結構いいんですよ。あれはかっこいいし、いいんですけど、これは全然泥臭い格好でさ、よくあるタイプのやつで「別に」って思うじゃん。思うんだけど、これがね、めちゃくちゃいい。で何がいいかって、ここがさバネなのね。

【他故】テープを入れるところが。

【高畑】ここがバネになっていて、テープが回らないんだよ。これでこのテープを引っ張り出そうと思って引くじゃん。テープを引くときの向きの反対側がバネなので、テープを引き出そうとするとバネがちょっと押されて浮くんだよ。

【きだて】なるほど。

【高畑】テープ外すとさ、この内側のところに突起が付いているんだよ。

【きだて】あるね。

【高畑】ちょっと尖ったやつが出ているんだよ。これが引っかかるから、テープが回んないの。だから、引っ張ったときしか動かなくて、それ以外のときにはテープが回らないのよ。

【他故】ああそうか、テンションがかかっているんだ。

【きだて】おお、これめっちゃ良くないか。よくできてるな。

【高畑】透明テープの何がダメなのかっていうと、テープが戻るからダメなんだよ。

【きだて】そうそう。

【高畑】テープが戻ったときにここにくっついて、もう1回はがさなきゃいけないのが一番ダメなパターンで。

【きだて】PPテープって、使うたびにそこから始まるもんだと思っていたよ。

【高畑】そうなんだよ。 PP テープのカッターっていっぱいあって、切りやすいものはいっぱいあるんだけど、この状態から使っているうちはいいんだけど、使ってしばらく置いとくと、これがベロンって戻って、こっちにペタッてくっついちゃうんだよ。で、その次に最初使うときがめっちゃめんどくさいんだけど。これをね、どうにかして戻らないようにテープを折り返して、ひっつかないようにしたりとか色々していたんだけど。そういうこっちゃなくて、回らなければ戻らないっていう。この凸凹にちょっとペロって引っかかっているだけなんだけど、もうこれで十分戻らないんだよね。テープが回らなければ。

【他故】面白いね。

【きだて】それ積水?

【高畑】じゃなくてね、STSという地味なメーカーなんだよ。

【他故】知らないな(笑)。

【高畑】モノタロウとかで探していたら出てきて。

【きだて】いま検索かけたら「積水の STSテープカッター」ってなっているよ。

【高畑】ああそうだ、「積水マテリアルソリューションズ」の STS。

【他故】本当だ、積水なんだ。

【高畑】積水系のメーカーさんなのかな。このホームページを見たら、めっちゃ地味な動画があって。おじさんが「これが回らないからいいんです。バネが付いているから回らない、すごいやつなんだよ」って言って、「ここがポイント」ってすごい書いてあるんだけど、「これ知らんかった」っていうのが俺的にはね。この巻きつき防止機能が戻らない。

【他故】今、ヨドバシカメラにあったのでポチりました。

【きだて】俺もポチりました。

【高畑】たまに、僕の YouTube で「これが良い」って、ライブのときに言ったりすると、これ買って使っているっていう人も何人かいるんだけど。「テープの端が見つかるっていうのはすごい大事」っていうのが今年の発見で、これ4つ買った(笑)。

(一同爆笑)

【きだて】相変わらず、1個じゃ収まらないやつだな(笑)。

【高畑】普通の透明テープと、最近かわいらしい透明テープがあるじゃん。台湾でこの間買ってきたやつで、可愛い模様が付いている。荷物送るときに大体こっちで送るんだけど、普通の透明じゃないとダメだねっていう場合もあるじゃないですか。3Mのテープとかも使っていたんだけど、これが毎回張り付いてすごいイライラしてたから、これに買い替えて使っている。何でもいけるよっていうので、テープは別に種類は選ばないんだけど、クラフトテープだとデザインフィルの「クラフトテープカッター」の方がギザギザとかはキレイなのね。

【きだて】うん。

【高畑】クラフトテープはすぐにはがせるから、別にこれじゃなくてもいいんだけど、透明テープは絶対こっちがいい。

【きだて】本当にね、切り口分からなくなると辛いじゃん。

【高畑】あと、PPテープは薄いのが多いじゃない。薄いやつってさ、すぐに裂けるじゃん。一周回っちゃうと、もうどこがスタートだか全然分かんないみたいになるのが嫌なので。僕はもうね、本当にこれが良くて、これ 4 つ今使っています。

【きだて】俺は、毎回その切り口のところを折ってやっていたけど、折っちゃうとその先端は次に使えないのがねー。

【高畑】そこだけカットして使うじゃん。

【きだて】あれがまたなんかストレスだったんだけど、これいいね本当に。早く使ってみたい。

【他故】ははは(笑)。

【高畑】多分、きだてさんは気に入ってくれると思います。

【きだて】何か、俺の大好きな発明の匂いがするよ。

【高畑】たまにね、こういうのを見つけると。いや僕らね、文具情報にはそれなりに敏感なわけじゃないですか。だから、大概の情報は「文具のとびら」にバンバン記事を載っけているから。僕なんかもう毎週見ているわけですよ。なんだけど、そこにあんまり載らないやつをたまに見つけると、ちょっと嬉しかったりするわけですよ。

【他故】分かる、分かる。

――これはなかなか載らないですよね。

【高畑】しかも、これは何時から出ているか知らないけど、別に新しくもないと思うんだよね。ただ、俺が発見するのが遅かっただけの話で。もしかしたら、業界の人は普通に知っていて、知っている人は普通に使ってたんじゃないかなと思う。

【きだて】そうなのかね。

【他故】ヨドバシカメラのが同じだとすると、ヨドバシの登録日が2016年だから、かなり前からあることになるね。

【高畑】だから、そのぐらいからあるんじゃない。だから、それを知らなくて、これが去年か今年ぐらいに買って、それからもうずっと使っているんだけど、これはなかなか良いですよ。たまにほら、土牛産業みたいなのを見つけると面白かったりするじゃないですか。

【他故】そう、分かる。

【高畑】ちゃんと現場の工夫がされているのが良かったりするので。まあ、文具のジャンルからすると、ちょっと脇になるけど、工具系の道具はなかなか良いのがたまにあるので。だから、たまにはホームセンターとか建材系とかああいうところをウロウロしていると発見があるよね。

【きだて】俺なんかは素人としてはかなりホムセンをうろついてる方だと思うんだけど、それでも全部はチェックしきれないじゃない。こういうの他人が見つけていると悔しいなぁ(笑)。

【他故】ははは、同じ売り場見ていたかもしれないのになぁ(笑)。

【きだて】俺が見つけたことにならんかな。

【他故】もうならんわ(笑)。

【高畑】文具じゃないんだけど、この間買ったやつですごく良かったのがあるんだけど、使い捨てのマイクロファイバークロスって知ってる?

【他故】使い捨て?

【きだて】あのメガネ拭きみたいなやつの?

【他故】昔、メガネ屋でもらったことあるけどな。そういうのがあるの? 箱で?

【高畑】これ、マイクロファイバークロスの使い捨てなんだよ。ティッシュぐらいの大きさの箱に入っていて、出てくるのが結構ちゃんとしたマイクロファイバークロスなんですよ。

文具王2.jpg【きだて】使い捨てにしていいものなのか?

【高畑】これがね、20枚入りで300円とかそんなんだよ。多分、500円しなかったと思うので、ちょっとすごく安くて。もちろん、これ全然普通にメガネとか拭いてキレイになるんだよ。だからこの 1 箱分で、今までシートで買っていたじゃん、あれがシート1枚で1,000円とか普通にしてたんだけど、これで十分って感じだし、汚れたら捨てれるからって思うといろんなところの掃除とか。あと。僕とかきだてさんとかが電卓の写真とか撮るときに新品で拭いてやれるから絶対に汚れないんだよ。

【きだて】そうか。

【高畑】そのあと、段々下ろしていって、キッチンの掃除に使ってとかっていう使い方ができるんで、これめっちゃいいです。

【きだて】それ自体は、ターゲティング広告的なやつで見たことはあるな。記憶には残ってるわ。

【他故】へぇ。

【高畑】一箱試しに買ったんだけど、めちゃくちゃいいから、今度またカインズに行ったら買おうと思っているんだけど。「キムワイプ」とかも全然良いんだけど、あれはあれでまた別用途なので。マイクロファイバーのいいところは、汚れを拭き取れるので。その後キッチンとかやってたり、お風呂とかトイレとかを拭いて捨てるみたいな。だんだん下ろしていって、汚いところにおろして捨てるみたいな感じで。思ったより汚れがキレイに取れるんでおすすめです。

【他故】本当だ、これいいね。うちもね、徒歩圏内にカインズができたんですよ。めちゃめちゃ便利なんだけど、これちょっと今度見に行こう。

【高畑】ホームセンターもね、馬鹿にならないなという感じなんだよね。ああでも、1,000円ぐらいはするのか。俺の記憶違いかな。Amazon だと1,000円って値段が付いているので。

【他故】カインズのオンラインショップだと298円だよ。

【高畑】やっぱりそれが正しいかも。じゃあ、カインズで買って下さい。

【きだて】カインズ、いまハンズ新宿店の上にできているじゃない。そこで…よし、売ってるな。今度新宿に出たときに買いに行こう。ウチの近所にはないんだよね。

【高畑】品質が、普通にマイクロファイバークロスとしてちゃんとしているので、全然いいです。これ使い捨てにできるんだと思って、ちょっと感動したので。僕とか多分きだてさんとかは、写真を撮るためにキレイに拭きたいんだけど、ティッシュの毛ボコリが残っちゃって、みたいなのはよくあるじゃん。そういうのに使えるのが劇良いです。

【きだて】ちゃんとそれ用にセーム革とか使ってるんだけどね。

【高畑】セーム革も、安いのがあれば汚れたら新しいの使えるよぐらいのがあったらいいよ。

【きだて】確かに、それぐらいの気楽さがあればいいね。

【高畑】なので「お試しあれ」な感じなんですけど。まあそれはそれとして、テープカッターとかも業務用でちょっと面白い発明があって、これは僕が地味にベストバイというところで。

【きだて】なんか色々おすすめされたな(笑)。

【他故】これはいいね(笑)。

【高畑】ベストバイで、あんまり文具業界じゃないやつもたまにはいいね。

――そのテープカッターはOPP じゃなくてクラフトテープもいけるんですか?

【高畑】クラフトテープもいけます。透明テープの方が他のよりも全然効果があるよっていうだけで、別にクラフトテープでもいけるし、養生テープとか布テープとかでも切れるっちゃ切れるんだけど、その辺テープはまあ別になくてもいいので。

――買うときはカッターだけなんですか?テープが付いているわけじゃないんですね。

【高畑】カッターだけです。ただそっけないプラスチックのやつで、しかも値段もそんなに高くないんだよね。

【他故】今買ったら、398円とかそんな値段だった。

【高畑】だからめっちゃ安いんで、いいかな。

【きだて】そういえば、養生テープなんだけどさ、アスクルの透明なやつ見た?

【高畑】見た見た。

【きだて】あれすごくない? 繊維とか全く見えないのに切れるし、すげえ透明だしで。

【他故】へー。

【高畑】あれちょっと工夫がいるじゃん。切るときに「勢いよく切って」って言われたんだけど、あんなの別にテープカッターに入れちゃえばいいじゃんって俺はなんとなく思ってるんだけど。

【きだて】いやでもね。手で勢いよくやれば普通に切れるので、これいいよ。

【高畑】その養生テープいいよね。

【きだて】これで養生テープなんだよ、他故さん。この透明度で。

【他故】これ本当? すごいね。

【高畑】中に縦横繊維が入ってなくて、白っぽい曇りがないので。アイスクルの人が言うには、養生テープの用途のかなりの割合で、ポスターとかお知らせをとりあえず貼るのに、貼ってはがせるから養生テープを使っている人が多いんだけど。でも貼ったところの縁の部分が読めなくなったりとか読みづらかったりするので、キレイじゃないしみたいなのがあって、それで作ったらしいよ。

――「現場の力養生テープ」というやつですか?

【きだて】そう。よく見たら、これも積水だったよ。

【高畑】なんか、そういう地味な技術がニチバンとは違うところだね。元々日本のそういうテープを作っていた老舗だからね。

【きだて】積水は工業用テープとかいっぱい作っているもんね。

――これも、そのテープカッターに入れておけるのかな。

【高畑】もちろん入れられるし、手ですぐ切れるから入れなくてもいいし。養生テープはすぐはがせるから、そんなに大きな意味はないんだけど。

【きだて】透明だから、切り口ちょっと探しづらいよ。

【他故】そうか。

【高畑】一番気になるのはこれだね。

【きだて】PPテープが一番だね。

【高畑】あとね、ちょっと最近のおすすめね。

【きだて】まだあるのかい(苦笑)。

【高畑】カインズのおすすめはね、この三角のクッション(タブレットスタンドクッション)。

【他故】クッション?

【高畑】ヒザの上に載せて、本を読む用なんだよ。これめっちゃ使ってる。もう、本持っている手がだるいんだよ。分厚い専門書とかは。なのでこれはめっちゃ使ってます。

文具王3.jpg【他故】TVショッピングみたいだな(笑)。

【高畑】案外、そういういいものがあるよっていう。ここでおすすめし合いながら、みんなに教えてもらったものを買うという。

【他故】いいね。

【高畑】俺も、他故さんやきだてさんに紹介されて買ったものがあるから。

【他故】結構あるよね(笑)。

【高畑】そこは信頼筋なので。

【きだて】変なものは薦めないという。

【高畑】という感じで、どこまでがベストバイなのか分からなくなりましたけど(苦笑)。

――色々とご紹介いただいてありがとうございました(笑)。

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プロフィール

高畑 正幸(たかばたけ まさゆき)
文具のとびら編集長。学生時代に「究極の文房具カタログ」を自費出版。「TVチャンピオン」(テレビ東京系列)の「文房具通選手権」では、3連覇を達成した。サンスター文具に入社し商品企画を担当。現在は同社とプロ契約を結び、個人活動も開始。弊社が運営する文房具のWebマガジン「文具のとびら」の編集長も務めている。著書は『究極の文房具カタログ―マストアイテム編―』(ロコモーションパブリッシング)、『究極の文房具ハック』(河出書房新社)、『そこまでやるか! 文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評』(日経BP社)、『文具王 高畑正幸セレクション 一度は訪れたい文具店&イチ押し文具』(監修/玄光社)、『究極の文房具カタログ』(河出書房新社)、『文房具語辞典』(誠文堂新光社)と、翻訳を手がけた絵本『えんぴつとケシゴム』(KADOKAWA)。新著は『人生が確実に幸せになる文房具100』(主婦と生活社)。
https://bungu-o.com/


きだて たく

小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
小学生のころから文房具が好きで、それが高じて文具メーカーに就職。ただし発言は勤務先とは無関係で、個人の見解・感想である。好きなジャンルは書くものと書かれるもの、立つ文房具と薄いペンケース。30分間文房具のことしか語らないトーク番組・775ライブリーFM「他故となおみのブンボーグ大作戦!」パーソナリティ。たこなお文具情報室所属。
「他故となおみのブンボーグ大作戦!」番組ホームページ https://daisakusen.net/

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