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【連載】『小粋な手紙箱』 #80・てがみのえほん

田丸有子

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタントの田丸有子さんは、子どもの頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの手紙好き。コンサルタントとして手紙文化を広めるために活動している田丸さんに、手紙の書き方のコツや手紙に関するトピックなどを毎月紹介してもらいます。

手紙で気持ちを伝えよう!

山粧う季節となりました。みなさま、お変わりなくお過ごしでしょうか。

さて、今日は、伝説的なアートディレクター堀内誠一さんの手紙にまつわる本を2冊ご紹介します。堀内誠一さんは、雑誌「an・an」「クロワッサン」「BRUTUS」「Olive」などのタイトルロゴを手掛けたグラフィックデザイナーであり、「くろうまブランキー」「ぐるんぱのようちえん」などでも知られる絵本作家でもあります。

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1冊目はその名も「てがみのえほん」。
福音館書店が出版している絵本の月刊誌「こどものとも」が200号を迎えた記念に描かれた絵本で、あちこちから届いたお祝いの手紙を紹介する内容となっています。各国から届く手紙には、その国の美しい切手が描かれています。各国とはドイツやアフリカ、はたまた想像力を掻き立てられる架空の国まであります。手紙を送ったのは、有名な物語の主人公や動物やロボットなど。最後の見開きのページがまた良いのです。「こどものとも」で紹介されてきた絵本界の人気者たち一同が集まって感謝を述べています。きっとみなさんがよくご存知の絵本のキャラクターもその中にいるに違いありません。カラフルなイラストが明るい気持ちにさせてくれますし、自由な手紙文も読んでいて微笑ましい。小学生向けの絵本ですが、手紙や切手がお好きな人なら堀内誠一さんの切手のイラストを見るだけでも楽しめるでしょう。

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2冊目は「パリからの手紙 ヨーロッパ スケッチ ドキュメント」です。
「誰でも、外国にくると、絵ハガキぐらい出すようになりますが、私は手紙魔になりました。」と書かれている通り、堀内誠一さんはパリに住みはじめてから何通もの手紙を書き送っています。相手は、詩人の岸田衿子さん、谷川俊太郎さん、画家の山脇百合子さん、作家の石井桃子さんなど錚々たる顔ぶれです。初版は1980年ですが、最初の手紙は1974年に書かれたものですから、50年ほど前のパリの雰囲気がよく分かります。どの手紙も堀内さんのイラストが絵本の挿絵のように目を楽しませてくれます。堀内さんの直筆をそのままを印刷したページもあり、手紙好きにはたまりません。大型の本ですが、私が常々こんな風に書きたいと夢見ている理想の手紙が一冊の本になったような、手紙の魅力、パリの魅力、そして何より堀内誠一さんの魅力がたくさん詰まった本です。

手紙トピック

堀内誠一さんの本をパラパラとめくって楽しんでいましたら、群馬県立館林美術館で『堀内誠一 絵の世界』展が開催されているという情報が入ってきました。 これは観にいかないわけにはいきません。爽やかな秋晴れの日にさっそく訪れました。

堀内誠一さんの抜群のセンスを感じさせる数々の作品や、直筆の手紙をはじめとする、生活スタイルを垣間見ることのできる展示は大変興味深いものがあり、会期中にもう一度観に行きたいと思うほどです。

ご紹介した「てがみのえほん」の原画も展示されており、切手の目打ちを鉛筆で書いて消した跡が見られました。それを見た途端、急に親近感が湧いてきて、堀内誠一さんはこのデザインを楽しめたかしら、描くにあたりどんな工夫をしたかしらと、もし今もご存命でお会いできたら聞いてみたい質問がたくさん頭に浮かびました。ちなみに「てがみのえほん」に描かれている切手はシールとしてミュージアムショップで販売されていましたが、これが本当に切手なら良いのに! と思わずにいられません。

堀内誠一 絵の世界』 12月17日まで開催。

今月のマキシマムカード

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テーマ: 秋の色
ポストカード: もりとしのり
切手:秋のグリーティング(2017年)
風景印: 八東郵便局

お知らせ

★手紙やメールの書き方の基本について通信講座があります。
忙しい人でも自分のペースで学べます。
楽しく学んで手紙上手になりましょう!

入門講座 /通信講座「手紙の書き方講座」
ビジネスメール講座 /通信講座「仕事で差がつく!メール・文章の書き方講座」
美文字講座 /通信講座「仕事で差がつく!実用美字・美手紙講座」


★ 体験講座も有ります!
月に一度、オンラインで手紙の書き方講座を開催中。
みなさまのお申し込み、心よりお待ちしています!

(社)手紙文化振興協会 体験講座スケジュール

プロフィール

田丸有子(たまるゆうこ)

(社)手紙文化振興協会認定・手紙の書き方コンサルタント

子供の頃から「手紙魔」と呼ばれるほどの文通好き。でも手紙の何がそこまで自分を魅了するのか、深く考えたことはありませんでした。講座を受けて一番良かったことは、手紙が私の憧れを実現する手段であると気付いたことです。自分を表現することで人に喜んでもらいたい。叶えるために出来ることは何かずっと探してきました。その表現方法こそ私にとっての手紙であり、魅かれる理由なのだと気付いた瞬間、「やっと見つけた!」そんな気持ちになりました。

また、郵趣のコミュニティに参加したことで、手紙にも色々な楽しみ方が有ることを知りました。私が今夢中になっているのは、葉書と切手、消印をコーディネートするマキシマムカード。いかにセンス良く仕上げて個性を出すか、考えるだけでワクワクします。

奥深い手紙文化を通して自分の世界が広がっていく面白さを沢山の人たちと共有し、心を豊かにしていきたいです。

ブログ「手紙魔Yukoのお手紙ライフ
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