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【連載】他故となおみのブンボーグ大作戦!Bootleg  #30 「できないからやだ」を減らす文具たち

文具のとびら編集部

30分間、文房具の話題だけをお送りするラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ「なおちゃん」こと、ふじいなおみです。

番組では毎週たくさんの文房具が登場します。その中から、他故さんとなおちゃん2人で選んだ商品をピックアップ。より掘り下げてご紹介していきます。

今回は、9月3日の「ISOTレポート」でご紹介したぬりえーじゅの「虹色ぬりえ」です。

photo1.jpg色が映えるので、塗り終わった時の達成感も得られます

虹色ぬりえとは?

私は、このぬりえのことを今年の夏に開催されたISOT(国際文具・紙製品展)のホームページで知りました。

photo2.jpg黒の中に白い部分があるぬりえ


「虹色ぬりえ」と名付けられた塗り絵は全体的に黒く印刷をされていて、全体から見ると1/3ほどしかない白い部分に色を塗っていきます。使うのは7色が1つの芯になっている「レインボー色鉛筆」。もちろん人の肌やモチーフとして色が決まっているものは単色の色鉛筆で塗っても良いのですが、それ以外はレインボー色鉛筆で塗ると美しくみえるモチーフが選ばれていて、かつ色の出方は一定ではないので同じ人が塗っても同じものは決してできないのです。

開発者の杉井さんは、グラフィックデザイナーとして活躍されていました。ぬりえ教室をボランティア団体に登録したところ自治体からの依頼があり、ぬりえの元絵作成と教室を開催することになったそうです。これをきっかけにイラストレーターへの転換を図り、ぬりえ教室を開いてはフィードバックをしました。また、それまでに得たノウハウを活かすことで結果的に「塗りやすく、見栄えの良い元絵」を制作できるという強みを得たのです。

photo3.jpgお酒を飲みながら塗るコースターとレインボー色鉛筆


イラストのバリエーションが多いのも特徴です。お子さんや女性に好まれるようなかわいらしいイラストから、お酒を飲みながら楽しむコースター型のもの、クリスマスやハロウィンをテーマにしたもの、年配の方向けの落ち着いた柄のものまで、さまざまな世代に向けたデザインが取り揃えられているのです。

ふと思い出したムスメの言葉「上手に塗れないからやりたくないの」

筆者の娘が通っていた保育園ではよくぬりえをしていたようで、カバンを開けるとその日の作品が詰め込まれていました。年齢が低いうちは「塗る」というより、色がつくこと、描けることが楽しいのだろうなという大胆なクレヨンの線が描かれたものが入っており、徐々に「このスペースはこの色で塗りたいのだろうな」と想像がつくようなものに変わっていきました。自宅でも塗り絵はよく楽しんでいました。時には「お母さんと一緒に塗る」と共に時間を過ごしたこともありました。

ある時です。ぬりえをあまりしなくなった時期がありました。「どうしたの?」と聞くと「上手に塗れないからイヤ」とポツリと言ったのです。この言葉すら口にするのに勇気が必要だったようでした。子どもなりのプライドがあったのでしょう。一人っ子だから家では一緒にぬりえをする相手は大人。大人ははみ出さずに塗ることができるし、子供から見ればとてもきれいに塗ることができる存在……。自分はそれができないから恥ずかしいとか、悔しいとか、複雑な気持ちになっていたのかもしれないと今になって思います。

虹色ぬりえが解決してくれる2つの方法

虹色ぬりえは2つの問題を解決してくれるぬりえだと思っています。

photo4.jpg

色のマジックできれいに完成


一つ目は「失敗がないこと」。
たとえ塗る場所をはみ出したとしてもベースの色が黒なのでほとんどわからないのです。いわゆる一般的なぬりえのようにしっかりとした線で、塗る箇所が囲われているわけではありません。場所によってはイラスト自体の境界線がぼんやりと白くなっているのではみ出すとかスペースの中を完璧に塗るという考え方はそもそもいらないのです。

photo5.jpg服の部分は模様が細かすぎたので大胆に塗りました。でもきれいでしょ?


例え黒の部分を色鉛筆で塗ったとしても、ぼんやりソフトフォーカスがかかったような雰囲気が出るだけなのです。これならば少しぐらいのはみ出しはまったくわからないと感じませんか?

もう一つ解決していることがあります。これは番組内でもご紹介しましたが「レインボー色鉛筆の使い方の答えがここにあった」のです。

photo6.jpgこういう色鉛筆、見つけると買ってしまうのです


見た目がかわいいレインボー色鉛筆。虹色ぬりえで使用しているものは7色のものですが、メーカーや種類によっては一つの芯に含まれている色の数が3〜4色と少ないものもあります。筆者はこういう変わったものが昔から大好きで、「楽しそう」と思い購入。かなり早い時期から娘の色鉛筆入れに入れてありました。ですが、娘は初めのうちこそ興味を持っていたものの、徐々に手に取ることがなくなり、最終的には「これ、いらない」と言われてしまいました。

実際に筆者も使ってみたらわかりました。複数の色が混ざっているこの種の色鉛筆は、使う場所がとても難しいのです。

未就学児が楽しむぬりえのほとんどは、子ども向けテレビ番組やアニメメーションのキャラクターが描かれたものです。そのため、「この子の髪の色は青」「服はオレンジで」といった具合に色が子どものイメージの中で決まっているのです。レインボー色鉛筆を薦めると「単色の色鉛筆がいい」とはっきりと言われたこともありました。

私は何かいい使い方を探すためにレインボー色鉛筆にこだわって塗り続けた時期があったのですが、芯のよって個体差はあるものの、これらの色鉛筆は意図した色と異なる色が出てくる場合が多々あります。女の子のドレスやスカートなどにレインボーのグラデーションを作って塗る以外に用途があまり見つけられず、加えてきれいに塗り切るにはそれなりの技術が必要でした。結果、レインボー色鉛筆は我が家では宝の持ち腐れ状態にあってしまいました。

しかし、虹色ぬりえは、用紙が黒主体でどんな色で塗っても美しい「花火」や「植物」「夜景」などのモチーフが描かれています。なので、むしろ「次はどんな色が出てくるのだろう」とワクワクしながら塗ることができるのです。

同じように、「上手にできない」悩みを解決するための折り紙

「魔法のザラザラ下じき」や「手指で感じる凹凸書写ドリル」など、子ども一人一人の発達を応援する商品を展開している「できるびより」。このブランドにも似たような悩みを解決してくれる商品があったことを思い出しました。

ぬりえと同じ頃に娘が言っていた気がします。「私は折り紙が苦手なの。うまく折れないし……」。どうやら角を合わせられない。きっちりとアイロンがかけられない(アイロンをかける=指で折り目をきっちりとつけること)。そういう悩みが折り紙に苦手意識を持たせているようでした。

photo7.jpgできるびよりの「魔法のピタットおりがみ」


それを解決する商品として「魔法のピタットおりがみ」という商品が販売されています。

photo8.jpg表面の凸凹が机に吸い付くように滑らなくしてくれます


おりがみ表面に凹凸が施され、表面を下にしたときにテーブルとの摩擦が大きくなるため滑りづらくなっています。

photo9.jpgところどころ凹凸がない、折るための線がわかります


ですが、折り目をつけてアイロンをかけることの多い位置、対角線と縦横1/4、半分、3/4の位置などにはあらかじめ凹凸をなくし折りスジがつけやすいように工夫されているのです。

photo10.jpg頂点だけ色が違うのでわかりやすく合わせやすいです


加えて、角4カ所の裏面を見てみると真っ黒に塗られているのです。この印があるおかげで角がきっちり重なっているかを簡単に確認することができます。ちょっとした工夫なのにすごい!

photo11.jpg6色が各3枚入っています


魔法のピタットおりがみは6色が3枚ずつ入って一つのパッケージになっています。

「これは〇〇向けだから」と制限しない

例えば「虹色ぬりえ」は高齢者のリハビリとして使われていた塗り絵が原点です。「魔法のピタットおりがみ」は手指を上手に動かせない子どもたちが楽しめるように作られた商品です。でも、それ以外の人が使ってはいけないのかというとそうではありません。どんな人がどんな目的で使っても良いと私は思うのです。
例えば、子どもと一緒の折り紙で保護者が折る。一つの時を過ごしているという連帯感がありませんか?
虹色ぬりえには、お酒を飲む中年男性向けの商品というものもあります。中年男性は一番塗り絵と結びつかない世代ではないですか?しかもお酒を飲みながら塗るという意外な組み合わせです。なんだかワクワクしませんか?
その意外性から新しい何かが生まれるのではないか。とても楽しみにしています。

商品情報

ぬりえーじゅ
https://nuriezyu.com

「虹色ぬりえ」
https://nuriezyu.com/page04.aspx

できるびより
https://dekirubiyori.com

「魔法のピタットおりがみ」
https://dekirubiyori.com/products/origami/

ブンボーグ大作戦!こぼれ話

他故となおみのブンボーグ大作戦!では、メッセージをお待ちしています。文房具に関する内容ならばなんでもOKです。「こんな時におすすめの文房具ありますか?」という質問でも「私が使ってるこの文房具がめっちゃいいからみんなに知ってもらいたい」というお勧めメッセージでもOK。他故さん・なおちゃんのコーナーへの「この間紹介していた商品を使ってみました!」とか「私だったらこの商品をこう使ってみます」というような声もとても嬉しいです!

テーマがないと書きづらい方にはメッセージテーマも作っています。現在のメッセージテーマは「これがないと始まらないわたいの相棒文房具」です。

メッセージはブンボーグ大作戦!のメッセージフォーム(https://daisakusen.net/form/)からお送りください。
コーナー選択は「一番近い」ものを選んでくださいね。

採用された方には番組特製ステッカーをプレゼントしています。たくさんのメッセージお待ちしています!

プロフィール

【ふじいなおみ】
1979年北海道札幌市生まれ。ラジオパーソナリティ/文房具プレゼンター
ナナコライブリーエフエムで放送中のラジオ番組「他故となおみのブンボーグ大作戦!」のパーソナリティ及び制作・技術を担当。万年筆インク(中でもご当地インク)コレクター。
他故壁氏さんとユニット「たこなお文具情報室」として、文房具の楽しさを伝える活動を行っている。
2015年生まれの娘とともに知育・学童文具を使用しているため、リアルな声を届けられる数少ない存在である。
そして、きだてたくさんと色物文具をひたすら紹介する動画コンテンツ「イロブンの引き出し開けていこう」もYouTubeにて配信中。

【他故となおみのブンボーグ大作戦!】
埼玉県朝霞市のコミュニティFM「ナナコライブリーエフエム」にて放送中の30分間文房具の話題だけをお送りするラジオ番組。
パーソナリティーは他故壁氏&ふじいなおみ。
放送時間は毎週日曜日19:30~20:00/毎週水曜日 11:30~12:00(再放送)
FMラジオ77.5MHz(埼玉県朝霞市・志木市・新座市・和光市とその周辺地域)の他、パソコンやスマートフォンではListenRadioのサービスを利用すると気軽に聴くことができます。

詳しい聴き方は番組Webページへ
https://daisakusen.net/howto/

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