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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.44 デスク周りが映える!? 個性派小物系文具大集合!(その2)
本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。今回は注目の小物系最新文具を紹介します。
第2回目はヤマトのロールふせん「テープノクリップフセン」です。
(写真左から高畑編集長、他故さん、きだてさん) *2020年月25日撮影
*今回の鼎談は10月26日にリモートで行いました。
機能も色味も新しくなったデザイン系ロールふせん
――次は「テープノクリップフセン」です。「テープノフセン」にクリップと磁石が付いたということですね。
【きだて】個人的なことを言うと、磁石が付いてくれたことが一番嬉しいのよ。さらに言うと、もうちょっと強い磁石入らないかな。
【他故】ああ、それは分かる。うちもパソコンの周りに磁石が付けられるようになってるんだけど、これを貼っておくと落ちちゃうんだよね。もうちょっと強くなってくれると嬉しいね。
【きだて】このロール紙の重さで、結構ツルツルと落ちちゃうんだよね。
【高畑】確かに。
【きだて】仕事用机がスチールなので、基本いろんなものをあちこちに貼っ付けて運用というのが多いので、こういう貼っ付けられるふせんがあると便利なのよ。
【他故】うん。
【きだて】なので、期待をしたけど惜しいという。
【他故】「チームデミ」の箱から離れない。こっちのマグネットの方が強力だから(笑)。
――磁力が弱い理由は何でしょうね?
【高畑】それは、単純に磁石の大きさもあるだろうけど、あとはこの板が分厚いとか、割とサラサラとしたプラスチックなので、ほぼ摩擦がないからよく滑るんだよね。
【他故】ここに磁石が見えるんだけど、多分これが大した磁石じゃないということなんだね。
【きだて】もうちょっと大きいのが入ったら、また違ったかもしれないけどね。
【他故】でも、これネオジム磁石なんだよね。
【高畑】それはちょっとどうなのか分からないけど、摩擦係数が小さいと磁石って壁にくっついてても落っこちるのよ。
【他故】ツルツルしちゃってるからね。
【高畑】上の面にくっ付いていると落ちない。だから、磁力の問題というよりは、表面がサラサラし過ぎてて。
【きだて】そうか、摩擦か。
【高畑】ここの摩擦がないと落っこちてくる。ここが摩擦がゼロだったら、どんなマグネットでも壁についたまま落っこちてくるじゃん。だから、ここの摩擦力が必要なんだよね。そういう意味では、ここのプラスチックがサラッとしているからなのかな。ここに滑り止めシートみたいなのを貼ってあげたらいいか。スリーエムで出している、本棚から本が滑り落ちてこないようにするテープみたいなのがあるじゃん。ああいうのをちょびっと貼ってあげると、もう絶対落ちてこないけど。
【きだて】そうすればいいか。
――試しにセロハンテープを貼ってみましたが、さっきより滑り落ちなくなりましたよ。
【高畑】そう。それはどのマグネットにもある話で、最近は「マグネットに滑り止めを付けました」というのはよくあるんだよね。
【きだて】あるね。マグネットフックなんかでも。
【高畑】これって、前に「テープノフセン」(写真)があったわけじゃないですか。あれが良かったのかなと思っていて。だって、「グッドデザイン賞」のベスト100だものね(*グッドデザイン特別賞も受賞=こちらの記事を参照=)。それはすごいなと思うわけですね。
【他故】ああ、そうね。
【高畑】そういうすごい商品があって、そこからまたバージョンアップというか、何かしたかったんだろうな。それで、クリップとマグネットを付けるという、ちょっと欲張っちゃった感はあるんだけどね。
【他故】まあ、そうだね。
【高畑】俺的には、マグネットだけでよかったかなとちょっと思う。あとは、マグネットと鉄板にして、「テープノフセン」同士をくっ付けることができるようにする。
【他故】あ~なるほど。
【高畑】これ色違いで使いたくなるから、何色か持ってるとそれを横につなげて使えるといいなと思う。
【きだて】さらに言うと、「テープノフセン」のこの美しさは、立てて置いておきたいんだよね。寝かせるんじゃなくて。あと、クリップがボコッと飛び出しているのが、ちょっと見た目的に好きではない。
【高畑】こっち側にクリップが無い方がきれいなんだよね。そういう意味では、真っ平らな状態で連結できた方がよかったかなと思う。
【きだて】確かに、そういう意味で、磁石でくっ付けて立てた状態で置けるというのは、かたちを生かす意味ではベストなのかもしれない。
【他故】ああ。
【高畑】前の「テープノフセン」がきれい過ぎたんだよね。
【きだて】そうなんだよ。比べちゃうと、前のシンプルな方がかっこいいと思っちゃうんだよね。
【高畑】でもね、今回色がちょっと柔らかくなったのよ。
【他故】そうだね。
【高畑】「テープノフセン」って、色がパステル調になっていて、このシリーズって「メモックロールテープ」と同じになるのかな。
【きだて】同じロールだよ。
【高畑】同じ形状で幅も一緒でしょ。これって、「メモックロールテープ」の15㎜と同じなんだよね。「メモックロールテープ」は、全面のりのロールふせんとしては有能なわけですよ。それのパステル調だと考えると、「テープノクリップフセン」はそれはそれで良いと僕は思うんですよ。この色すごい好きなんですね。「テープノフセン」の蛍光色って、結構きつかったんだよね。
【きだて】「ザ・ふせん」の色だったんだよね。
【高畑】そう。だから、今回のふせんの色は柔らかくて好きなんですね。
【きだて】今回、白があるじゃん。
【高畑】うん、ある。
【きだて】白がすごくいいなと思って。
【高畑】普通に便利だよね。
【きだて】ちょっと書いて貼っておくのに、白が一番書きやすい。注意喚起にはならないんだろうけど、ほんの1行メモを貼っておくぐらいの用途だと、見やすいし使いやすい。
【高畑】蛍光色だと、上に文字を書くと目がチカチカするじゃないですか。これは圧倒的に読みやすいんだよ。むしろ、この色をベースにして「メモックロールテープ」を作ってほしい。幅広があってもいいぐらい。
【他故】なるほどね。
【高畑】さらに言えば、「メモックロールテープ」標準のケースが昔から変わってないんだよ。
【他故】ああ、あれね。
【高畑】透明なケースで、別に悪くないんだけど、もうちょっとこれに合わせてカッコよくしてほしいんだよ。
【きだて】結局、つながるテープが欲しいってこと?
【高畑】あと、幅広も使えるじゃん。
【きだて】ああ、そういうことか。
【高畑】「テープノフセン」を見てしまうと、従来の「メモックロールテープ」がレトロというか、このかたちがちょっと古く見えるじゃん。
【他故】ああ分かる。
【高畑】せっかく、「テープノフセン」がカッコいいから、「メモックロールテープ」もそういうのにしてほしいし、そういうカラーリングの「メモックロールテープ」を出すというところまで広げてほしいな。せっかくここまで来たならね。
【きだて】新しい幅広の「メモックロールテープ」が出るときは、「テープノフセンワイド」という名前で出るんだろうな。
【高畑】あ~そうそう。そんな感じがする。
【他故】うん、きっと切り替わるよ。
【高畑】「メモックロールテープ」のこの薄いフタがね、何か気になるんだよ(笑)。じゃあ使いにくいかというと、使いやすかったりするんだけど。
【他故】俺、「メモックロールテープ」のそのケースが苦手で、落として割っちゃうんだよ。
【きだて】あっ分かる。割れる。
【他故】割れちゃうんだよそれ。すごい苦手で(苦笑)。
【きだて】薄い割に、中にそこそこ重いロールが入っているから割れちゃうんだよね。
【他故】俺が悪いのは分かってるんだけど、毎回割っちゃうんだよね(笑)。
――落としちゃうんですか?
【他故】そう。机から落とすと割れちゃうんですよ。
【高畑】そういうところを色々と改良してほしいんだよ。「テープノフセン」が良かったから、「メモックロールテープ」でもそうしてほしいし、それで上手く机の上に収まってくれたら。あと、今回テープの色がすごく良かったので、これせっかく作ったんだから、これの幅広が欲しいと思ったりするんだよね。
【他故】欲しいよね。
【高畑】今まで「マスキングテープがおしゃれ」みたいな話があってもさ、このロールふせんでカッコいいやつがあまりなかったんだよね。この「テープノフセン」があまりにカッコよかったから、こういう展開になっていると思うんだけどさ。ここは頑張ってほしいな。何でもスリーエムじゃなくてもいいや、というところに行ってほしいんだよ。ロールふせんに関しては、「メモックロールテープ」の愛用者って本当にいるんだよ。
【他故】うん。
【高畑】俺は、「メモックロールテープ」のヘビーなリピーターを何人も見ているからさ。「メモックロールテープじゃないとダメだ」と思っているヘビーリピーターは、この世界にいるから。なので、ここは色々とやってほしい。この間、強粘着で罫線が入っている「メモックロールテープ」(写真)が出たじゃん(こちらの記事を参照)。そんなのもすごくいいなと思って。これも蛍光色が強いと思ってるので、今回出た「テープノクリップフセン」のこの色の柔らかさがすごい良かったなと思っている。
【きだて】結局のところ、俺らユーザーもメーカーもスリーエムの呪いにかかってるじゃない。「ふせんはこの色じゃないとダメ」という呪い。
【高畑】あれは、スリーエムの本に書いてあったんだけど、ふせんを作ろうと思ったときに、たまたま黄色い紙が余ってたかららしいよ。
【きだて】だよね。でも、それが普及しすぎた結果として、今やあの色じゃないとふせんっぽくないと思われるようになっちゃった。
【他故】まあね。
【きだて】だからこそ、「テープノフセン」もデザインには気を遣ったけど、色はふせんの色から抜け出せてなかった。でも、それが認めてもらえたお陰で、こういう展開ができるようになったわけじゃん。
【高畑】そう思うし、今こんな感じだよね。今のカラー展開というかさ、今ずごくこういう色になってきている。
【他故】うん、なってる。
【高畑】そこは良いところだと思うから。で、スリーエム ジャパンは頑張っていろいろと出してきているんだよ。この間も21色も出したりしているけど、ああいうのもスリーエム ジャパンが頑張って出してきているわけじゃないですか。でも、本国のスリーエムとしては、その繊細さが残念ながら。マテリアルとしてはめちゃくちゃ強いんだけども、そういうところは、日本のメーカーのヤマトとかが、日本人の繊細さに合わせてほしいんですよ。
【他故】ああ、そうだね。
【高畑】「ここはヤマトじゃないと」という色味を出してほしいなとは思うんだけど。
【きだて】なんだけど、この「テープノクリップフセン」が売れてくれないと、「やっぱりふせんの色じゃないとダメなんだ」ってなっちゃうじゃない。
【高畑】だから、これをいっぱい買わないとダメということね。
【きだて】これが売れないと、ふせんの色は良くならないよということだよ。
【他故】ははは(笑)。
【高畑】これ、替えのリフィルがないよね。
【他故】確かにないね。これをいっぱい買わないといけない。
【きだて】替えのリフィルを出してくれたら、ロールで何本か買い足すんだけどね。
【他故】そうね。
【高畑】これは、使ったときの色がすごくいいなと思って。おしゃれな色のロールふせんって本当にないからさ。
【他故】ないね。
【高畑】カットしてあるふせんはいろいろと増えたじゃん。なのに、ロールふせんになったらめちゃくちゃ選択肢が狭くなるじゃないですか。このロールふせんは悪くないと思っているので、頑張ってほしいな。
【他故】そうね。
【高畑】マグネットが付いたのは、どこにでも置けるからいいなと思うけど。
【きだて】クリップについてもうちょっと話をしてあげないかね(笑)。
【他故】どこに付ければいいんだろう。
【高畑】ブックエンドなんかでも、厚さが1㎜くらいあっても留められるんだよ。
【他故】ああ、そういう意味か。
【高畑】定規なんか厚さ2㎜でも留められるんだよ。
【きだて】確か、メーカーの数字だと、2.5㎜の厚さまで大丈夫と言っているね。
【他故】本当だ、「0.4㎜から2.5㎜」と書いてあるよ。
【高畑】だから、いわゆるプラスチックのペン立てなんかに留めたりとか、ブックエンドの端っこなんかに留めることは全然できる。
【きだて】薄めのクリップボードなんかにも付くんだよ。ノートとかに付けて持ち運ぶことは可能なので。手帳の表紙ぐらいなら挟まるだろうし。
【他故】うん。
【きだて】ただ、そこまでしてロールふせんを持ち出したい層はいるのかどうか。
【高畑】持ち運びたいというよりは、ペン立ての縁に留めておくとか、そういう話だと思う。それはそれでいいと思う。きだてさんがよく言っている、必要なところに置いておくというので、このマグネットとかクリップだと思うけど。机の中にしまうのは「テープノフセン」でいいんだけど、このタイプをどうやって置いておくのかというのはあるよね。
【きだて】このデザインがきれいだから、できれば見せびらかしたいんだよね。机に置いておくにしても。引き出しに入れずに、外に出しておきたいので。その外に出しておく選択肢が増えるという意味ではいいんじゃないかな。
――これに関しては、引き出しにしまうんじゃなくて、マグネットやクリップで目に付くところに置いておこうというものなんですね。
【他故】そうですね。
――確か、この商品もグッドデザイン賞とってるんですよね。
【他故】2020年のグッドデザイン賞とってますね。
【高畑】前の商品がとってるので、その延長でという気がしなくもないですね。グッドデザイン賞って毎年3,000件以上選ばれるのかな。その3,000以上選ばれる中からさらにベスト100に選ばれたものの一つに、ただ機能としたら、ロールふせんとカッターが付いているだけのものが受賞したのって、すごいと思って。これは最初見たときにインパクトが大きかったんだよね。樹脂と紙の色を揃えているのがきれいだものね。ここはすごいと思う。このデザインの良さは、未だにそこにあると思うものな。なので、これはカッコいいので、いいと思います。*次回はプラスの「チームデミ」です。
プロフィール
きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/
*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。
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