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【ニュース】三菱鉛筆が独Lamyの全株式を取得し子会社化

文具のとびら編集部

三菱鉛筆は、ドイツ・ハイデルベルクに本社を置くC. Josef Lamy GmbH(以下、Lamy社)の全株式を創業家から取得し、連結子会社化することについて、2024年2月29日にLamy社と合意したと発表した。株式譲渡実行日は2024年3月15日の予定。なお、取得価額は明らかにしていない。


Lamy社の設立は1930年。資本金310万ユーロ。2023年12月期の連結純資産4270万ユーロ、連結総資産7910万ユーロ。連結売上高は7680万ユーロ、連結営業利益は590万ユーロ、連結当期純利益は370万ユーロとなっている。

三菱鉛筆は、1887年に創業し、日本で初めて鉛筆の工業生産化に成功。以来、「最高の品質こそ、最大のサービス」を社是として、高品質で高付加価値な筆記具を開発し、国内を中心に事業を展開。また、海外については、直接の販路を持たず、各国の代理店を通じて製品を届けることで、ビジネスを行ってきた。そのため、海外における効率的な販売は可能であったものの、海外の顧客のニーズに対して十分に対応しきれていないという課題を抱えていた。

そのようななか、「ありたい姿2036」に掲げる〝世界中あらゆる人々の個性と創造性を解き放つ〟というコンセプトを実現するために、中期経営計画2022~2024において、「筆記具事業のグローバル化」を重点方針の一つとして設定。海外への販売体制を整備するとともに、各拠点におけるマーケティング機能の強化に努めてきた。これらの活動を通じて、海外市場での販売実績を積み上げ、2023年12月期における同社グループ連結では過去最高売上高の更新という結果を出した。

海外市場は、さらに拡大の余地があると同社では考えている。とりわけ欧州市場におけるシェアは重要な事業戦略の一つであることから、今回のLamy社の連結子会社化を通じて、この課題への取り組みを強化する。主なシナジー効果について同社では、次の通りに考えているという。

①海外における販売体制のさらなる強化
Lamy社は、ドイツ・ハイデルベルクに本社を置き、グローバルに事業を展開している。三菱鉛筆は、さらなるグローバル化において、Lamy社が拠点を置く欧州市場におけるシェアの拡大が期待できる。

②Lamy社が持つブランド力の獲得
三菱鉛筆は、子どもから大人まで幅広い層に向け、汎用性が高く消費者が無理なく購入できる価格帯の製品を中心に展開している。そのため、多くの消費者にとってなじみ深いuniブランドに加えて、Lamy社が得意とする中価格帯から高価格帯の製品ラインアップを扱うことによって、幅広い価格帯が実現し、売り上げの拡大につながる。また、Lamy社が得意とする高価格帯のブランディングやマーケティングといった手法を取り込むことによって、新たな展開につなげることができる。

③Lamy社が持つデザイン力の獲得
三菱鉛筆は、日本市場を中心として事業活動をしてきたことから、日本市場で好まれる機能やデザインを追求して商品開発を行ってきた。一方、今後さらにグローバルに事業展開する場合、国や地域によって、価値観や生活スタイルなどが異なることから、各市場において好まれる機能やデザインを追求していく必要がある。Lamy社の連結子会社化によって、三菱鉛筆が持つ機能性に優れた筆記具と欧州を中心とする海外市場のユーザーが好むデザインを融合した製品開発が可能となり、新たな製品開発および市場開拓につながり、売り上げ拡大が見込める。

④Lamy社が持つ技術力の獲得
三菱鉛筆が展開する製品のカテゴリーは鉛筆、ボールペン、サインペン、シャープペンなどが中心となっている。同社は、ボールペンのペン先やシャープペンの機構部分に使われる金属加工技術を有しており、Lamy社の連結子会社化により、Lamy社が有する万年筆ペン先の金属加工技術を獲得できる。そのため、両社がそれぞれ保有する技術的知見の組み合わせによって、これまでにないユニークな製品開発が可能になる。

⑤両社で持つ製品カテゴリーの重複の少なさ
三菱鉛筆およびLamy社がそれぞれ保有する製品ラインアップは、カテゴリーや価格帯において重複が少ない。このメリットを最大限生かし、欧州市場のみならず、北米、日本、アジアをはじめとする各市場においても、両社の保有する販路を活用することでグローバルでの販売強化が達成できる。

三菱鉛筆は今後も、「書く・描く」を通じてあらゆる人々のユニークを表現することを応援する「世界一の表現革新カンパニー」となる「ありたい姿2036」の実現に向けて、持続的に企業価値を高めていくとしている。

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