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人気ゲルインクボールペンのブルーブラックを書き比べ

北澤孝之(Bun2編集長)

ぺんてるが2018年2月に数量限定で発売したゲルインクボールペン「エナージェルインフリー」は、透明ボディに個性的な色のインクを搭載して話題となっている。中でもターコイズブルーが人気で、もはや入手困難な様子だが、確かにあれはいい色で、書くたびにウットリしてしまう。しかし、その他にも気になる色はいくつかあって、ブルーブラックもその一つ。何故かというと、ゲルインクボールペンでもはや定番色ともいえるブルーブラックが、これまで「エナージェル」にはラインアップされてなかったのだ。

というわけで、ブルーブラックを入手して試してみた。いいじゃないですか。濃厚でとても良い色味だ。で、ふと思ったのが「他のゲルインクボールペンのブルーブラックの色味はどうなんだろう?」ということ。そこで、主なノック式ゲルインクボールペンのブルーブラックを書き比べてみた。「インクの色なんてどれも同じじゃん」などと言うなかれ。よ~く見ると、それぞれ違いがあって、そのペンならではの個性が垣間見えるようでなかなか面白いのだ。

今回試し書きをしたのは、「エナージェルインフリー」のほかに、ゼブラの「サラサクリップ」、三菱鉛筆の「ユニボール シグノRT1」、サクラクレパスの「ボールサインノック」、パイロットコーポレーションの「ジュースアップ」の5本。なるべく条件を揃えた方がよいと思ったので、ボール径は、シグノRT1だけ0.38mmだが、他はすべて0.4mmに統一した。ちなみに、試し書きに使ったのは、マルマンのノート「ニーモシネ」である。

以下、それぞれのゲルインクボールペンのブルーブラックの色味についてインプレッションをまとめてみたので、ご笑覧ください。

サラサクリップ(ゼブラ)

サ2.jpgまずは「サラサクリップ」(税抜100円)から。全46色の豊富なカラーバリエーションを誇り、15年の長きにわたり女子中高生に絶大な人気を誇るカラーボールペンである。何故サラサから取り上げるかというと、詳しくは後述するが、このブルーブラックの色味が、今回試し書きした5本の中で、一番スタンダードな色味に感じたからだ。

サ.jpgまず感じたのは、あっさりとした色味だなということ。ここで言う“あっさり”とは、青過ぎず、さりとて黒過ぎない、ちょうど良い加減のバランスの取れた色味だという意味。女子中高生に人気のカラーペンなので、あっさり気味の色味に設定したのかもしれない。今回、ブルーブラックの色味を比較する際に、サラサが基準となりそうである。

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ユニボール シグノRT1(三菱鉛筆)

シ2.jpg従来品(ユニボール シグノ RT)からインクもチップも一新した「RT1」(税抜150円)は、2013年1月に登場。ノック部から先端まで統一感のある流れる特徴的なボディデザイン(三菱鉛筆では“ワンモーションデザイン”と言っている)で、ペン先と紙の摩擦抵抗を軽減するためチップ先端の角をなくした“エッジレスチップ”の採用で、なめらかさも従来品からさらに向上している。発売から5年が経ち、定番のボールペンとしてしっかり根付いている印象だ。

シ.jpgその色味は、アダルト層も意識してか、若干グレーがかった印象がある。サラサと比べると青色がやや淡く、それでいて黒っぽくもない絶妙な色合いだ。サラサよりも「グレー度+1」ぐらいだろうか。万年筆インクだと、ペリカンのブルーブラックと似たような発色傾向かなと感じたのだが、どうだろうか。

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ジュースアップ(パイロットコーポレーション)

ジ2.jpg2016年8月に発売された「ジュースアップ」(税抜200円)は、カラーゲルインクボールペン「ジュース」の上位モデルとして登場したもので、ボディもそれに相応しいスタイリッシュなデザインを採用。コーンチップとパイプチップという2つのチップの長所を掛け合わせて開発された“シナジーチップ”を採用し、さらなる書き味の向上を図っている。黒色の紙に書くと映えるパステルカラーやメタリックカラーに定評があるが、シナジーチップの書き味もペン愛好家から高い評価を得ている。

ジ.jpgメタリックカラーやパステルカラーのインパクトが強いジュースアップだが、ブルーブラックに関しては、「シグノRT1」よりもさらにグレー系の渋みのある色に感じた。サラサと比べて「グレー度+2」といったところか。「ジュース」よりも大人向けに開発されたボールペンなので、大人が好む色味に設定されているのかもしれない。パイロットの万年筆インクのブルーブラックは、青みが勝ったような色味に感じるが、ゲルインクだとまた違った発色傾向なのが面白い。

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エナージェルインフリー(ぺんてる)

エ2.jpg定番の「エナージェル」は、日本での発売が2003年なので、実は「サラサクリップ」と同級生なのだ。ノック式は2006年の発売で、実用系ゲルインクボールペンの第一人者として認知されているが、今回透明ボディの「エナージェルインフリー」(税抜200円)を発売して、世の文具ファンを驚かせた。

エ.jpg冒頭でも触れたが、そのブルーブラックの色味はとても濃厚だ。サラサと比べて「黒色度+1」、いや+2ぐらいはあるかもしれない。エナージェルは、なめらかな書き心地や速乾性とともに、濃くはっきりとした筆跡も特長としてうたっているので、その辺りの影響もあるのだろう。ちなみに、このボールペンだけ染料系のインクを採用している(他はすべて顔料系)。

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ボールサインノック(サクラクレパス)

ボ2.jpgサクラクレパスの「ボールサイン」は、世界で初めて開発されたゲルインクボールペンとして1984年に登場。同シリーズでは、丸いキャップがおなじみの「ボールサイン80」を長年展開しているが、2015年にノック式「ボールサインノック」(税抜150円)を発売。トラディショナルな「ボールサイン80」とは好対照なデザインで、細身のボディながら極端にぷくっとふくらんだ丸みのあるグリップは、なかなかのインパクトがある。

ボ.jpgボールサインノックのブルーブラックは、他のどのボールペンよりも青味が強い鮮やかな色合いで、サラサと比べて「青色度+2」ぐらいはありそうだ。ボールサインは、鮮やかな発色が特長となっているので、ブルーブラックも鮮やかな色味にしているのだろう。

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まとめ

普段何気なく使っているボールペンでも、じっくり見てみるとその発色傾向はメーカーごとに異なるというのがお分かりになっただろうか。もちろん、これは科学的に分析したものではなく、あくまでも筆者の個人的な印象でしかないので、異なる見解をお持ちの方がいるかもしれないが、少なくとも色味に関してそれぞれ違いがあることは間違いない。

もっとも、あくまでも肉眼で見ての印象を述べているので、ここに掲載したサンプル画像とは異なっているかもしれない。紙に書いた筆跡をカメラで撮影し、それをさらに画面上で見るわけで、なるべく同じようにしたつもりだが、色の再現はなかなか難しいものがある。

だから、「お前の言っていることは違うんじゃないか」という方もいるだろう。その場合は、実際にご自身でも試し書きして確認していただくのが一番よろしいかと思う。何せ、どれも1本100円~200円程度のものなので、すべて入手するのにハードルはそれほど高くないはずだ(ただし、エナージェルインフリーは数量限定品なので、売り切れていたらすみません)。ぜひ、5本揃えて色味を比べてみて下さい。

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