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【連載】車椅子ライターから見た 弱い力でも使いやすい文具たち #13「片手で使える卓上クリーナー」

波子

[毎月25日更新]

5年ほど前に、半年間ほど鉛筆と消しゴムを使う機会がありました。どちらも久し振りに使うもので、なんだか懐かしくなったことを憶えています。
消しゴムを何度も使うと、当然ですが消しかすが出ます。すぐに片付けないと机にも散らばりますし、ノートの綴じ目に入り込んだりして美しくないですよね。しかも、その時は記入したノートを提出する必要があったため、きれいに使いたかったのです。

学生の頃には小さな卓上ほうきとちりとりで掃除していましたが、今の私は両手でほうきとちりとりを使うのがちょっと苦手。できれば身体を支えるために左肘を机に乗せ、せいぜいノートを抑える程度で、右手で動作をしたい、という状態です。

さてどうしようかとなったとき、思い出したものがありました。
あの、かわいいアイツです。

ミドリ「ミニクリーナー」


デザインフィルのプロダクトブランド「ミドリ」の「ミニクリーナー」が最初に発売されたのは1998年。私は社会人になっていましたが、初めて見たとき「なんて愛らしいんだろう!」とメロメロになりました。
ミニカーの形をしていて、中に小さなほうきが2本セットされています。ミニカーを前へ動かすと、この小さなほうきがちょこちょこと動き、消しかすを後ろの(これまた小さな)ちりとりに掃きあげてくれるのです。
この動きが、コミカルでとっても愛らしい!
いつまでも見ていたくなるかわいらしさなんです。

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現在発売されているのは、2016年にリニューアルされたクリアカラーのもの(素材が耐久性に優れたポリカーボネイトに変更されたそう)ですが、私が愛用しているのは2014年に購入した限定カラーのもの。
店頭で見つけたときは「知っているのと違う、これはこれでおしゃれっぽいぞ」とミーハーな気持ちで買いました。
そして、久し振りに使ってみると、その愛らしさだけでなく「便利さ」を実感することになったんです。

初めて手にした頃は気づいていなかったミニクリーナーの利点。
それは、片手でほうきとちりとりの役目をこなせる、ということ。
ただ片手でコロコロと動かすだけで、消しかすを掃き集められることが、こんなに便利だなんて!

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卓上ほうきよりもコンパクトなので、一度には掃ききれずに何度もノートの上を往復させる必要があるんですが、ここで本来の長所が見事に発揮されます。
動きが愛らしいから、何回使っても苦にならないのです。
いやはや、恐れ入りました。

2本のほうきが動くときのカラカラという音が意外と響くので、静かな場所では使いにくいかもしれません。
でも、片手で使えるこの便利さは、何物にも代え難いと感じました。


かわいいだけじゃなくて、便利。
便利なだけじゃなくて、かわいい。
これって、とってもすてきなことだと思います。
そして、だいじなことでもあると思います。

プロフィール

波子
1974年生まれ。脊柱側弯症、先天性ミオパチーのため、2006年に杖歩行となり、2012年から車椅子、2014年12月から簡易型電動車椅子を使用。便利な道具や文具が好き。
奈良県奈良市で生まれ育ち、大阪・東京での暮らしを経て現在奈良市在住。
産経新聞奈良版および産経WESTにて「車いすでみるなら」連載中。
ブログ「車椅子、ときどき杖。」 http://nam-kid.hatenablog.com/

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