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【連載/第2回】キットパスで「楽がき文化」を世界に広げよう!

連載第2回目は、キットパスの製造・販売をおこなっている日本理化学工業株式会社の中のことをお伝えしていこうと思います。

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障がい者雇用のきっかけ

日本理化学工業株式会社は、昭和12年、日本で初めて炭酸カルシウム製のチョークを作る会社として創業し、今年の2月で81年を迎えます。

今現在、北海道美唄市と神奈川県川崎市に工場があり、社員84名のうち62名(社員の7割以上)が知的障がいを持っている人です。その内、重度の障がいを持っている人が26名(社員の3割以上)です。

弊社の商品ダストレスチョークやキットパスは、知的障がいを持っている人が作っています。

障がい者雇用のきっかけは、東京都大田区に工場があったころ、昭和34年の秋に近隣の養護学校の先生から就職の受け入れを依頼されたことでした。

その当時は、今のような支援学校の高等部はなく中等部までで、就職先がないと施設に入らなければならなかったそうです。また当時の関東にはあまり施設がなく、就職先がないと親元を離れて地方の施設にいかなければならないということもあったそうです。

その障がいを持っている人が、《どういうことがわかって、どういうことがわからないか》さえもわからないので、何度もお断りをしたそうです。しかし、他の会社にお願いをしても受け入れてもらえない、また施設に行ってしまうと一生働かずに終えてしまうということを先生から伺って、同情から2週間の実習の受け入れをしたのだそうです。

実習を受け入れたのは二人の女性で、2週間シールを貼る作業や袋に入れる作業をしてもらいましたが、最初はあまり上手にはできなかったのですが、休憩やお昼休みになってもまわりが声をかけるまで一生懸命働いている姿をみて、『二人だけならみんなで面倒をみますから働かせてあげてください』と、社員から当時の採用担当(現会長の大山泰弘)に伝えられ、昭和35年3月に知的障がいをもった2名の女性が入社したことをから本格的に障がい者雇用がスタートしたのです。

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目標と成長

彼らは一人一人年間目標をもっていて、川崎工場では食堂に掲示をしており、いつでも目標の確認ができるようになっています。また、美唄工場では、玄関前の廊下に目標を掲示しており、タイムカードを押した後に一人一人が目標の確認ができるようになっています。

また、川崎工場では毎日目標ノートをつけていて、○△×で評価をしています。△や×の時には、健常者の社員と話をして次の日には○がもらえるようにと毎日の振り返りをしています。

そして、毎年12月23日にご父兄の方にも参加して頂く忘年会を開催しておりますが、その時にあいさつ賞・成長努力賞・貢献賞・優秀賞など何名かずつ表彰しております。美唄工場も同様に年の最終日に忘年会を行い、年間の表彰を行っています。

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6S活動について

6Sとは、整理・整頓・清潔・清掃・しつけ・安全の6つのことです。

整理  いるものいらないものをわけて、いらないものは捨てる。
整頓  必要なものを、誰でもわかりやすく置き場を決めて表示する。
清掃  身の回りのものや、職場の中をキレイに掃除する。
清潔  お客さまに買っていただく商品を作っているので、清潔を保つ。
しつけ ルールを守る習慣をつける。
安全  安全に気をつけて作業をする。

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上記の6Sに基づいて、社内では川崎工場は3チーム、美唄工場では4チームにわかれて、6S委員に任命されているメンバーが引っ張っていく形で、全員で6S活動に取り組んでいます。

全体で「成果の上がる職場作りをしましょう!」と話をしていますが、みんなには少しわかりにくいので、3つのことが成果につながることですと話をしています。
「みんなが笑顔でお仕事ができること」
「働いている仲間が仲が良いこと」
「お互いを助け合うことができること」

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また社員全員で成長することを大切にしていますので、各チームに職員が数名ずつ入り一人一人が成長するために頑張ってほしいことを伝えていきます。

そして、一人一人の成長は「一人一人の目標を達成すること」になります。
当社では、自分の目標に対してちゃんと成長できている人は、職員が言っていることが伝わっているということ、成長できていない人は職員が言っていることが伝わっていないということになります。相手が成長できるように「相手の理解力に合わせて伝えていく」ことが大切だと考えています。

但し、これは障がいを持っている・いないに関わらず、社長から新入社員まで全ての社員を対象にしている当社の大事な考え方の一つなのです。

6S活動は、障がいを持っている人も持っていない人もお互いに成長することで、「成果の上がる職場作り」に繋がっていきますということを目的として進めています。

その中で、6S委員の具体的な役割は、自分の仕事で手が空いた時には、まわりに声をかけ、困っている人がいないか確認をして、困っていることで解決できることであれば自分で解決をします。解決できないことがあれば、職員へほうれんそう(報告・連絡・相談)することになっていますので、そこに職員の人がいなくても、障がいを持っている現場のみんなだけでも仕事ができる環境を作っています。もし何かあれば、すぐに工場内の放送で呼び出しをしてもらう体制になっています。

6Sチームは、6S委員を中心に活動をしており、月に1度の6S会議の中で半期に1度は目標の振り返りの発表、12月には1年の目標の振り返りと来年の目標を発表していますが、みんなの発表を聞くと一人一人が成長していることがしっかりと確認できて、とても嬉しくなります。

その他、年間で活動内容が決まっていて、発表の日があったり、社外清掃や多摩川清掃、各現場の3S(整理・整頓・清掃)の活動などをおこなっています。

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社内行事

当社では、1年に1度のレクリエーションと社員旅行があります。
社員旅行は、基本は近郊の温泉での1泊旅行になりますが、何年かに1度は美唄工場・川崎工場との合同旅行もあります。その時には、お互いの工場で頑張っていることなどの話し合いもしながら、コミュニケーションも深めて、みんなが同じ日本理化学工業の社員として、成長していけるような場と機会を作っています。

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採用から定年まで

川崎工場では、近隣の支援学校様より実習の受け入れをしております。
就職するまでには、2週間の実習を3回程度おこなってからの採用となります。実習をする前に、本人と保護者の方と学校の先生と会社の4者で面接を行い、本人に働きたい気持ちがあるかどうか?ということを確認します。

また、会社からの「5つの約束」についても確認をします。

(1) 毎日元気に会社にくる。(一人で通勤できること。健康管理ができる。健康管理については本人だけでは難しいので、保護者の方にも協力していただけるか?保護者の方にも確認をしています。)
(2)人に迷惑をかけない。(自分のことは自分でできる。)
(3)あいさつと返事ができる。(わかったか?わからないか?の意思表示)
(4)一生懸命仕事をする。
(5)まわりの人の話を素直に聞く。(障がいを持っている先輩が教えることが多い)

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上記5つが、今できますということではなく、できないことがあればこれから頑張りますということで、実習の受け入れをしています。

5つの約束は、実習のときだけでなく入社してからも全員が頑張ることです。採用するからには、定年まで働いて欲しいということが会社の希望ですので、しっかりと実習を通じて確認をして、また長く働く上で不可欠な保護者の方の協力についても可能かどうかの確認をしています。そして、大事なこととして、会社で必要としていることも伝えると同時に、本人が日本理化学工業で働きたいかどうかということも確認しています。

ある社員のお話です。
実習の面接の時、受け答えや意思表示が難しかった子がいました。言葉の理解は難しくても簡単な組み立て作業は正確にできていたので、実習に入ってもらうことになりました。

最初は、言葉の理解も難しかったのですが、人の仕事を見て同じようにできることがわかり、チョーク現場の責任者が目で見て行動できるように矢印を機械につけたり、意思表示が難しいので絵で表してもらったり、その子の理解力に合わせて周りが伝える努力をした結果、社員となってから1年目では優秀賞、2年目も表彰されるような会社にとって大きな戦力に成長してくれています。

また、難しかった受け答えも、「夏休みはどこに行ったの?」という質問に対して、最初は「どこ行った!」という答えでしたが、今では「おばあちゃんの家に行った!」と質問を理解して、きちんと答えてくれるように成長しています。一人一人が成長する姿を見ることがみんな本当に嬉しいので、自然と笑顔が生まれてきます。
まだ若いので、これからいろいろなことがあるかもしれませんが、定年まで働いてもらえるようにしっかりとみんなでサポートをして行こうと思います。

当社の定年60歳以上で卒業をしていった方は10名以上います。
昭和35年に入社した女性は、一人は65歳まで働いて卒業をしましたが、もう一人は68歳まで53年間日本理化学工業で働いてくれました。

最大65歳までとしていますが、68歳まで働いた一人は65歳の時に、まだ本人が働きたいという気持ちがあったことと、保護者の方のご理解もあったこと、また会社でも必要としているということで、68歳まで働いて卒業をされました。

卒業の日には、川崎工場、美唄工場ともにみんなで花道をつくって卒業していきます。毎年、たくさんの採用はできませんが2030年までに、障がい者の方を100名採用できるように頑張っていこうという中長期の目標を持っています。

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働く幸せ

当社が大事にしている考え方の一つに「働く幸せ」という言葉があります。

・人に愛されること
・人にほめられること
・人の役に立つこと
・人から必要とされること

社員たちは、日々一生懸命働くことを通じて、これらの「働く幸せ」を実感しながら、生き生きと目標に向かって成長し続けています。

これからもお客さまに喜んでいただける商品をみんなと力を合わせて作っていきますので、今後とも宜しくお願い致します。

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 パスフェス2018

 2018年6月16日(土) キットパスフェスティバル開催決定!
 いろいろなキットパスの楽しみ方を体験して頂くイベントです。
 ぜひ、ご参加頂ければと思います。

 日本理化学工業株式会社 http://www.rikagaku.co.jp/
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