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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.23 その2

ブング・ジャムの2019年初文具はコレ!

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左からきだてさん、高畑編集長、他故さん

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。Vol.23では、ブング・ジャムの3人が今年初めて買った文房具を3日連続で紹介します。

あのあこがれの手帳の書き味が楽しめるレアアイテム

能率.jpg能率手帳ゴールド用紙を使った「Bindex」リフィル(左)と「NAGASAWA 能率手帳GOLD メモランダム」。どちらもナガサワ文具センターオリジナル商品。


――次は他故さんですね。

【他故】ペン回しに比べれば地味な、単なる紙の束なんですけどね(笑)。

【きだて】ひゃはは(爆笑)。

【高畑】紙の束(笑)。

【きだて】でも、こっちは役に立つからね。

【他故】元々、能率手帳にはあこがれがあったんですけど、使ったことがなかったんですね。ダイアリーやスケジュール帳で小さいものを持つということをしなくなったので、そっちの方には行かないんですけど、「バインデックス」というシステム手帳のリフィルは好きで、バインデックスの名前でありながら「能率手帳ゴールド」の紙を使っているものがあるぞとネットで教えてもらって。どこで売っているかというと、神戸のナガサワ文具センターでしか売ってないという話だったんですよね。これ、ナガサワのオリジナルなんですよね。

【きだて】へぇ~。

【他故】今度関西へ行ったときにでもと思っていたら、もう残り少ないという噂が出てきたので、大阪にいる友人に頼んで確保してもらったんですけど、どうやらこれが最後の一個だったようで、ギリギリ間に合ったんですよ。

(一同)おー。

【きだて】危ない、危ない。

【他故】入手して使う前に、冷静に考えてみると、僕はまだ「能率手帳ゴールド」の紙質の良さを知らないんですよね。使ったことがないから。

――ああ、そうか。

【他故】他の紙は色々使っているけど、この紙は知らない。それで、「能率手帳ゴールド」の紙を知らないでこれを使っても分からないので、「能率手帳ゴールド」を買おうと。すごく本末転倒なんだけど(苦笑)。

【高畑】本末転倒だな。

【他故】ただ、さっきも言ったように、2019年の手帳を買っても使わないことは分かっていたので、「能率手帳ゴールドの紙だけ」っていうメモ帳を買いました。

【高畑】売ってるんだよね。

【他故】それで、これを買った上で「ああ、こういう紙なんだ」というのを含めながら、これを使って楽しんでいるわけですけど。

【きだて】「こういう紙なんだ」って体感するのは、リフィルだけでよかったんじゃないかな(笑)。

【他故】そんな気がする。別にどっちでもよかったんだけど。それで、細かく書くのが好きなので。

【きだて】これ、5㎜方眼?いや違うな、小さいな。

【他故】通常の「バインデックス」にもある3.5㎜方眼だね。確か、2つ使うと7㎜になって書きやすいということだったように思う。

【高畑】なるほど。

【他故】システム手帳で使うには、薄い紙の方がいっぱい綴じられるからいいよねって思う。

【きだて】それはそうだよね。

【他故】それで、万年筆にすごく強くって、ぐちゃぐちゃって書いても絶対に抜けないという、かなりいい紙だなって思って、楽しく使ってるんですけど、うまく乗らないインクがあるんですよ。

(一同)へぇ~。

【他故】弾き気味というか、フローと関係なく紙にインクが乗ってくれなくて。相性があるのかな。

――相性はきっとあるでしょうね。

【他故】僕は、紙の裏面を使わないので、インクが抜けても構わないんですよ。

――でも、この紙は裏抜けしないですよね。

【他故】薄くて、軽くて、丈夫で、書きやすくていい紙だなと思う。

【きだて】メモノートだったら裏を使わないという選択ができるけど、スケジューラーだったら裏を使わないわけにいかないじゃん。

【他故】スケジュールだとね。

――結構薄いですね。

【きだて】見た目で薄いのが分かる紙だものね。

【他故】書いているうちにだんだん好きになってきたんだけど、ペンだけは選ぶんだなというのが分かった。

【きだて】う~ん。

【他故】「能率手帳ゴールド」を使われている方が、こっちへ行くのかどうかは知らないですが、これはこれですごく楽しい紙なので、選択肢の一つに入っていいかなと思うんですけど、モノがもうないので、紹介してもしょうがないかもしれないんですが。

――まあ、そうものがあったということでいいと思いますが、これはナガサワ文具センターのオリジナルなんですね。

【他故】そうなんですよ。

【高畑】今回は、システムバインダーで使えるというところがミソなわけだけどね。去年後半に、システム手帳にいろんな紙を入れるのが流行ったんだよ。伊東屋で「システム手帳サロン」っていうイベントやったりして。

【きだて】この間、ザラ半紙のリフィルを見たな。

【他故】結構今あるんだよね。セリアかなんかで、バインダーに入れられるA4三つ折りファイルを売ってるよ。

【きだて】セリアで? へぇ~。

【他故】今システム手帳は、そういう流行り方をしているんだと思って。意外なというか、私の知らないところで流行ってるんだね。

【高畑】伊東屋のイベントで、いろんな紙が置いてあるんだけど、絶対に使わないような紙があったりするんだよ。クロマティコとか。それで、よく考えたら、上のフロアに竹尾見本帖があるから、そこからカットして持ってきたなっていう(笑)。

【他故】そのかたちになっていれば、何でもいいんだ(笑)。

【きだて】クロマティコってどんな紙だっけ?

【高畑】トレーシングペーパーの厚手のカラーのやつ。

【きだて】あ~、はいはい。

【高畑】あとね、見る角度によって色が変わるという、ペラッペラな紙とか。

【他故】あれは、紙が好きな人が買っていくの? 書かなくていいみたいな。

【高畑】よく分からないけど、「こんなのもできるよ」っていうのをやってみた感じかな。それは、イベントのときだけ作ったみたいだけど。

【他故】システム手帳で持ち歩くんだったら、こうやって薄くて軽くて、枚数があった方がいいんじゃないの。今は大きいシステム手帳も流行ってるのかしらね。僕は薄いのしか使わなくなっちゃったので、そういうのを重視しているんだけど。

【高畑】みんな知らないと思うけど、レイメイ藤井のシステム手帳の紙はトモエリバーだから。

【他故】そう。レイメイは全部トモエリバーだからね。

【高畑】前からいい紙使っているんだから、「レイメイのリフィルをもっと使おうよ」って言った方がいいと思うけど。

【きだて】だって、レイメイは元々紙屋さんだものね。

――そうですよ。洋紙事業部門がありますからね。

【きだて】だから、紙に対するこだわりをめちゃめちゃ持っているんだよね。

【高畑】システム手帳のいいところは、紙質が変えられるところだから、探すとまだあるんだよね。

【他故】色々あるし、しかも持っているペンによって替えてもいいくらい、種類をたくさん使ってもいいと思うんですよ。「バインデックス」のこれじゃなくてノーマルのリフィルは、シャープペンの乗りがめちゃくちゃいいので、ノーマルの紙も好きなんですよ。

【高畑】「能率手帳ゴールド」のシャープペンとの相性はどうなの?

【他故】すごくいいよ。

【高畑】元々の日本の手帳って、鉛筆やシャープペンとの相性はいいよね。

【きだて】そうだよね。昔から、手帳の背表紙の後ろに鉛筆を挿すのって、基本だったじゃない。

【高畑】昔の日本って、大人でも割とシャープペン使ってなかった?

【他故】使ってたよね。

【高畑】昔の大人のシャープペン比率って高かったよ。

【きだて】高かったと思うよ。

【他故】手帳に書くのに万年筆を使う時代は長かったけど、その後でシャープペンシルってすごく使われてたから。

【高畑】ボールペンが出てきたのって戦後だし、最初の頃は性能が安定していなかったり、高かったりしたじゃない。だから、手帳が日本で普及しはじめた頃を考えたら、随分長い間鉛筆・シャープペン派と、万年筆派になるんだけど、万年筆だと汚れるもんね。

【きだて】だって、「プレスマン」って仕事でシャープペンを使う人用じゃない。そういうものが普通にあったぐらいだからさ。

【他故】実際に、手帳用の細いシャープペンシルがあって、それが売れていたわけだしさ。

【きだて】そうだね。今でもオートとか作っているけど。

【他故】やっぱり、一緒に持つというのができた時代だからね。

【高畑】「能率手帳ゴールド」ってすごい古いものね。

【他故】古い。詳しくは知らないけど、50年、60年は経っているんじゃないの。

【きだて】50年以上は確実だよね。

――55年くらいになりますね。

【高畑】シャレ的に、ここの小口のところに金色を入れてほしかったね。

【きだて】ああそうだね、それは欲しいね。

【高畑】それも使ってみたい気がするね。

【他故】これ600円だけど、金を入れて1,000円なら、それでも買ったと思うよ。

【きだて】「能率手帳ゴールド」のリフィルっていうけど、側面を金で塗ってないなと気になったから。

【他故】それはそうだ。

【高畑】もちろん、綴じてないから金の箔押しをしづらいんだろうけど。本当にやろうと思ったら、ノドを接着してからだろうね。大変だね。

【他故】でも、そういうプレミアが出てもおかしくない流れかなと思う。

【きだて】そうだね。

【高畑】去年あたり、久々にシステム手帳に新商品とか出てたじゃない。僕もまだシステム手帳をメインで使っているわけだよ。システム手帳に注目が集まったり、新商品が出るのって、ちょっと嬉しいなって思う。

【他故】そうね。

【高畑】システム手帳には、遊びができる面白さがあるし。

【きだて】リフィルを自分で作って好き放題にできるのも、システム手帳の楽しみじゃん。

【他故】最近は、紙も自分で選べるようになったからね。その紙に好きなものを印刷して使うというのもアリになったし、選択肢が増えているんだよね。今回みたいに、何千円も出さないと試せない紙が600円で試せますよと言われたら、まあ試すわなみたいなところがあって(笑)。

【きだて】そういう意味で面白いよね。ナガサワは面白いことするな。

【他故】こっちの「能率手帳ゴールド」のメモ帳も、ナガサワのオリジナルじゃないかな。

【高畑】あっ、そうなんだ。

【きだて】普通はないんだ。

【他故】普通に能率手帳のでは売ってない。

【高畑】それでか。そんなのあるんだと思ったから。それいいね。

【他故】ナガサワでしか売ってないので、これも特殊な製品だよ。

――一緒に買ったんですか。

【他故】いや別々で。リフィルを先に買って、礼儀としてこっちも知らないといけないだろうと思ったので。

【高畑】真面目やな~(笑)。

【きだて】分からん礼儀だ(笑)。

【高畑】このカバーは合皮かな? 手触りいいね、柔らかくて。

【他故】いや、ちゃんと本革だよ。

【きだて】本革なんだ。へぇ~。

【高畑】いくらするの?

【他故】税抜で4,200円かな。

【高畑】あ~、やっぱするね。

【きだて】(触ってみて)本当に手触りいいね。

【他故】すごい気持ちいいんだよ。久しぶりに、手帳を胸ポケットに入れるようになった。

【きだて】分かる、分かる。これはずっと持っていたいよ。

【他故】今日の話のメインはリフィルの方だけど、こっちも合わせ技でアリかもしれない。

【高畑】メモ帳の方はまだ売ってそうなの?

【他故】それは、モノがあれば売っていると思う。別に、期間限定ではないから。

【高畑】そうなんだ、それもいいね。その手触りのいい柔らかい表紙がいい感じだね。

【他故】手帳も色々あるけど、たまには紙にこだわるのもいいかなと思うので、試していただければよろしいかと。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/


*このほか、ブング・ジャム名義による著書として『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)と、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)がある。

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