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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.11後編

ブング・ジャムが今年初めて買った文房具はコレ!

ジャム.jpg
左からきだてさん、高畑編集長、他故さん


本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。Vol.11後編では、ブング・ジャムの3人が今年初めて買った文房具を紹介してもらいました。

*Vol.11前編はこちら

お父さん世代におすすめだゼーット!

マジンガー.jpg『劇場版 マジンガーZ/INFINITY』オリジナルの各種ステーショナリー。右から「ブレストファイヤー」のペーパーナイフ(ケース付き)、カンペンケース、リングノート、マジンガーZの透視図イラスト付きクリアファイル。

――月刊ブング・ジャム後編は、みなさんが今年初めて買った文房具を紹介してもらおうと思います。

【高畑】リアルに言うと、コンビニで買ったペンになっちゃうのかもしれないけど(笑)。

――まあ、その辺りは、思い入れのあるものでいいです(笑)。最初は、他故さんよろしいでしょうか?

【他故】はい。実は、まだ今年はちゃんと文房具買ってないので、これでいいのかとは思うんですが(笑)。「劇場版 マジンガーZ/INFINITY」のグッズです。

【きだて】お~。

【高畑】出た~、他故さんっぽい。

【他故】ノートとカンペンケース、「ブレストファイヤーペーパーナイフ」と…。

【高畑】あ~、それそれ。

【他故】それと「透視図クリアファイル」。

【高畑】「ブレストファイヤー」出たね~。

【きだて】超かっこいいね。

――これ、劇場で買ったんですか?

【他故】そうです。買ってからまだ開けてないんですけどね。

【きだて】他故さん、これ開けてよ。

【高畑】えっ、開けるのいいんですか?

【他故】全然、保存しようなんて思ってないから。むしろ、開けてみないと、これがペーパーナイフとしてまともなものなのかどうかが分からないからね。これ、ケースがまた妙にかっこいいから。

【高畑】いや~、観に行きたいけどまだ行ってないからな~。

【他故】映画自体は大変面白かったので。マジンガーが好きであれば、大変おすすめできるんですが。

――観るべきものですか?

【他故】観るべきとまでは言わないですけど、マジンガーZが好きだったという記憶があるなら、ちゃんとついて行けると思います。

――うちにジャンボマシンダーがありましたよ♪

【高畑】ジャンボマシンダーがあったんだ(笑)。

【きだて】触っていい?

【他故】どうぞ。この長いところがペーパーナイフになっているんだな。

【高畑】だから、その角みたいなところを差し込んで、スバスバといく感じだね。

――これだけで見ると、グレートマジンガーのみたいですね(笑)。

【高畑】どっちかというとそうですよね。

【他故】マジンガーZの胸の部分は、普通は外れないので。

――それ、ブーメランみたいに投げたくなるもの。

【高畑】そうだよね。だから、グレートっぽくなっちゃうよね。

【他故】グレートも映画には出てくるから、グレートで作ればいいのに(笑)。

【高畑】まあ、でもグッズとしてはマジンガーZの方がいいんじゃないのかな。

【他故】で、カンペンケースは、Zとグレートの両方が載っていて、フラットなやつ。

【きだて】割とプレーンな感じだね。

――あっ、裏はボスじゃないですか。

【他故】ちゃんとボスボロットという。ここがまた(笑)。

【高畑】中がすごいスカスカしている(笑)。

【他故】今のカンペンケースってこうだよね。何にもなくてさ、軽いんだよ。

【高畑】こんなに軽かったっけ? というくらい軽いよ。

【他故】グッズで買ってくるやつって、みんなそれ。

【きだて】こんなだっけ~?

【他故】そう。この間買った、「日ペンの美子ちゃん」のカンペンもスカスカだった。

【きだて】え~、そうなんだ。

【高畑】クリアファイル見ていいですか。

【他故】ええ、どうぞ。

【高畑】昔見たマジンガーの中のメカはこんなものじゃなかったぞ。もっと簡単なものが入ってた。

――番組のエンディングで流れてたZの設計図ね。

【高畑】そうそう、あれ。

【他故】これも、紙を入れると透視図じゃなくなるんだよ。

【高畑】あ~そうだね。

【きだて】裏面から見ると、透視図だけになるのか。透視図だけのいいね。

【他故】透視図だけのイラストって見たことないな。

――こういう、中身の見える超合金ってありましたよね?

【きだて】「DX超合金魂」のマジンガーZね。あれ外装外すと中身が見えるんだ。

【他故】映画の話はさておき、グッズの欲しくなるものって、正直な話あんまりないんですよ。映画観たからって必ずグッズを買うわけではないし、最近はパンフレットも買わないで帰ることもあるぐらいだから。マジンガーZだからというのもありますけど、買いたくなるようなラインナップだったんですよ。今回、珍しく文房具がかなりの種類あったので。最近は、ノートとかがちょっとあるくらい。

【きだて】キャラスイングの付いたボールペンくらいだよね。

【他故】そうだったのが、今回割といろんなものがあって。ノートなんかも、普通のノートでありながら、中を開くとわざわざ「東映まんがまつり」風のフィルムコマのイラストが印刷されている。

【きだて】あ~、何か懐かしい感じ!

【高畑】表紙は?

【他故】表紙は今回の映画のイラストなんだけど、中を開くと懐かしい「東映まんがまつり」の雰囲気が残っていて。

――昔、漫画映画の8ミリフィルムとか売ってませんでした?

【きだて】あったあった。しおりにするみたいなやつ。

【高畑】で、実際に使ったフィルムの切れ端とかさ。

【きだて】それで入場者プレゼントとかあったよ。

【他故】16ミリのデュープを配るとかあったし。最近のはデジタルで作っているから、あえて作るらしいですけどね、フィルムに焼いて。ファンのために。

【きだて】意味なしデュープだ(笑)。

【高畑】それこそ、昔だとセル画が高く売れたりしたんだけど。

【他故】今はそういうの全然ないから。

【きだて】セル泥っていう言葉もなくなったな。

【他故】セル泥(笑)。

【きだて】最近、映画のグッズって、よっぽど大きい作品じゃないと作らなくなってきているからさ。

【他故】マジンガーはすごい肝煎りで作ったものらしいですよ。映画としても、興味のある方は観て損はないと思う映画なので、「自分の好きな映画のグッズが文房具だったら最高だよね」というのを久しぶりに味わいました。

――中でも、どれがお気に入りなんです?

【他故】かっこよさでは、やっぱりペーパーナイフですね。ただ、実用性ではクリアファイルが一番な気がします。

――ああ、なるほど、そのクリアファイルもかっこいいですよね。

【他故】ペラッペラじゃなくて、割と質のいいものを使っているので。

【きだて】マジンガーグッズが全体的にいっぱい出てていいね。

【他故】大人が買ってもいいし、子どもに買ってあげてもいいというものはなかなかないので。

――最近盛り上がっている女子文具に対抗するという意味でいいかも(笑)。

【他故】まだ我々にはこういう道があるという(笑)。

フィジェット系ペンに注目せよ!?

ハンドスピナー.jpgハンドスピナーになるボールペン(中国製)

【他故】次はきだてさんだね。

【きだて】真面目なやつと、不真面目なやつどっちがいい?

【高畑】両方いきません?

【他故】出し惜しみしないように。

【きだて】じゃあ、今年初めて買ったというか、最初に届いたのはこれです。

――海外ものですか。

【高畑】やっぱこれでしょ。

【きだて】中国から届きました、ハンドスピナーになるボールペン。

【他故】ペンまわしができない人でも、気軽にペンまわしができるペンだ。

【きだて】そう。俺は本当に不器用だから、ペンまわしができないんだけど、これならいくらでも回せちゃうという。

【高畑】モロ旬というか、旬を過ぎかかっているかな。

【きだて】もうペロッとなめたらなんか酸っぱい味すんなー、みたいな(笑)。だけど、ハンドスピナーが流行り始めたのって、去年の春なんだよね。

【他故】まだ1年経ってないんだ。

【きだて】そう、経ってないですよ。

【他故】それが、いつの間にやら。

【きだて】「駆け抜けたなー」というタイミングで、これを買っちゃっうのが俺なんですけど。

【高畑】でも、今買わないと何時買うんだという話ですから。

【きだて】そう。で、見た目的には貧乏けずりボールペンといいましょうか(笑)。ツインヘッドの。

【高畑】まあ、でも左右対称じゃないと上手く回らないから。

――それって、同じボールペン?

【きだて】黒赤ボールペン。「ちゃんと黒と赤で使えます」というところもアピールしつつ。

【高畑】ちゃんと機能的にはね。

【きだて】で、中央にはヘナヘナながらベアリングも入ってて。

【他故】回らないわけではない?

【きだて】1分半か2分くらいは回ればいいなというぐらいの感じ。

【他故】2分回れば、安いハンドスピナーと同じだ(笑)。

【きだて】まあ、なかなかそんなに回らないね。ボールペンを持っているときって、書いているか、書いてないか、オン・オフの2つしかないと思われがちだけど、持ったまま意識がオフとか、色々と段階があるわけですよ。

【他故】持ったままオフって(笑)。まあ、分かるよ。

【きだて】書いている状態は、「ペン・オン、意識オン」なのよ。で、ペンを置いていると「ペン・オフ、意識オフ」でしょ。それ以外に「ペン・オン、意識オフ」という状態もあるわけよ。

――持ったまま、何も書かない状態ですよね。

【きだて】ないしは延々とノックカチカチし続けてるとか。

【高畑】やるね。

【きだて】そういう迷惑なことをやるじゃないですか。それで、どの時間が長いかというと、意外と「ペン・オン、意識オフ」が一番時間として長いと思うのね。

【高畑】なるほど。

【きだて】であれば、その時間を有意義にというか、楽しく過ごせるのが、ペンとして優秀だと思うんだよ。書き味がどうとかじゃなくて、ペンを握ってる時間が快適だったり楽しかったりするのが大事だろ、というのが最近の持論で。

――確かに、ノックカチカチはうるさいですからね。

【きだて】そのノックカチカチが心地よいカチカチだったら、それはそれでいいのかもしれない。

【他故】心地よいカチカチ(笑)。

【きだて】すごい響きのいいカチカチだったり、感触のいいカチカチだったり。

【高畑】それは、すっごくよく分かる。

【きだて】ノックの感触ってすごく重要だったりするじゃない。

【他故】それはそうだ。

【きだて】俺は、「ノック式エナージェル」の感触がすごく好きなんだよ。あの「ごんぶとっ」っていう感じが。

【他故】あ~、はいはい。

【きだて】あの、親指の骨までくるようなグッとした感じがとても好きなのよ。

【他故】押したときに感動するペンって、たまにあるよね。

【きだて】そうそう。そういう意味で、こういうフィジェット系のペンは今後もまだ出てくるかなと思う。

【高畑】僕もカチカチするのが好きなので、メーカーに勤めていたときに、「クリックボール」という、会議中にノックの感触を楽しむためのボールペンを発売したことがあるんだけど。

【きだて】えっ、そんなのがあったの? 知らなかったな。そういうのちゃんと言えよ~。

【高畑】まあ、随分昔の話ですけど。芯の出し方が、ノック式のほかにダイヤル式とレバー式があったんですけど。

【きだて】それ、現物見たことすらないぞ。

【他故】早過ぎたんだよ。今出したら、逆に「すごい」ってことになってたよ。

【高畑】まあ、俺も手遊び派なので、その話はすごい分かるよ。

【きだて】文房具好きな人間なんてね、手触りにこだわりのある幼児性の強いやつばっかりなんだから(笑)。ライナスが毛布を手放せないのと一緒だから。

【高畑】紙フェチとか、大体そういうことだろ。

【きだて】そういうことだよ。

【高畑】だから、フィジェット系のペンは全然アリだよ。

【きだて】ちょっとね、そういう要素が割とないがしろにされ過ぎたと思っているんだ。

【他故】ちなみに、僕もAmazonで買いましたけど。

――同じものですか?

【他故】同じかどうかは分かりませんけども。

――色々と種類があるんですね。

【高畑】きだてさんは今、こういうものを何種類も持っているんだよね。

【きだて】世界では大量に出てるけど、日本は遅れ過ぎ。

【他故】日本で作ってたら間に合わないじゃん(笑)。

【きだて】サカモトとかがやらなくちゃダメだったんだよ。

【他故】忙しいじゃん。他にも売れるもの持ってるんだから。

【高畑】こういうのって、量産のプラスチックのものとかあるけど、これ挽き物だよね。旋盤で1個ずつ加工しましたという。これ、ほぼ手作りだよね。

【他故】そうね。逆にすごいと思うよ。

【きだて】これからは、こういう方向をメーカーさんもチェックしてほしいなと思うわけですよ。

あの定番文具が進化!!

ガチャック.jpg3WAYガチャック(オート)税抜600円、ガチャ玉は各500円


【きだて】で、普通に文房具屋さんで買ったのはこれが一番早かったかな。「3WAYガチャック」。

【高畑】俺は、これまだ手に入れてないんだよな~。

【きだて】「ガチャック」って、下向けないと次のガチャ玉が送られなかったじゃない。重力ロード方式という(笑)。一発打ったら、手で下げて落としてあげて打つみたいな。新しいのはバネローディングなので、上向けたままバチバチ連射できるので、まあとにかく楽なのよ。

【他故】ガチャ玉も違うんだよね。

【きだて】そう。「3種類のガチャ玉使えます」と言っているんだけど、今までのガチャ玉は「小・中・大」だったじゃない。それで、20枚ぐらいのちょっとしたものを留めるのは「小」だったんだけど、小さすぎてウザかったのよ。つまみにくくて、留めたあともちょっと不安があったので。

【高畑】そこはそうなんだよね。前のやつは、本体も大・中・小それぞれ必要だったんだよね。

【きだて】今度は“3WAY”という名前の通り、新しいガチャ玉の「薄・中・厚」が全部使えるようになりましたというのが一つ大きいわけですよ。で、全部幅が一つに統一されたので、20枚綴じ用の「薄」が非常に薄っぺらい。

【高畑】本当だ。これはいいよね。

【他故】ちゃんとリリース読んでなかったので、今までの大・中・小が入るのだと思っていたんだけど、違うんだよね。

【きだて】専用の「薄」と「厚」が出たんだよね。「中」は一緒だけど。

【他故】それは一緒なんだ。

【きだて】でもね、実際に綴じ比べてみると、「小」と「薄」だと、綴じる力は「小」の方が強いの。

【他故】あっ、そうなの。「薄」はそこまででもないの?

【きだて】割とするっと抜けちゃう。と言っても、普通に綴じてペラペラめくる分には抜けないよ。わざと外そうとして抜いた時に、「薄」の方がスルッと抜けるという。

【他故】そうなんだ。

【高畑】勝手にペラって抜けないくらい留まっててくれたらいいっていうのと、ちょっと薄いものを綴じたときは、この厚みが邪魔なんだよね。それが、結構ギリ薄くなっているので。「ガチャック」って、Wクリップの代わりで、ハンドルがない良さを言われることがあるんだけど。ここまで薄くなると、Wクリップでは実現できない薄さにできるので、それはすごくいいんだよね。Wクリップ方式の良さを持ちながらこの薄さができるので、邪魔にならないのがいい。

【きだて】個人的には、この「薄」と「3WAYガチャックの組み合わせでしばらくいこうかなと思ってる。

【高畑】大概これで済んじゃうんだよね。

【他故】そうだよね。

【きだて】何だかんだで、40枚くらいになるとWクリップでいいかなと思うので。

【高畑】同じくオートが出している「スーパークリップ」とか、あの辺の感覚で使えるんだよね。

【きだて】そうそう。本当にね、気軽。ただ一つ、従来品に負けちゃったなと思ったのが、玉込めの面倒くささ。

【高畑】ああ、後ろの穴から押し込むんじゃなくて、本体を開けてから入れるからね。

【きだて】一々ガバッと開けてガチャ玉を込めていかないといけないのが、やっぱりね大分面倒。装弾数は8個で、今までと変わらないのよ。今までのやつだと、なくなる前に充填しておこうとポンポンと押し込めたじゃない。今度は、一々開けなきゃいけないので、全部使い切ってからにしようとかそういう感じになっちゃうので、ちょっと大仰。

【高畑】リロード下げるのと、どっちがどっちかね。俺は割とバネ式が好きなんだけど。

【きだて】そお? ただね、開けずにポンポン詰めていった方がテンポはいい。作業があんまり止まらないから。

【他故】そっちの方が楽ちんだよね。

【きだて】ガバッと開けてとなると、気分的にはそれだけで一作業になっちゃうんだよね。そういう意味では、バネ式だからしょうがないといえばしょうがないんだけど。

――たくさんの人の書類を綴じる作業なんかする場合には、リズムよくやりたいから、そういう人は面倒くさいと感じるかもしれないですね。

【高畑】次はロングタイプだな。

【きだて】20発装填のロング3WAYガチャック。長いの(笑)。

【他故】それか、ローリングになっているやつ(笑)。

【きだて】昔、「ガチャック」ってカートリッジ式あったよね?

【高畑】あった、あった。

【きだて】ああいうのにしてくれたら、リロードも楽なのにねと思うんだけど。

【高畑】でも、これバネがU字に戻ってきているので、どっちにしろ開けないとダメだな。開けてガチャッと入れないといけないから。

【他故】このままだとそうだね。

――その辺はトレードオフなんでしょうね。

【きだて】せっかく、上を向いてテンポよく作業ができるようになったのにね。充填だけがちょっと面倒という。

【他故】前充填できればいいんだよな。

【きだて】あ~、そうな。

【高畑】出すときにこうやって開くから、前からは入れられないんだよ。

――これを使うときは、2台用意しておいて、助手が空のガチャックを充填するというのはどうです。

【他故】2丁ガチャック(笑)。

【きだて】三段撃ちだ(笑)。

【高畑】戦国時代の鉄砲隊みたいな感じにするんだ。

【きだて】そう。「玉込め・狙う・撃つ」みたいな感じで。

【高畑】撃っているうちに、後ろのやつが装填しているんだ。

【他故】「二番隊前へ!」って(笑)。

【きだて】それそれ(笑)。

――それか、3、4個買っておいて、なくなったら次みたいな感じで使うとか。

【高畑】ベルトに左右3つずつぐらい付けておいて。

【他故】バネでバシャーンと出てくる(笑)。

【きだて】(爆笑)かっこいい~。出てくるのガチャックだぞ。

――それで動画作ったらかっこいいんじゃないですか(笑)。

【きだて】じゃあやるか!

【高畑】まあでも、この「薄」でかなりしのげるよね。

【きだて】「厚」だと60枚というし。まあ、60枚だと普通の10号針や11号針のホッチキスで綴じられないじゃん。そういうのができるという安心感もあるので。

【高畑】でも、ここに連発で入っているから、玉を替えようと思ったら、一回全部それを抜かないといけない。

【他故】そうしたら、専用のを持っていた方がいいよね。

【きだて】だったら、やっぱり3つ持つのかね(笑)。

【他故】もし、どうしてもと言ったら、3つ持つんだよ。

【高畑】人数分綴じるときに、今回のは分厚いぞとなったときにはそれができるんだから、1台でもいいなとは思うんだけど。薄い玉がね、普段使うにはいいかな。今までの普通のガチャ玉だと、余っているという感じがするので、それはいいね。

【きだて】とにかく、この薄玉がいいよということなんだよね。

【高畑】だから、大きさ変えなかったのはなかなかいいね。

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究極のアート系文房具

omoshiroiblock.jpgOMOSHIROI BLOCK(トライアード)

――最後に高畑編集長です。

【高畑】補充品とかそういうのじゃなくて最初に買ったのは「OMOSHIROI BLOCK」ですかね。

【他故】ああキター、それだよ~。

【きだて】ああ~!

【他故】現物持っている人がうらやましくてしょうがない。

【きだて】くっそ~、文具王がズルして買ったやつ。

【高畑】ズルしてない(笑)。ちょうど大阪へ行くタイミングだったので買ってきました。これ、清水寺が出るはずなんですけど、恐くてまだ開けられないという。

【他故】まあ、そりゃそうだ。

【きだて】これいくらのやつだっけ?

【高畑】1万円。

【きだて】これで1万円か。さあ、じゃあ今からめくっていこうか!

【高畑】いやいやいや(笑)

【他故】わはは(笑)。

【高畑】これ、建築模型を作っている会社が、そのためのレーザーカッターの機械を持っているんだけど、それを使わないときの空いている時間がもったいないからということで、レーザーで紙を切って作ったのがこれ。中を開けて見られないのがあれですけど、中に清水寺が入っているという感じですね。150枚積み重なっているこの紙が、全部違うかたちでレーザーカッターで加工してある。それで、紙を抜いていくと、中から清水寺が出てくるというとんでもない手間のかかる商品なんだよ。

――へぇ~。

【高畑】たまたま東急ハンズ梅田店のバイヤーが、たまたま企業とのマッチングのイベントでこれを知って、それでどうしても売りたいと交渉して売るようになったらしいんだけど、元々の本業の合間で作っているものなので、量がそんなに多くなくて、発売したら1日強で売り切れたという感じだったみたいです。

【きだて】文具王の翌日に、朝早く梅田店に行ったけどダメでした。いいな~。

【高畑】これ1万円だけど、手間と技術から考えたら、1万円て激安なんだよね。

【きだて】安いよね。

【高畑】これ、中をそっと開けると、屋根があるの分かります?

【きだて】あ~、あるね。あるある。

【他故】本当だ、あるね。

【高畑】点でしかつながってないので、触るとプチンと切れちゃうんですけど。で、メモを切りとっていくと、建物が見えてくるんだよね。

【他故】そこの部分だけ残るんだね。

【きだて】難しいことしているよな、本当に。

【高畑】アクリルのケースが付いているのは、最後まで切りとると、ベースになっている部分がペン立てになっているんだけど、これをケースの中に入れて、そのままペン立てとして使えるよという。

【きだて】それで、このケースにもちゃんと穴があいているんだ。

【高畑】ここに何で壁があるかというと、空間上に立体を作るのに、何か支えがないとできないので。これは構造上必要な部分だから付いているんだけど。

【他故】うん、なるほど。

【高畑】楽器とかいろんなバージョンがあるけど、本当に瞬殺だったらしくて。今後も一応検討はしているみたいなのね。あと、これの廉価版で1,000円というのもある。

【きだて】あるんだ。

【高畑】積層枚数の少ない薄いやつで、どちらかというとレリーフみたいなやつを1,000円で出したみたいなんだけど。

【きだて】それもいいけど、やっぱりこれくらいの厚みの構造物欲しいよね。

【高畑】僕もレーザーカッター持ってるけど、これだけ作ろうと思ったら、業務用のレーザーカッターを1日フルで稼働させても、多分1日数個作るのがいいとこかな。

【きだて】これで何枚?

【高畑】150枚。

【きだて】あ~、それはかかるなぁ。

――これ、何も知らないと、ただポスト・イットが積み上がっているぐらいにしか見えませんよね。

【高畑】そうなんですよ、ただのブロックメモみたいなんですよ。

【きだて】いや~、すごいよね。メモとっていると、中から清水寺やSLなんかが現れるんだから。

【高畑】しかも、この切りとった部分にも、実は舞妓はんとかいろんなものがいたりして。

(一同)へぇ~。

【高畑】ここ透けて見えるけど、中に傘持ったお姉さんがいるの分かる?

【きだて】あ、何かそれっぽいのが。

【高畑】1枚ずつ、その中に違う人がいるの。

【きだて】へぇ~。

【高畑】それで、ペコって立てると、人が立つようになっているの。

【きだて】テラダモケイみたいな感じで。

【高畑】そんな感じで。そんなのが全部にいるんだよ。一つひとつ違うやつで。

【他故】えぇ~!

【きだて】すごいよな。ていうか、このデータ作りたくないな。

【高畑】だからこれは、技術力の高さみたいなものを、「試しにアピールするために作ってみましたよ」というものかなと思うので。一応、清水寺のを2個買ったので、1個はちゃんとめくってみたいなと思っている。一度にじゃなくて、1枚ずつめくりながら150枚分かけて絵を出していくというのがいいと思うので、1日1枚ずつめくって、半年かけてやるのがいいかな。

【きだて】このかたまりの中に何かが埋まっているのって、円空仏っぽいよね。「木片の中に仏像が見えた」って言って彫り出すんだよ。

【高畑】「塊の中にすでに彫刻がある。いらないものを取りのぞいてそれを取り出しただけだ」っていうやつか。

【きだて】そう、あれ(笑)。

【高畑】ものすごい手間暇とか緻密な時間が、この小さいところに凝縮されたものって、ちょっとそそるものがあるじゃないですか。

【きだて】うっとりだよ。

【高畑】漆を重ねて彫るのと同じような。いろんな色の漆を層にしておいて、彫ると地層みたいになってるじゃん。ああいうのと同じように、超手間をかけていて、その中に入れるというのは日本人らしいし。

【きだて】それで1万円なら、全然出せるし。

【他故】出せるよ。

【高畑】値段的には全然、この人儲けているとは思えないんだよ。

【きだて】それは思えない。

【高畑】紙代はともかく、作る時間とか考えたら赤字で、儲けは全然ないと思うんだよね。でも、これはこれで一つのアートだよね。

【他故】そうね。

【高畑】実用性の先端もあるけど、これはそうじゃないところの先端なので。年始早々すごいものを見たという感じがありますね。

【きだて】う~ん。

【高畑】今回は3人とも、ガチャックは別だけど、本道から外れたようなものばかりで。まあ、年始のお年玉みたいなものかな。

【きだて】ついでに、お年玉プレゼントとしてそれを放出しろよ。

(一同爆笑)

――では、「月刊ブング・ジャム」をご覧のみなさんにプレゼントとして(笑)。

【きだて】俺も応募するよ。

【高畑】いやいやいや、それは無理(笑)。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。東京・京橋の文具店・モリイチの文具コラムサイト「森市文具概論」の編集長も務める。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/
【森市文具概論】http://shop.moriichi.net/blog/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。「森市文具概論」で「ブンボーグ・メモリーズ’80s」を連載中。

たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/

*このほか、ブング・ジャム名義による著書に『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)があるほか、古川耕さんとの共著『この10年でいちばん重要な文房具はこれだ決定会議』(スモール出版)も2018年3月2日に発売予定。弊社よりKindle版電子書籍『ブング・ジャムの文具放談』シリーズを好評発売中。購入はこちらから。

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