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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.04後編

ブング・ジャムのイチオシ逸品編

P6239909.jpg右からきだてさん、高畑編集長、他故さん

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」。Vo.04後編では、ブング・ジャムのみなさんが愛用する逸品について熱いトークを繰り広げました。

*Vo.04前編はこちら

絶妙なコラボ!?で快適に筆記

きだて.jpgユニボール シグノRT1(ブルーブラック)」(三菱鉛筆)に「プニュグリップ(右手用)」(クツワ)を装着

――では、後半戦いきましょう。

【高畑】後半戦は、例の一人一品ずつ紹介するやつですね。きだてさん大丈夫? 前回からそういうのもやりたいということで始めたんだけど。

【きだて】そう言われたから持ってきたよ。

――なんか、転校生に説明しているみたい(笑)。

【きだて】疎外感!

【高畑】いやまあ(笑)、前回は他故さんに2つ紹介してもらったけど、今回は1個ずつということで、誰から行きましょう?

――じゃあ、まずはきだてさんから行きましょう。

【きだて】前編でグリップの話をしていたので、これを出しますよ。今の俺の愛用ペンなんですけど。

【高畑】おおっ、この「シグノRT1」に…。

【きだて】「シグノRT1」のブルーブラックに、「プニュグリップ」の青色を装着すると色合いがまるで図ったかのように。

【高畑】確かに色がピッタリ(笑)。

【きだて】もう、こういう製品なんじゃないかというぐらいの。

【高畑】これは確かにすべらないよ。

【他故】すべらないよね。さすがに、三菱鉛筆のデザインじゃないけどね(笑)。

【きだて】違うんだけどね。元々「シグノRT1」は悪筆の人でも字が比較的きれいに書けるペンだと俺は思っているの。で、改めて字を書く時に大事なことって何だろうと考えていくと、ペンの握り方をきちんとするところからだ!と気付いて。みんなが小学生の頃に分かったことが、大人になってようやく分かったんだけど(笑)。

【高畑】それは、正しい持ち方をする的な?

【きだて】そう。どうも俺はペンの握りが人と違うぞ?と気付いて、そこで色々と矯正器具を試してみたんだけど、その中で一番手軽だったのが、この「プニュグリップ」だったの。

【高畑】はいはい、この「プニュグリップ右手用」ってやつね。

【きだて】そう。

【高畑】ちゃんと中指と人差し指と親指が引っかかるという。

【きだて】そう。ちゃんと場所が設定されているので、誰でも持てるという。

【他故】素晴らしいですね。

【高畑】でも、これいい角度だね。

【きだて】ね、いいでしょ。

【高畑】いい角度。書きやすい。確かにね、いいかも。

【きだて】さらに、これなら100%すべらないからね、どんな手汗でも。

――今日の話は全部そこに集約されてますね(笑)。

【きだて】ついでだから、集約させてやれと思って(笑)。

【高畑】「プニュグリップ」の全く動かない感はあるよね。

【きだて】やっぱり、「ドクターグリップ」と同じで、疲れないというのもあって。

【高畑】太さがちょっとあってね。

【きだて】そう、太くて柔らかいんで、指がすごく楽。それで、書きやすいというか、筆記に合った位置でピタッととまってくれるので、ムダな力もいらないし。

【高畑】あ~そうなんだ。たしかに、持ち方って子どものときに若干言われるけど、大人になって改めて持ち方どうだとか考えないね。

【きだて】そう、やっぱり自己流で進化しちゃうじゃない。

【他故】そうそう。

【きだて】改めて思い出すという意味でよかったし、長時間使っていても疲れないというメリットもあったし。このRT1の書き味とグリップの弾力性が意外とマッチしてるんだよ。

【高畑】うん、今書いてみたら割とよかったよ。

【きだて】で、この色合いのマッチングでしょ。

【他故】なるほど(笑)。

【きだて】これは、三菱鉛筆とクツワで組んでこれやれやって思うぐらいだよ。

――奇跡のコラボですね、これは。

【きだて】元からシグノのブルーブラックが好きで使っていたんだけど、カラーリングまでピッタリの相棒が見つかったという。

【他故】うーん、そうだね。

――「シグノRT1」のボディーは、スケルトンな部分があるから、グリップの透明感と合うんだ。

【他故】割と合うんだね。

【高畑】「プニュグリップ」入れると、もう抜けないんだよね。

【きだて】「プニュグリップ」はゴムなので、入れるときに一苦労なのよ。

【高畑】なかなか入らないんだよ。

【きだて】グワァって押し広げて、ちょっとずつ入れて。広げて入れるを繰り返すという。

【高畑】昔、オートの「オートグリッパー」というグリップがあったんだけど、「入れにくいときは、ツバを付けて下さい」と書いてあったよ。

【きだて】プリミティブな解決だな(笑)。

【他故】セッケンを塗ったりしちゃうとか(笑)。

――ローションとかワセリンを使うような(笑)。

【きだて】でも、一遍入れちゃえば、二度と動かないし。

【高畑】替え芯は大丈夫?

【きだて】先の方をまたちょっと広げてあげれば、何とかなります。

【他故】先端が抜けるんだ。

【きだて】ただね、一つだけデメリットがあって、猫を飼っている家だと使いづらい。

【高畑】ああ、毛が付いちゃうんだ。

【きだて】シリコンゴムのグリップ、猫毛が超付くわ~。

――そうでしょうね。

【他故】また、この色だから目立つでしょ。

【きだて】うちの猫、白とグレーだから、ブルーの地に良く目立つよ。

――それはコロコロかなんかで毛を取るんですか?

【きだて】ガムテでピピッと取るんですけど。

【高畑】まあいいね、いいかも。大人になって練習するのはいいと思うよ。ちゃんと使い直すということで。

【きだて】雑誌やなんかで、「汚い字の人がきれい書けるようになるには」という記事を何遍も書いていると、やっぱりちょっと見直すところがあって。

【高畑】その記事を何遍も書いているけど、自分は何もやってなかったという(笑)。

【きだて】いや、記事を書くことでようやくちゃんと分かったという。

【高畑】ああ、なるほど。

【他故】先っぽをめくらなくても、グリップの上を外して替え芯交換できるじゃん。

【きだて】あれま、それでよかったんだ。わざわざ無理してめくっていたのに。

【他故】ここからネジ回せばいけるよ。

【高畑】いいね。

【他故】もう完璧じゃん。

【きだて】今後はこれだ(笑)。

――このグリップの見た目は、ペリカーノジュニアを思い出しますね。

【きだて】はいはい、そうですね。児童万年筆のね。

【高畑】でも、あれよりずっと柔らかいんだよね。「プニュグリップ」の柔らかさは別物だよね。

――「プニュグリップ」じゃないとダメですか。

【きだて】持ち方矯正グリップは他社にもあるけど、これが俺には一番気持ちいい。

【高畑】かなり柔いよね。

【きだて】「ドクターグリップ」とかは、昔はあのぷよぷよした感触が嫌だなとか思ったけれど、この歳になってると、「ああ、これでいいんだ」という思い返しもあって。

【他故】柔らかいグリップがよくなったんだ。

――確かに、若い頃はああいう筆記具が嫌だったりしますよね。

【きだて】そう、あれは何だったんだろう?

【高畑】この歳になると、野菜の美味さが分かるという。「あ~、キャベツ甘い!」みたいな。

【きだて】しみじみと、「高野豆腐の炊いたのって美味いねぇ」とか(笑)。

――そうそう(笑)。歳を取って、握力がなくなってくるから、太いペンを握りたいとか。

【きだて】あ~、それもあるかもしれない。手術後これを使う確率が増えたのも、それかもしれない。

――リハビリ用ですね(笑)。

【きだて】リハビリ用にいいかもしんないね。

――今のきだてさんの心境を現している文房具ですよ。

【高畑】でも、この組み合わせは本当にいいかもしれないね。

――この組み合わせで売り出していいぐらいですよ。

【きだて】うん、みんなマネするといいよ。

【他故】本当にそうだよね。

【きだて】字がヘタな人も、これを使うと3割くらいキレイになるよ。

――関係者の方にこれを読んでもらって、ぜひ実現してほしいですね。

【きだて】三菱鉛筆とクツワの人にね。

【高畑】確かに気持ちいい。

【きだて】なので、今のところ筆記具としては、この状態が俺にはとてもベストでおすすめ。

【高畑】普段書きのイチオシということだね。

【きだて】そう、イチオシです。

――なるほど。

【きだて】他故さんのおかげで万年筆も使うようになったんですけど、普段使いにはこれで。

【他故】いいんじゃないですか。

ふせんをウエアラブルに

他故.jpgココフセンカード(カンミ堂)。左はチャージ用、中央のトランプ柄のものは他故さんがカスタマイズしたものです。

――次はどなたにしましょう?

【他故】じゃあ、私が行きましょう。

――では、他故さんですね。

【他故】この間は、気張っていろんなものを持って来ちゃったんですけど、結局今自分の中で一番使っている文房具は何だろうと考えたときに、「ココフセンカード」だろうと。

【高畑】おおっ。

【他故】結果的に、これを一番使っているんですね。

【きだて】ふーん。

【他故】(次々と取り出して)今、体に3つ付いています。

(一同爆笑)

【きだて】次々出てくんなと思っていたけど、まだ出てくんのか(笑)。

【高畑】この間の「ジョッター」の時にもビックリしたんだけどさ。何個出てくるのって(笑)。

【きだて】他故さん、やっぱりあんた変質者っぽいよ(笑)。

【他故】何でやねん(笑)。

【高畑】いや~すごい。で、今はおサイフに一つ入れていて…。

【他故】定期入れに1個、手帳に1個、であとは会社のPCモニターの前にカードスタンドが置いてあって、そこには5×3カードのToDoやメモがあったりしているんだけど、その中に一緒に立てている。なので、それが僕が使っている「ココフセンカード」の中で、一番出番が多い。

【きだて】会社で使うふせんを、全てこれでまかなっている感じ?

【他故】7割はこれ。字を書きたいときだけ、横に四角い紙のポスト・イットが置いてあって、それが万年筆で書きたい時専用。で、基本的に書かなくていいというときは、ほぼこれです。

【きだて】ほほう。

【他故】面白いのは、これを使い慣れちゃうと、このふせんの長さじゃないと気持ち悪くって、普通の「ココフセン」の長さでも、「長い」と思っちゃう。

【きだて】はいはい。それ分かる。

――そうか、短いんですね。

【他故】毎回書類の端に出すという使い方をしているので、書類と書類の余白って、長かったり短かったりしているんですけど、普通のふせんだと長い文字にかかっちゃうんですよ。これだと、僕の書類だとほぼかからないですよね。それが一つ。あとは、持ち運んで使うことが異常に多い職場なんですよ。個人の持ち物に貼るというのももちろんあるんですけど、よその部署に行って書類をお借りして、「こことここにコピーをしますよ」とふせんを貼っていって、コピーをして返すというのが必要なんですね。そうすると、ポスト・イットの束なんて持ってないんですよ。

【きだて】さすがにそれは身につけてないのね。

【他故】もう一人パートナーがいて、その子がよくポスト・イットを忘れちゃうんですよ。「あっないな」となったときに、「ありますよ~」と言って毎回これを出す(笑)。

【高畑】そんなこともあるんだね(笑)。

【他故】その仕事は、ふせんがないとできないので、ふせんを持ち歩くことがどれだけ重要かという。今の職場は4年目だけど、ふせんの使用量がものすごく増えて、その中でもこの「ココフセンカード」が僕の中で一番合っている。

――じゃあ、一番仕事で使うわけですね。

【他故】仕事で使う文房具ですよ。

【高畑】チャージは結構頻繁にするの?

【他故】だんだんチャージが頻繁になってきたので、そろそろツボで買おうかと思っている。

【高畑】ボトル販売のあれか。

【他故】というぐらいにこれに偏ってきたので。

【きだて】ふせんがこれぐらいの長さでいいというのは俺も同意。75㎜って実は長すぎる。

【他故】僕の体の中では、この長さがふせんの基準になってしまっていて。それで、大きいやつは完全に書く用ということですり込まれている感じがあって。

【きだて】はいはい。

【他故】で、定期入れのは完全に予備なのでほとんど出番がないんだけど、仕事の関係上ないとどうしても困るので。

【きだて】無いとイライラすると思い始めたのは、いつぐらいからですか?

【他故】ええっ(笑)。手帳カバーをデザインしたとき、ココフセンを貼るスペースをあえてカード入れの上に作ったんです。その後にココフセンカードが発売になったのでカードも常備になって。

【きだて】分かりました、じゃあお薬出しておきますね。

(一同爆笑)

【他故】これに関しては、人さまがどう思おうが、僕のふせんの長さはこれになってしまったので。体の中で完全に。

――それは、色の使い分けはしてるんですか?

【他故】色分けはしません。一切しません。一切しないというと変なんですけど、他の部署に行って、割とこれを使っている人がいたりするんですね。で、書類に貼ってあったら、その色とは違う色のを貼るという必要が出てきているので。あとは、これは貧乏性のところもあるんですけど、5色あったら同じように減ってくれないと気持ち悪いので、色で分けてこの色だけが減るということはないです。とにかく、同じように減ってほしくて、1個でも減ったら、すぐにチャージして入れる。空いているのが大嫌い。わざわざ裏から触って、「これはまだたくさんあるから使わない」というように、段々減らしていって。

【高畑】理想的には、全部なくなって全部入れ替えるのがいいの?

【他故】そうなると、全部が1枚ずつ残るというのは難しいと思うので、量はあまり気にしない。

【きだて】減ったら、減った端からチャージでいいわけだね。

【他故】そう、それでいいんだけど。

――欠けている状態が嫌だということですね。

【他故】そう、欠けている状態が嫌なのと、たくさん入っている状態のがあったら、そいつは使わない。あとが減っていってほしいから。

――なるほど。

【他故】だから、色分けはしないけど、減ったら減ったで、今度はこれ(補充用)が減っていってほしい。

――予備が減ってほしいんですね。

【きだて】それも、どこかから出てくるんだろうなと思っていたけど(笑)。

【高畑】予備もちゃんと持っている。

【他故】というわけで、「ココフセンカード」大好きという話でした。

【きだて】「ココフセンカード」のふせんの長さで選んでいるというのが、すごい納得できる話だったので。

【高畑】俺も特注印刷で名刺にするぐらい使っているからな。

【きだて】意外と使ってなかったんだけど、この短さならいいね。これから使おう。

【他故】新製品がどんどんと、「ペントネ」とか「スット」が出てきたりしたんだけど、僕の中では実用になってないんですよ。長さが違うから(笑)。

【高畑】そこか!

【きだて】なるほど。長さは変わらないからね。

【高畑】「ココフセン」シリーズは、カンミ堂を代表する製品ではあるよね。

【きだて】そうね。

【高畑】ふせんをいつでも持っていて、要るというときにすぐに出てくるのが大事。

【他故】そうそう、まさしくその通りで、できる限りウエアラブルにしたいと思っている中の一つなんだよ。

【高畑】きだてさんより改造されているのは、むしろ他故さんかもしれないね。

【きだて】そうかもしれないね(笑)。

【高畑】サイボーグ化というか、内蔵しないだけで…。

【きだて】追加外装タイプだ。

【他故】改造人間的ではなくて強化人間的。

【高畑】強化スーツだ。

【きだて】強化外骨格。

【他故】それはあるかもね。あなたはサイボーグになりたいのかもしれないけど。

【きだて】うん…、いや「なりたい」と言った覚えはないぞ(笑)。

【高畑】その肩の中に入っているプレートに、本物の定規とかさ(笑)。

【きだて】バーカ、うるせえよ(笑)。

【他故】レントゲン撮ったら本物の定規だったって最高だな(笑)。

【高畑】1㎜の狂いもないんですって(笑)。

――ちゃんとメモリが付いているんですね(笑)。

【高畑】でも、レントゲン撮らないと読めないから。

旅のお供に“野帳”を

文具王1.jpg測量野帳」(コクヨ)。今回の旅行に持参したのは右の野帳。

――じゃあ、最後は高畑編集長です。

【高畑】今回は、海外旅行へ行ってきたので、毎回旅行で使う「測量野帳」を持ってきました。

【きだて】パンパンだね。

【高畑】そうなんですよ。前に「文具王」のロゴ入りを特注で作ったんだけど、今回はそれを使ってます。旅行に必要な日程表を書いたり、飛行機やホテルの予約はプリントアウトした紙を見せればほぼほぼチェックインできるので、それを全部貼っておく。そうすると、それをその場で見せればいいので。だから、行く前に予約とったやつをプリントアウトして貼っておく。

――あらかじめ貼っておくんですね。

【高畑】そう、そういうのを全部貼っておく。あと意外といいのが、パスポートの写しを貼っておくと、途中でイミグレーションのカードを書くときなんかに一々本物のパスポートを出さずに書けるんだよね。もちろん、現物を見せろと言われたときは出すんだけど。

【きだて】そうだよね。わざわざ出すの物騒だよね。

【高畑】前は、「モレスキン」を使っていたのね。でも、でかいのでポケットに入んないんだよ。

【他故】そうだね、入らないね。

【高畑】帰ってきて読み返すのは楽しいんだけど、旅行中にはカバンに入れないと使えないんだよ。

――ちょっと持ち歩くのは大変ですね。

【高畑】野帳だと、いつもポケットに入れて動けるので。あとこれに、カウネットのパーソナルで買えるカバーをかけておくと、内側をポケットのように使えるので、チケットを落とさなくて済むし、すぐに見られるのでこれはいいですね。

――旅の楽しい思い出を貼るというよりは、実用的な使い方なんですね。

【高畑】前半分は実用的だけど、後ろ半分で楽しい思い出も貼る。その場でどんどん貼っちゃうので、「ドットライナーホールド」も一緒に持って行くんですよ。

【きだて】「ホールド」なのね。

【他故】小さくてもいいんじゃないの?

【高畑】ガーッと貼れるから楽なので、ちょっとでかいけど「ホールド」を持って行く。とにかく、テープのりを持って行って、紙類を貼る。

【他故】それは分かるな。その場で貼っちゃうのはいいよな。

【高畑】これね、帰ってから貼ろうとか、ホテルで貼ろうとか考えていると。

【きだて】絶対にやらないね。

【高畑】やらない。めんどくさいから、その場で貼っちゃう。前後とかは気にしないで、逆になってもいいから、その場で貼る。それで、地図とかちょっと大きい紙なんかは、何折りというのかは分からないけど、貼って折り紙みたいに折りたたんでおく(*下写真参照)。

文具王2.jpg

【きだて】へ~、何か変な折り方してるなと思ったけど、そういうことだったのね。

【他故】その折り方は好きだな。

【高畑】この折り方を覚えておくと、結構貼れる。

【きだて】いいね、これ。

【他故】野帳の悩みは、でかい紙が貼れないことだったから。

【高畑】これだと、A4くらいの紙だったら全然貼れるから。

【きだて】貼れるんだね。

――これ、何折りっていうんですか?

【高畑】何折りだろう? 分からない。時々、この折り方の地図があったりするんですよ。それを見て面白いなと思ったので、自分でもやってみようと。 ※「トルコ折り」だそうです(高畑編集長追記

【他故】習いたいね。

【高畑】あと、これも何かの本に書いてあって素敵だなと思って真似しているんだけど、旅行のときにトランクに付いてくるクレームタグをはがして貼っておく。あれは元々裏にのりが付いているから、ペタッと貼れるんだよね。貼っておくと、行った国とか日付とか全部書いてあるんだよね。

――一々書かなくていいということですね。

【高畑】そう。これを見返すのもいいし、これを貼るだけで旅行に行った感は出るので。これを表に貼っておくと、しまったあとに「これ、どこのだっけ?」というのがすぐに分かる。

【きだて】へ~、いいね。

【高畑】昔は大きいモレスキンを使っていたんだけど、モレスキンだとページ数が多いので、意外と余っちゃう。

【きだて】野帳だとそこそこ使い切れるのか。

【他故】何でも貼ると考えれば、確かにね。

【高畑】メモを書いたり、絵を描いたりが全然できるし、写真もチェキだったら全然貼れるのね。前回はチェキを持って行ったので、それはそのまま貼れるし。だから、このぐらいの方が、あまりでかくなくていいかなと。

【他故】それは、すごくいいね。

【高畑】あと、もらった袋なんかを貼っておくと、そこに物を入れられるんで、割といいぞと。とにかく今は、旅行に行くと測量野帳を必ず1冊持っていって、そこにまとめる。

【きだて】改めて、やっぱり野帳の実用性がいいね。

【高畑】かっこいいノートを作って見せたいわけじゃないんだけど、半分以上実用で。

【きだて】そうだね。

【高畑】これ、旅行している間に何十回も見ているのね。開いて、閉じて、開いて、閉じてというように。すっごい使っているから、これはやっておいて良かったなと思った。

【きだて】“わたしの旅の思い出ブック”みたいなのは、もう最初から「ケッ」と思っちゃうんだけど、実用アイテムとして野帳を使うのはいいなと思った。

【高畑】かわいく書くわけじゃないんだけど、とりあえず貼っておくとか、その場でスタンプを押すとかをしておくと、何にお金を使ったとかが後で分かる。

【他故】そうね。

【高畑】「トラベラーズノート」も悪くないんだわ。だけど、俺的にはトラベラーズだとカバンの中になっちゃう。

【きだて】そうだね、野帳だと持ち歩けるからね。

【高畑】この野帳が野帳たる所以というか、尻ポケットとかジャケットのポケットにシュッと入れられるという、この機動力がいいし。カバーのすき間にチケットとかを仮にはさんでおいて、列車に乗っている間になくさないとか。このカバーもよくて、透明だから見えるし。ということで、これは旅のたびに作るんですけど。これはいいです。

【きだて】最近は、旅をするとそのまま記事になる生活を送っているので、旅の思い出とかもうどうでもいいやと思っているのね。記事にしちゃうから。

【他故】まあね。

【高畑】1日、2日の旅行だったらなくてもいいんだけど、さすがに海外だと事前にチェックしたことを何回も見るんだよ。乗り換えの駅の名前とか何回も見るから。国内だとノートをとらなくても平気なんだけど、海外だとこのぐらいしとくといいよ。

【きだて】そうね。超絶方向音痴の文具王がチューリッヒに行って、フランスに行って無事帰ってこられたというだけでも、このノートの必要性が実証できるじゃん(笑)。

【他故】素晴らしいよな。

【高畑】まじで、このノートがなかったら死んでたと思うよ。もちろん、『地球の歩き方』もカバンに入れているんだよ。でも、『地球の歩き方』って結構分厚いじゃん。だから、買い物しているときとかに見れないんだよ。あれで調べることはいっぱいあるんだけど、やっぱり書き写しておくと便利。

【きだて】行動の指針として、これは使うよね。

【高畑】例えば、チューリッヒで移動した所って、ほぼほぼ街の中央部分の地図がここに載っているのね。そうすると、その地図が1枚あるだけで、今どこにいるというのが分かるし、グーグルマップと照らし合わせると、「ここだ」というのが分かるので。現地の人に地図を見せると、「ここら辺だよ」と指さしてくれたりするので、やっぱり地図は大事。

【他故】そうだね。

【高畑】これね、まだ日本にいるときに地図を見てもよく分からない。行ったことないから、想像できないの。行ってみて「あ、これがこの通りで」みたいに何となく位置関係が分かるじゃん。Googleマップもいいんだけど、固定したマップで何度も見ると位置関係がちょっと分かるようになる。

【きだて】さっき、人に地図を指をさしてもらうと言っていたけど、液晶画面を指でさしてもらうのってわかりにくいんだよね。

【高畑】指でさしちゃうと動いちゃうんだよ。

【他故】違うもの開いちゃったりするからね。

【きだて】紙の地図って、見知らぬ土地ではまだまだ有効なんだよね。

【他故】見せやすいしね。

【高畑】行きたい場所をお姉さんに訊いたら、地図にボールペンでその場所に印を付けてもらったりして。これ、すごい楽なんだよ。

【きだて】そうだよね。俺も、取材で旅行する時は基本的に紙の地図をプリントアウトして持って行くんだけど、そういうやり方はいいね。

【高畑】あと、要らなくなったチケットは一応貼っておく。後で、どこで乗り換えたとか全部分かるので。

【きだて】いいねとは思いつつ、俺の無精さから考えると、やらないんだろうなとは思うけど(笑)。そういうのがちゃんとできる規則正しさは羨ましい。

【高畑】あと、テープのりをカバンのいつでも取り出せるところに入れて、途中のカフェやベンチとかでバリバリ貼っちゃうという感じにしている。

【他故】貼るやつってね、ためておくと絶対にやらないからな~。

【きだて】ホテルまで戻ってやろうというのは、絶対にやらないね。

【他故】やらないね。

【高畑】そんなに美化する必要もないし、他人にどうこうと見せるものでもないんだけど、自分的に気になったものは貼っておくし、チケットを貼っておくと、何時頃そこを通ったかも分かるので、後で記録整理するときに便利。まあ、測量野帳は普段のメモにも便利なんだけど、旅行へ行くときにもこれ1冊あると便利だよということだよ。

【きだて】ちぇっ、タイムリーにいい話されちゃったな。

【高畑】タイムリーな話の方がいいと思って。でも、きだてさんだってタイムリーな話だよ。

【他故】タイムリーだよ。

――まるで、今日の企画(前編のシャープペン)に合わせたかのような話でしたよ(笑)。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/

*このほか、ブング・ジャム名義による著書に『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)があるほか、弊社よりKindle版電子書籍『ブング・ジャムの文具放談』シリーズを好評発売中。購入はこちらから。

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