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【連載】月刊ブング・ジャム Vol.01後編

使って快適! 見てウットリ!な文房具

ジャム1.jpg(左から他故さん、高畑編集長、きだてさん)

本サイト編集長の文具王・高畑正幸さん、イロモノ文具コレクター・きだてたくさん、ブンボーグA・他故壁氏さんの3人による文具トークライブユニット「ブング・ジャム」。文具ファンにはおなじみのこの3人が、気になる最新文房具を独自の視点から切り込んでいく「月刊ブング・ジャム」がスタート! Vo.01後編では、「貼るもの」「切るもの」について激辛トークを繰り広げました。

子どもの“マイファーストテープのり”に最適


 ピットエッグ .jpg

ピットエッグシリーズ(トンボ鉛筆、各税抜180円) 丸みを帯びたコンパクトな“エッグボディ”なので、誰でもしっかりと持て、タテにもヨコにも引けるほか、ペンケースに収納しやすいコンパクトサイズ(サイズ:28×69㎜楕円、厚さ19㎜)。さらに、ヘッドが紙面にうまく当たらなかった場合でも、ヘッドが微回転して手ブレを補正する機構“フィットヘッド”を新たに採用。不慣れな人でも上手にのり付けできる。また、ヘッド全体をカバーし保護する“フルカウルヘッドカバー”も設けた。ラインアップは、貼った瞬間から強力接着する“ピットパワーエッグ”(*写真手前青の商品)、最初は貼り直せて後からしっかり接着する「ピットリトライエッグ」(*同ピンクの商品)、貼ってはがせる「ピットタックエッグ」(*同緑の商品)の3タイプ(ボディーカラーは各2色)。全種使い切りタイプ

【他故】「ピットエッグ」は、具体的に今までのテープのりと何が変わったんでしたっけ。形だけ?

【きだて】ヘッドがね、面白いんだ。

【他故】ヘッドが違うの? 本当だ、動くんだね。

【きだて】これがね、テープのり使うのが下手な人にすごい良い。

【他故】パッケージ見ただけだと、これが何なのかがはっきりと分からなかったから。

【きだて】使ってみると意外と良い。貼る距離が長いと、引いてるうちに手首の角度が変わって来る。それでテープが偏ったり引き損なったりするんだけど、このヘッドなら大丈夫。

【他故】ふーむ。

【きだて】ただね、強力タイプはテープの貼り終わりが糸を引くんだわ。

【他故】青が強力?

【きだて】赤だったかな。いや、青だ。

【高畑】赤は貼り直しできるやつ。

【きだて】1分間の間だったら貼り直しができるやつだ。

【高畑】前はもうちょっと違う形だった。

【他故】僕の大好きな立つ形だったんだけど、これは立たないからな。

【高畑・きだて】来たね~(笑)。

――他故さんは、机上に立てられる文具が好きですからね。

【きだて】短い距離での貼りはそんなに他のテープのりと差が出ないんだけど、長い距離がね。横にグワーっと引いた時なんかに。

【高畑】引いていったときに、手がだんだんねじれていくんだよね。そのねじれを吸収するものとしてある。だから、この上のカバーがなくても成立しているんだよね。

【きだて】逆に、これで寝かせ過ぎを防ぐかもしれないよね。これでヘッドが当たるように引けば、角度は大丈夫ですよ、ということだね。

【高畑】テープのりを上手に引くというのはなかなか難しいものね。上手に引くのをどうアシストしていくのかについては、テープ業界は本当に大変だな。

【きだて】それに関して、「ピットエッグ」と「ノリノプロ」がそれぞれ違う方法で真っ直ぐ引かせようとしているので、ホスピタリティ高い系のテープはいいなと思う。

【高畑】きだてさん的に、「ピットエッグ」と「ノリノプロ」の使い分けはどうなの? 「ピットエッグ」の方が小さいから、持ち運ぶにはいいと思うけど。

【きだて】そうね、筆箱に入れとくのはこれがいいなと思い始めた。ただ個人的には、「ノリノプロ」のプッシュオープンフタがすごい気に入っているので(笑)。

【高畑】あれ、気持ちいいんだよね(笑)。

【きだて】あれはクセになって、ずっと開閉しちゃう。

【他故】仮留めできるやつって本当に大好きで、コクヨのやつもそうだし、この「ピットエッグ」の前のタイプも使っていたんだけど。これって、のりを貼った後に色が変わらないよね?

【きだて】変わらないよ。

【他故】前のは、貼った紙からピンク色ののりが透けて見えて嫌だったという記憶があって。これなら見えないかな。

【きだて】これは気にならなかったよ。

【他故】のりがドットじゃなかった頃は、引いた線がそのままずっと見えてて。

【きだて】あー、あったね。

【他故】あれが、色が変わると思い込んじゃってて、ちっとも変わらなかったから、嫌な思いがあったんだけど。これはそうでもないな。「ピットリトライ」買おうかな。

【きだて】これはそれこそ、子どものマイファーストテープのりでもいいんじゃないかなというくらいだよ。

【高畑】どんだけ英才教育やねん、お前のところは(笑)。

【きだて】幼い頃からの教育が大事なんじゃ!(笑)

――でも、トンボ鉛筆は「テープのりのデビューの低年齢化が進んでいるから、子どもなどテープのりを慣れていない人でも使いやすいものを開発した」と言っていますよ。

【きだて】子どもは修正テープを使わないんだから、そういうテープ系のリテラシーはこれで養うべきじゃん。

【他故】しかも、テープがグニャグニャ曲がってキーッてなる子が多いけど、それがなりにくいからね。

“気持ちいい”機能が満載!!

ノリノプロ.jpgノリノプロ(プラス、税抜400円/つめ替えテープ同300円) 長さ22mのロングテープに、独自開発したテープのたるみ発生を防ぐ「パワーギア」、不具合の原因となる糊カスを回収する「クリーンローラー」、真っすぐのり付けできるガイド機能「はしピタガイド」の3機能を搭載しており、失敗なくキレイに貼れて引き直しの無駄をカットし快適なのり付けが可能。また、ランニングコストに優れた詰め替え式のロングライフ仕様。本体カラーがレッドの「強力に貼れる」、ブルーの「しっかり貼れる」、グリーンの「キレイにはがせる」の計3タイプ。

――きだてさんは、いろんなところで「ノリノプロ」を激オシしてますけど、何が一番いいんですか?

【きだて】…プッシュオープンのフタ。

(一同爆笑)

【高畑】フタか~(笑)。

【きだて】フタはさておき、真っ直ぐ引けるというガイド機構。あれがね、実はヘタな人はあれでもダメだっていうのが分かったの。

【高畑】紙をはさんで引く「ドットライナーホールド」に比べると多少はね。でもその代わり、「ドットライナーホールド」よりもギリギリ端にのりがのるんだよ。

【きだて】本当にフチなの。で、うちの嫁さんにやらせてみたら、封筒のフチをガイドでグニャッてゆがませるの。

【高畑】ガイドが小さいから食い込んじゃうだよね。

【きだて】そう。「あっ、ダメな人はこれでもダメなんだ」というのが分かったので(笑)。まだ、「ピットエッグ」で見ながらやった方がまっすぐ貼れる。

【高畑】こっちの方がヘタな人でもやりやすいんだ。

【きだて】もちろん、落ち着いてやらないとグニャッってゆがむよ。ただ、手のブレを吸収してくれる分、まっすぐに引きやすい。

【高畑】そういう意味では、「ピットエッグ」は学生さんとかファミリー向けな仕様なわけじゃないですか。でも、こっちはプロなんで…。

【きだて】あれー? 万人が使いやすいと思ってたのに…。俺はまだ器用な方に位置していたらしいわ(笑)。

【他故】世の中にはもっと不器用な人がいるという(笑)。

――でも、あのキワキワの所に塗れる感覚は好きですけどね。

【高畑】そうなんですよ、あのギリギリに塗れるというのがね。「ドットライナーホールド」は大分フチから逃げているから。

――ギリギリを攻めてやろうというあの根性が(笑)。

【きだて】攻め感が(笑)。

【他故】ギリギリを塗りたいっていう人はいるんですよ、やっぱり(笑)。

【高畑】最初に貼ったときにびっくりした。本当にギリギリ。

【きだて】あとね、クリーニングローラーがいいね。「ノリノプロ」の強粘着もやっぱり糸引くんだけど、その糸をちゃんとはぎ取ってくれる感があるので。

――これ汚れないですよね。それはすごいと思った。

【きだて】いっぺんローラーにニチャッとついたテープくずが紙に戻らない。そういう意味では、すごく気持ちいい。それと、このクリーニングローラーが、カートリッジを替えたときに一緒に交換になるのがいいなと思う。そういう意味で、かなり「よく設計されているな」感はあるんだよ。あと、テープのたるみを無くす構造もすごく効いてる。

【高畑】テープ交換するときに、ヘッドがクルッと回るんだよね。

【きだて】そうそう、あれが気持ちいいの。機構的にみてて気持ちいいというのがいっぱい詰まっているのはあるよね。でも、何と言ってもプッシュオープンだけどね(笑)。

――結局そこですか(笑)。

【高畑】あれね~、よくできてるんだよな。押してるだけなのに、まるでバネでも入っているみたいにパカッて開く。

――プロ仕様ですからね。

【きだて】プロ仕様でプッシュオープンなのかどうかは知らないけど(笑)。

【他故】何プロ用だっていう感じですけどね(笑)。

――どんなプロですかね? 封筒貼ったりとか事務用ですかね?

【他故】事務用でしょうね。個人でというよりは、仕事で使ってという意味合いが強いでしょうね。

【きだて】フチギリギリに貼れるのは、紙工作用にもいいんだよ。

【他故】あ~、はいはい。

【きだて】強粘着は糸引くけど、本当に接着強度はあるので、使い勝手がとってもいい。

――これはドットのりじゃないですね。

【他故】ノーマルはドットだけど、強粘着はドットじゃないですよ。

【きだて】ノーマルでも接着強度あるので、普通はノーマル一択で全然いいぐらいですよ。で、「ピットエッグ」もリトライがすごく使いやすくて、しかもドットなので、こっちはリトライ一択でいいと思う。

――ドットはのり切れが最高ですからね。

【他故】昔に比べたら、引きが本当に軽くなったよね。

――そこら辺は日進月歩ですよね。

【他故】新しいものをどんどんと使わないといけないという気になりますよね。

【高畑】ただ、仮貼り用のはどう使うんだっていう話はあるけどね。ちょっとのりが弱いんだよな。

【きだて】需要はあるのかと思う。

――確かに、ふせんがありますからね。

【他故】全部紙でこうしたいっていう人がいるんだろうね。

【きだて】文具王が言うように、接着力は納得いかないのよ。

【高畑】でも、これ以上強くするとはがれにくくなるからね。

【きだて】まあね。

【他故】メモをのり付きじゃないものに書いちゃったので、ちょっとのり付けして壁に貼っておくというイメージですね。

【きだて】ノートの表紙なんかにペタッと貼っても、それを持ち上げるとヒラって落ちちゃう。

【高畑】外に貼ると簡単にはがれるから、内側用なんだよね。

【きだて】もうちょい、加減的に強くてもよかったんじゃねというのはある。

――その辺は、ユーザーが要望を出せばすぐに改善してきますよ。

【他故】「仮貼り強」「仮貼り弱」みたいな(笑)。

【高畑】種類が増えすぎてだんだん分からなくなる(笑)。

【他故】二度塗ると強になるとか、そういうやつ。

【きだて】ややこしいな(笑)。ただでさえ、「ノリノプロ」と「ピットエッグ」って、同じカラーリングなんだけど区分が違うんだよ。だから、業界で統一してくれないかな。

【高畑】この先そういうのがあってもいいよね。赤は「強い」とか。

【他故】青は「普通」とかね。

【高畑】それはともかく、テープのりも色々と幅が出てきたけど、ヘタな人にどうやって引かせるかが未だに課題なんだね。

【他故】そうだね。

【きだて】テープのりって、今まで粘着力競争とかテープの性能とかさ。

【高畑】あとは長さとか。

【きだて】その辺を重視してたんだけど、最近ようやく「ユーザーが上手くテープ貼れない」というのにメーカーが気付き出して、それを汲んでくれるようになった。

【高畑】それが今までスタンプだとかいろんなやり方をやっていたけど、従来型のやり方で解決しようというのがこれだよね。しかしな~、技量が要らない道具がどんどん出てくるよな。

【きだて】正しい進化ですよ。

【高畑】きだてさんっぽいな~(笑)。

【きだて】何で?

【高畑】全てに通じるきだてさんの軸はそれだもんね。

【他故】「道具で楽になる」だもの。

【きだて】道具って、楽になるために作られたものだもんね。

【他故】修行する必要はない。

【きだて】そうだよ。

安全、手軽に紙を“半分コ”

ハンブンコ.jpgハンブンコ(プラス、A4タイプ税抜5,500円/A3タイプ同10,000円) 手動裁断機としては世界で初めて(※1)紙を両端から挟むガイド機能のWゲージを搭載し、誰でも簡単に紙を半分に切れるスライドカッター。従来の裁断機の機能はそのままで、A3用紙をA4サイズに半切できる「A4タイプ」と、画用紙四つ切を八つ切サイズに半切できる「A3タイプ」の2種類。替刃は直線、ミシン目、折り目の3タイプがあり、各税抜500円。
※1 紙の中央を切れる(左右のゲージで紙を両端から挟み込むことにより)手動裁断機として世界初。北米、欧州、アジア、オセアニア、南米地域の主要国のWEBサイト調査 (2016年9月~11月 同社調べ)。

――次は「ハンブンコ」ですね。

【きだて】俺はA3タイプを買っちゃったんだけど、実はA4タイプで十分だったんだ。

【高畑】A3タイプって、A2を半分に切れるから。

【他故】ああ、そっか。

【きだて】そうなのよ。A4タイプって、A3をA4にするやつだから。あの名称を改めてほしい(笑)。うちにA2の出力機なんてねえよ!

――A3タイプって1万円もするじゃないですか。

【きだて】そうなんですよ。でも買っちゃったから、「あー失敗した」と思って。

【高畑】でかい?

【きだて】そりゃでかいよ。邪魔になるよ(笑)。後でA4タイプを見たら「あー、これでよかったんだ」って思ったもん。「この小ささがよかった」って(笑)。

【他故】「これを置く机はどこじゃ?」ってなるよ(笑)。

【きだて】今、床に置くしかないんだもん。

――返品できなかったんですか?

【きだて】買ってしばらくは、喜んで「うわーっ」て使っちゃったからさ。

【他故】そりゃ使うよね。

【高畑】A2が切れるんだから、何でも切れるじゃないですか。工作好きのきだてさんとしては。

【きだて】だから、A2は出力しないから~。

【高畑】でも、A3だと時々高さが入りきらないやつがあるんだよね。ちょっとでかい冊子だと。

【きだて】最終的には、「大は小を兼ねる」で納得しようとは思っているんだけど。こういうカッターは、大は小を兼ねるんですよ。

【高畑】半分に切るというのが、今までは目盛りを見てやっていたのにもかかわらず、合わないというのがね。

【きだて】半分にしたつもりが、重ねてみるとちょっとはみ出ているというのが意外とあったからね。あれは何だろうね、固定が上手くいかないのかな?

【高畑】今回それで直したと言っているけど、下のマットにわだちができると、ななめになった状態でローラーが回っちゃうからね。それがあるので、あれはセンターに合わせるのが難しいよ。あとズレが倍増するんだよ。1㎜ずれるとこっちが1㎜長くなって、もう一方は1㎜短くなるので、合わせると2㎜ずれているんだよね。この気持ち悪さはあるよね。

【他故】うん、分かる、分かる。

【きだて】それがこの「ハンブンコ」は、割と無造作にやっても、きれいにセンターを通るんだよ。

【他故】ああ、そうなんだ。

【高畑】俺が高校生の頃にあったら、同人誌作りが楽だったなと思うんだけど。

【きだて】折り線用の替え刃すごくいいいよ、同人誌作るのに。

【他故】あれは手作り派には最適だよね。

【高畑】カートリッジも安全性にもちゃんと配慮してて、本体にセットしない限りは、カートリッジをギュッと押しても刃が出てこない。

【他故】出ないんだ。へぇ~。

【きだて】あのカートリッジは良くできてるよ。

【高畑】しかも、ここに予備のカートリッジを入れる穴があいていて、最初は切刃だけ入っているんだけど、別売りで買うとミシン目刃と折り目刃が入れられる。

【きだて】台の方に最初から別売分を含めてカートリッジ3つ入る穴があいてるの。

【高畑】招待状みたいに折るものもできるし、ミシン刃にするとチケットになるので。

【他故】ああ、そうだね。

【高畑】『仮面ライダーエグゼイド』のガシャットみたいにガシャッとやってカッと開けて、ガッと入れるという感じで…。

【きだて】刃を折らないカッターの「オランテ」もそうだったけど、たぶんプラス社内に刃恐怖症の人いるぞ(笑)。

(一同爆笑)

【きだて】刃恐怖症の心が分かる人がいるんだよ。

【高畑】プラスは、基本的に刃物をさわらないというのが、1個大きなテーマなんだよね。

【他故】徹底してるよね。

【高畑】でもね、半分に折れるのめっちゃありがたいよね。A4サイズの紙を半分にしてもA5にはならないって知ってた?

【他故】ならないの?

【高畑】だって、A4は210×297㎜だから、半分にすると148.5×210㎜、A5は148×210㎜だから0.5が桁落ちするんだよ。だから、0.5㎜ずれるんだよ。

【他故】そっか、そっか。ずれるんだよね。

【高畑】だから、単純に割り算をすると、1㎜単位の目盛りの定規だと正確に半分にはできない。

【きだて】だから、目盛りで測るんじゃなくて、物理的にセンターに合わしちゃうという…。

【高畑】それに、雑誌でも何でも厳密に測ると、A4と称して出ているいろんなものが、意外とA4サイズじゃなかったりするから。

【きだて】基本的に、家庭でロータリーカッターを使う需要って、ほぼほぼ半裁なんじゃないかな。

【高畑】家庭というか、今回の商品は学校で便利という話なんだよね。学校の先生がめちゃくちゃ使うんだよ。

――家庭で使いませんか?

【高畑】使わないんじゃない?

【きだて】家庭とはいわなくても、例えば子ども会に一つとか、そういう単位で。

【高畑】子ども会とか、それこそクラブ活動だったりとか。

【きだて】あとね、個人商店は持っておくべき。

【高畑】あーそうなんだよね。印刷が安く済むからね。チラシなんかを緊急でコピーで刷ったりしていると。

【きだて】で、A4のチラシはA4で刷らなきゃダメと思い込んでいる人がすごく多いのよ。A3で刷ってカットしたら、コスト半分だぞ。

【他故】値段が全然違うものね。

【きだて】そういうリテラシー込みで、もっと断裁用のカッターは広めた方がいいと思う。とても便利なので。

【高畑】まあ、会社とか学校とかに置いてほしい気はするけどね。さすがにA3タイプを家に置いておくのはきだてさんだけでいいと思うけど(笑)。

【きだて】今まで「ハンブンコ」の記事を2つ書いているけど、どっちでも言ってるよ、「だまされるな。そこはよく見ろ」って(笑)。「大は小を兼ねるから俺はA3を買ったけどな!」って負け惜しみも言っているけど。

【高畑】でもさ、A3を用意したのはすごい誠意であって、学校の先生だと四つ切りを八つ切りにするから。あれはこっちじゃないとダメなんだよ。画用紙を切ろうと思ったら絶対に入らないから。これは、学校の先生の要望がすごいあったという話を聞いているよ。裁断機がよく買われているけど、裁断機は上手に使えないからという要望は学校とかが多かったというけどね。

【きだて】そうだ、画用紙があった。

【高畑】細かいところが良くできているんだよね。下に敷いてあるカッターマット代わりになっているやつ。それが、三角形になっていて、6回使えるんだよね。

【きだて】三角形の正中線を通ってないから、3面と、前後をひっくり返してその倍使えるんだよね。

【高畑】それがV溝に入っているから、ズレないで真ん中にストンと入るんだよ。これも過去のやつだと、ロータリーカッターの弱点の一つだったんだよ。それが動いちゃうというのが。そういう伝わらないところもよくできていて、「ああそうやるんだ」みたいなね。

【きだて】今まで、この値段でこの精度のロータリーカッターってなかったもの。

【高畑】あとね、持ったときに思ったよりも軽い。裁断機って重いんだけど、これは軽いからね。

【他故】出したりしまったりがしやすいだろうしね。

【高畑】基本、刃はレールの上に装着された時にしか出ないし、この下が紙20枚しか入らなくて手が入らないから、絶対にケガしないんだよね。多分、子どもにやらせてもケガしようがないよね。ユニットの刃を無理矢理出そうとしたら、小さい穴から棒で押さないとロックが外れないから出てこない。

【他故】すごいな~、超安全設計だ。

【高畑】プラスは、刃物の安全設計に関しては、いろんなことをやっているよね。

――これは他故さん的にはどうなんですか?

【他故】個人的にはすごく欲しいんですけど、置き場の話があったので、ちょっと躊躇してたんですよ。

【高畑】A4サイズだと立てておけるし、俺は台所の下のすき間に入れているんだけど。

【他故】台所の下!?

【高畑】入れるところがないんだよ。あるじゃない、納戸みたいなところが。

【きだて】A4サイズに関しては、A4ノビよりちょっとでかいぐらいな感じで。要は、ゲージを広げるとA3までになるということだから。

【高畑】あと、本体がスカスカに軽いので。他故さんは昔、同人誌の帯を作ってたじゃない。

【他故】文庫サイズの同人誌に帯をつけるんだけど、A4サイズを横長で4分の1にするんだよね。

【きだて】短冊ものの量産、すんごく楽よ。ゲージずらしつつガチャンガチャンとやっていくだけだから。

【高畑】これ切ると2つになるじゃん。これを合わせてトンとやったときに、「気持ちい~」ってなる。

【きだて】「揃ってるぅ~」ってなるよ。

【他故】それはいいなぁ(笑)。

【きだて】ゲージ自体はちゃちな感じなんだけど、それなりに精度が出るんだよ。

【高畑】もちろん一冊、一冊本に巻いたら、その1㎜の差は分からないけど、自分で全部持ったときに「あ~揃ってる」っていう気持ちよさはある。

【他故】それを味わいたいね。

【きだて】A4タイプはいくらでしたっけ?

――税抜5500円ですね。

【きだて】それぐらいなら、出す価値はあると思うよ。中綴じコピー本とか出しやすいよ。

【他故】いいね。

【きだて】折り目つけるの楽だよ~。20枚は一気に折り線つけられないけど、10枚ずつくらいなら確実にいける。

【他故】そんなに量産しないから(笑)。

【高畑】特殊だな~、ここの話は(笑)。まあでも、裁断機はパワーがあればいいと思っていたところに、ちょっと違うアプローチが出てきたところが面白いなと思う。

見た目美しく、切れ味もバツグン!!

サンスター2.jpgスティッキール ボーテ(サンスター文具、税抜1,000円) サンスター文具のスティック型人気携帯型はさみ「スティッキールはさみ」に、大人の女性をターゲットにした新アイテムが登場。まるでコスメのような上品なパール塗装を施し、アクセントとしてゴールドリボンを採用。しかも、化粧ポーチにも収納しやすいシリーズ最小のコンパクトサイズ。刃も鏡面仕上げを施し、開閉バネも刃に内蔵するなど見た目にも美しく仕上げているが、切れ味自体も向上。円筒形のものでも滑らず切れる直線刃と切れ味の良いカーブ刃を組み合わせたので、軽い力でもよく切れる。

【高畑】「スティッキール ボーテ」も切るものですね。これは、見て「かわいい」と思ってくれたら正解という話だよね。

【きだて】逆におじさんは話しづらい(笑)。

【高畑】でも、これすごいのは、刃の中にバネが入ってるんだよ。

【他故】あっ、本当だ。

【高畑】前は、刃の外側にバネがあったんだけど、それを刃の内側に入れたんだよ。頑張ってるだろ。

【きだて】これはすごい! よく作った。

【高畑】これもまた、きだてさんが得意気に記事書くでしょ(笑)。

【他故】「知ってた?ここにバネが入ってます」ってね(笑)。

【きだて】これは見た目の話?

【高畑】見た目ジャマにならないようにというのもあって、内側に入れているんだけど、それだけじゃなくて、外側にあるといろんなものが引っかかったり、汚れがたまったりするじゃない。あと刃も、値段が倍近くするので、表面を磨いてミラー加工にしてある。

【他故】表面がすごいキレイだなと思った。

【高畑】もう一つは、片方がストレート刃で、もう片方がカーブ刃というハイブリッドなんですよ。

【きだて】あー、本当だ。へぇ~。

【高畑】両側をカーブ刃にすると逃げていくときもあるのと、片方の刃にあてているときに「こっちは真っ直ぐの方がいい」という時があるじゃない。

【きだて】あるある。

【高畑】降りていく方はカーブでもいいけど。

【きだて】刃の上に物をのせて切りたいという時だね。

【高畑】もちろん、緊急用のはさみなんだろうけど、切れ味的には、若干カーブしていて先端まで開くので、硬いものを切ったときに切れ味は、これは抜群にいいです。

【きだて】これで何の硬いものを切るんだよ(笑)。

【高畑】いやいや、タグの付いているプラスチックのやつだったりさ。

【きだて】はいはい。

【他故】意外と硬いよね、ああいうの。

【高畑】切れ味は格段に向上していて、ある意味このクラスのものの中では、トップクラスに切れる感じがします。あと、軸が対称型なので持ちやすいというものがある。単純にかわいくなっただけで値段アップというのも何なので、切れ味もアップしてますよ。

【きだて】じゃあ、リボン付いていないやつも出してくれよ!!  性能アップしたならさぁ~。

【高畑】だから、おじさんは相手にされてないんだよ(笑)。

――これ、すごい切れますよね。

【高畑】びっくりするくらい切れるんで。ダンボールの端を切ると、従来品のスティッキールと比べて圧勝だよ。

【きだて】へぇ~。(試し切りをしてみて)おー。

【高畑】表情が変わった(笑)。いけるでしょ。ボール紙いけるんだよ。

【きだて】リボン取ったやつ出せや~!!!

【高畑】分かる、その気持ちは分かる(笑)。

【他故】リボンじゃなくて、ハチマキだと思えばいいよ。バカボンのパパみたいに。

【高畑】あとね、金色メッキとパール塗装という、文房具としては贅沢なつくり。

【他故】すごいな~。

【高畑】だから、作り考え方を文具寄りではなくて、そっちから作りましょうということだよね。

【きだて】ハンドルもうちょっと長い方がいいよ。

【高畑】それも手の大きさの問題で、だからおじさんは相手にされてないんだよ(笑)。結構ミニマルにギリギリ小さくして、あとハンドルと刃の長さの比率の問題なんだよね。ハンドルがちょっと短いのがキレイなんだろうね。

【他故】コスメっぽさもアリなんだろうね。

【きだて】分かるんだけどさぁ、リボン付いてなくてハンドルもうちょい長いのが~、もう~!!!!

【高畑】でも、ここまでできるんだから、将来的には今のスティッキールがバージョンアップしてくれてもいいのかなと思うけどね。

【きだて】切れ味的には驚いた。よくできてるよ。ターゲット的に自分が相手にされてないからノーマークだったな。

【高畑】うん。まあ、リボンが付いているからね(笑)。

【他故】これは手が出ないよ。

【きだて】最初は、リボンについて延々とディスってやろうと思ってたんだけど(笑)。

【高畑】でも、バネ内側に入れたりとかちょっと頑張ってるじゃん。そういうのもあって、意外と切れるから。

【他故】切れるね。

【高畑】きだてさん的にはあれかもしれないけど、携帯しておくと意外と切れるはさみとしてはいいよ。

【きだて】多分、1週間後くらいにドヤ顔して語ってると思うけど(笑)。

【高畑】まるで、全てを私が知っていたみたいに(笑)。

【きだて】「すごい良いハサミ、俺が見つけました!」みたいに(笑)。

【他故】「皆さんご存じですか?」みたいに(笑)。

【高畑】売れてくれればそれでいいよ。いやまあ、小型はさみも「ここまで来たか」という気はするよね。

【きだて】そうだね。この見た目だから、完全にノーマークだったんだよ。

【他故】そうなんだよね。いじる気すらなかったもの。

【高畑】意外といいんですよ。もちろん、他故さんみたいにペンケースに入れている人には、もっと長い方がいいんだけど、どっかに入れておく派だったら、このコンパクトさは従来品と比べて30%ぐらい小さくなってるんだよ。

【他故】もっと太かったよね。

【高畑】太くてちょっとでかかった。

――かなりスリム化してますよね。刃渡りもあまり変わらないみたいですね。

【高畑】刃渡りはほぼ変わってない。

【きだて】ちょい短かめくらいだね。

【高畑】あとね、よく言っているのが、プレゼントにいいんじゃないのということ。僕らみたいなおじさんが、若い女性にちょっとしたお返しで贈るときに、あんまり意味のありそうなものや、好みに左右されるものを贈るよりは、これは実用品だし、ちょっと驚きがあるので。

【他故】なるほどね~。

「ココフセン」の完成形

clip1.jpgクリップココフセン(カンミ堂、税抜420円) 好きな場所にはさんで持ち歩けるクリップ式のふせん。従来のふせん紙のようにペンケースやポーチなどの「入れる場所」にとらわれることなく、使うシーンに合わせて最適な場所にセットして使える。本や手帳はもちろん、書類、新聞紙、通勤鞄にはさむことでふせんの居場所をつくり、ふせんの使う場をも広げる。

【高畑】次は「クリップココフセン」。これはいいですよ。読書しているときにすごいいいし、ビジネス書読んでいる若手ビジネスマンみたいな人がとりあえずよくふせん貼るじゃないですか。あれ、読み終わったら次の本に移行するから。まあ、元々この「ココフセン」が貼ってはがせるものだからね。

【きだて】貼ってはがせるんだけど、ちょっとね。

【高畑】やっぱり、これだと敷居が低くなるよね。

【他故】本に貼るのって、それなりに抵抗があるからね。

【きだて】人から借りた本には貼れないじゃん。

【他故】それは貼れないね。あと、手帳とかにはさんでおく時に、手帳の表面には貼らないよなと思う。

【高畑】移動して、また戻って、また移動してというのが自由にできるので、仕事に便利だし、普通にいいよ。だから、できることは変わってないんだよね。前は粘着でくっついてたのが、クリップに変わっただけで、貼ってはがせるという時点であまり変わってないんだけど、使い勝手が格段に良くなった。

【他故】俄然良くなったと思うよ。不思議だなって思う。これって、どこに貼っておくと便利かというのが、自分の中で定まってないから。

【きだて】あー、そうだね。

【他故】割と机の前とかに貼ってあるんだけど、貼ってあることを忘れちゃったりして、「便利か?」というところがあったんだけど。読んでいる本に付けていることはあるけど、この本を読み終わった後に、これを付け替えるかというと、割とそこまでしていなかったり。

【高畑】あとね、本の表紙に付けた方が便利なのか、裏表紙に付けた方が便利なのかとか、読み始めたあとに「ここじゃなくてもうちょっと右に付けておけばよかった」みたいなのが。

【他故】そうそう、読んでいて「こっち、いやあっち」とかね。

【きだて】ページを読み進めていくと、裏表紙の方が便利になったりするじゃん。

【他故】あるある。

【きだて】そういう意味では、クリップはとてもいいというのはあるよね。

【他故】これだとどこにでも付けられるし、読みかけのところにはさむという裏技もできるし。

――しおり的な使い方ですね。

【他故】しおりみたいな感じですね。

【きだて】マネークリップみたいに、そこそこはさめるんだよね。逆に、ココフセンの基本がこれだったんじゃないかと思うけど。

【高畑】だから、やっと完成したんだよ。

【他故】完成形という感じがすごくする。

【高畑】で、なくなったら、元々「ココフセン」が粘着だから貼り替えができるという。しかしこれは、カンミ堂は丁寧に作るな~と思うんだよね。

【きだて】うん。

【高畑】自分たちが持っている「ココフセン」という大事な資産を、ちゃんとアシストしながら良くしていくみたいな。

【きだて】始末のいいおばあちゃんみたいな作り方をするよね。

【高畑】いやー、本当にムダがない。

【他故】新製品を出していって、「どんどん便利になってきますよ」と言ったときに、「元祖は便利じゃなくなっちゃったのか」みたいなところが、どこか気持ちの中にあったのかもしれない。そういうところで、ココフセンをもっと便利に使うにはという提案なので。よくこれキレイにつくったよな。

【高畑】何てことはない金属クリップなんだけど、よくできてるなーと思って。だから、こういうところが丁寧な商品だなと思って。品の良い丁寧な感じがあって。

【他故】これはまた、手放せないものがまた一つできちゃった、みたいな雰囲気ですね。

プロフィール

きだて たく
小学生の時に「学校に持っていっても怒られないおもちゃ」を求めて、遊べる文房具・珍妙なギミックの付いた文房具に行き当たる。以降、とにかく馬鹿馬鹿しいモノばかり探し続けているうちに集まった文房具を「色物文具=イロブン」と称してサイトで公開。世界一のイロブンコレクターとして文房具のダメさ加減をも愛する楽しみ方を布教している。著書に『イロブン 色物文具マニアックス』(ロコモーションパブリッシング)、『愛しの駄文具』(飛鳥新社)など。
色物文具専門サイト【イロブン】http://www.irobun.com/

他故 壁氏(たこ かべうじ)
文房具トークユニット〈ブング・ジャム〉のツッコミ担当。文房具マニアではあるが蒐集家ではないので、博物館を作るほどの文房具は持ち合わせていない。好きなジャンルは筆記具全般、5×3カードとA5サイズノート。二児の父親。使わない文房具を子供たちに譲るのが得意。
たこぶろぐhttp://powertac.blog.shinobi.jp/

*このほか、ブング・ジャム名義による著書に『筆箱採集帳 増補・新装版』(廣済堂出版)があるほか、弊社よりKindle版電子書籍『ブング・ジャムの文具放談』シリーズを好評発売中。購入はこちらから。

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